市場価値の低下、人材流出……Jリーグのレベルは2,3年前から下降線を辿っている
先日、スタートして30周年を迎えたJリーグ。喜びたい気持ちは半分だ。サッカーの特性上、手放しでお祝いする気にはなれないのである。過去と比較すればよくなっているに決まっている。Jリーグはましてやゼロからのスタートだった。ノスタルジーに浸り隔世の感を禁じ得ないと前向きに捉えることは簡単だ。しかしサッカーは世界と深く繋がっていて、どの国もライバルに四方を囲まれている。
日本代表にはW杯という世界的レベルを推し量る機会がある。ベスト16、ベスト8に進むことの難しさをそのつど痛感させられる。むやみに喜べない環境にある。国内リーグも同じだ。欧州サッカーを見れば一目瞭然だが、序列の中に身を委ねている。それが欧州カップ戦への出場枠に大きな影響を与える。国内リーグのレベルは代表チームのレベルとクルマの両輪のように追求されている。
この各国リーグが切磋琢磨し、優劣を競う概念。他の競技では見かけない。つまり日本人の間に浸透している可能性は低い。サッカー界も例外ではない。Jリーグのレベルを心配する人は、日本代表のレベルを心配する人より断然少ない。
この欄でも触れたことがあるが、ボスマン判決の内容が施行された1996-97シーズン、ロベルト・カルロスに話を聞けば、Jリーグの市場価値について世界の4、5番目だと答えた。ちなみに当時のUEFAランクはイタリア、スペイン、フランス、ドイツ、オランダ、ポルトガル、イングランドの順だった。
ジョルジーニョ、ストイコビッチ、スキラッチ、ジーニョ、セサール・サンパイオ、トーレス、ブッフバルト……96年当時のJリーグには、外国人選手がまさに助っ人として活躍していた。アーセン・ベンゲルが名古屋で指揮を執っていた時期とも重なる。現在のJリーグより何倍も華やいだムードに包まれていた。
現在のJリーグはどう見ても欧州の10番以内には入らない。イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、ポルトガル、ベルギー、スコットランド……以上が欧州の現在の順列になるが、8番手、9番手のベルギーリーグ、スコットランドリーグにJリーグが市場価値で劣っていることは、日本人選手の動向を見れば一目瞭然となる。
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