秋田新幹線、最初の停車駅「雫石」はどんな駅!? 盛岡からは約半数の普通列車が折り返す
東京駅から秋田新幹線「こまち」号に乗ると、盛岡駅で東北新幹線と分岐し秋田新幹線区間へと入る。秋田新幹線の開業は1997年で、盛岡―大曲―秋田間の田沢湖線と奥羽本線の在来線を改良して新幹線の直通を可能とするミニ新幹線方式として整備された。
具体的な改良内容は線路の改軌で、盛岡―大曲間の田沢湖線と大曲―秋田間の奥羽本線の線路幅が在来線サイズの1067mm(狭軌)から新幹線サイズの1435mm(標準軌)に広げられた。新幹線車両の直通は可能とはなったが、列車の最高速度は東北新幹線の東京―盛岡間の最高320km/hに対して、在来線の改良区間となる秋田新幹線の盛岡―秋田間は最高130km/hとなっており、この区間には普通列車も運転されている。
盛岡駅を出ると秋田新幹線が最初に停車するのが雫石駅で、盛岡駅から秋田方面の普通列車も約半数がこの雫石駅で折り返す。東北地方を訪問中だった筆者はこの日、盛岡駅で約2時間の待ち時間が生じたことから、この時間を利用して雫石駅までの往復を試みた。
盛岡駅から雫石駅へ
盛岡駅9:58発 田沢湖線 雫石行
盛岡駅を9時58分に発車する田沢湖線の普通列車は、雫石駅までの16.0kmを19分で走破する。途中の停車駅は、前潟、大釜、小岩井の3駅だ。
使用されている車両は701系5000番台で秋田新幹線の開業に伴う田沢湖線の標準軌化に伴って、普通列車用として1997年に登場した。東北地区の701系電車はその大半がオールロングシート仕様となっているが、田沢湖線の701系5000番台はボックスタイプのクロスシートが千鳥状に配置されていることが特徴で居住性はよい。
列車は盛岡駅を発車してしばらくすると東北新幹線から分岐してきた線路と合流。イオンモール盛岡に隣接した前潟駅、新幹線車両への融雪装置が設置されている大釜駅、小岩井農場最寄りの小岩井駅を過ぎ、10時17分に列車は終点の雫石駅に到着した。
秋田新幹線と普通列車が同一ホームで見られる雫石駅
雫石駅は1921年に当時の鉄道省橋場軽便線の終着駅として開業。翌年、橋場駅までの延伸開業に伴い中間駅となるが、戦時中の1944年に不要不急線の指定を受け雫石―橋場間が休止され、その後1964年に雫石―赤渕間が延伸開業するまで20年間は終着駅であった。田沢湖線は1966年に盛岡―大曲間が全線開業している。
雫石駅は2面3線の構造で、駅舎側の1番線が主に東京方面と秋田方面のこまち号の発着に。2番線が普通列車のこまち号の退避に、3番線が盛岡方面からの普通列車の折り返しに使用されているようで、筆者が乗車してきた普通列車は3番線の到着となった。
雫石発の折り返し列車は10時40分の発車で23分ほど時間があることから、いったん改札口を出て、駅舎内を散策することにする。雫石駅の改札口は、ICカード乗車券スイカのみに対応した新幹線自動改札機が改札口中央に鎮座しており、在来線対応のスイカ読み取り機がその横に置かれているという配置で、紙の切符については全て有人改札口での対応となるようであった。
10時34分には東京行のこまち16号が1番線から発車するということで、筆者は再びホームへと降りる。ホームに入線してきたこまち号は東北新幹線区間で320km/h運転を行っている車両なだけあって、盛岡から乗車してきた701系電車と比較するとかなり重厚な印象を受けた。
盛岡行の普通列車もこまち号が発車した6分後に雫石駅を発車。盛岡駅へと戻ってきたのは10時57分のことで1時間ほどの小旅行となった。
(了)