大河ドラマ「べらぼう」で視聴者がざわついた遊女の悲劇 NHKは踏み込んだのか、その必然性はあったのか #専門家のまとめ
江戸中期のメディア王・蔦屋重三郎を主人公にした大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)で遊女が無惨に葬られるシーンが視聴者をざわつかせた。
食うものにも困りぼろぼろになるまで働かされ、亡くなると身ぐるみはがされる。女性のうつ伏せの裸体が地面にごろりと転がった画面は衝撃的だった。インティマシー・コーディネーターも起用して性的な表現に真摯に取り組む「べらぼう」が第1話にしてここまで踏み込んだと評価の声がある一方で、慎重に描くべきではないかとの声もある。各媒体はこの問題にどう向き合っているか。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
主人公の蔦重が吉原で生活していたため吉原を描くのは必然。だがコンプライアンス的にどこまで描くか難しい題材である。第1回の試写のあとの会見で、チーフ演出家の大原拓と脚本家の森下佳子は吉原という性の売買が行われる場所とその仕事に従事する遊女たちを描く考えを明かしている。マイナビニュースは第1回終了直後にそれを紹介。その記事を読むと作り手は、実際にあったことを排除しないで描くことで視聴者に考える余地を残していると推察できる。
放送終了後から翌日にわたり、視聴者の声や、亡くなった遊女役がセクシー女優であったことを紹介する記事がいくつも出た。歴史専門の媒体・歴史人は、当時の状況を補足する記事を掲載した。
是非を問う様々な意見は主にSNSで飛び交っている。そのシーンに出演した俳優のコメントなどを記したものもあった。刺激的な部分がネットで拡散しやすいため、冷静な声が埋もれてしまうことが気にかかる。様々な記事を俯瞰して自分なりに考えることが大切であろう。
日曜夜8時という時間帯でどこまで表現するか、制作チームとして議論がされたことと思う。しばらく物語の舞台は吉原が続く。第2回、3回と見て考えていきたい。