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【警察犬・クレバ号】職場復帰後、即お手柄! 人混みから不明女性をどう捜索したの?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
「ANN NEWS 捜索中に逃走 警察犬クレバ号が復帰そうそうの活躍(」より

2月7日午後、兵庫県警の警察犬のクレバ号が、行方不明の女性を捜索から45分後に探し出しました。

クレバ号は、去年捜索中に失踪し、再訓練を経て2月4日に現場復帰したばかりでしたが、その3日後のお手柄です。それを受けて12日に兵庫県警から表彰されました。

筆者は、脱走したクレバ号の処分はどうなるのか、とハラハラしながら見守っていましたので本当に嬉しいニュースです。

それでは、クレバ号の捜索能力の凄さを見ていきましょう。

クレバ号は、どうやって行方不明者を捜索したか?

ANN NEWS 捜索中に逃走 警察犬クレバ号が復帰そうそうの活躍(2021年2月12日)より

クレバ号のお手柄を見ていきましょう。

報道によりますと、81歳の女性が行方不明になったと通報があり、クレバ号は指導員と派遣されました。クレバ号は女性の枕の匂いを嗅ぎ、捜索を開始。鼻を地面に押し付け、自慢の嗅覚を使い女性宅からJR灘駅、阪神岩屋駅へと南下した600メートルほど進んだところで突然、クレバ号が鼻を上げ、1点を見つめたそうです。指導員が視線の方向約20メートル先に目をやると、元気に歩く女性の姿があった。捜索開始から45分後だそうです。捜索距離は約2キロ。

上の動画をご覧いただくとよくわかるのですが、兵庫県警から表彰されてご褒美にもらったものが包装されています。クレバ号は、それがなになのか説明してもらわなくても、外から醸し出す匂いで、オヤツだとわかっていたようです。クレバ号は、そればかり見ています。顔を向けてずっと追っている姿が微笑ましいです。

人は、大きさや表彰されているときの包みなどから、それがクレバ号のオヤツだと想像できますが、とても匂いだけでは、中身を推測することは難しいです。

森の中で人が歩いているのなら、まだ捜索しやすいですが、人がたくさんいる市街で人の捜索ができるのですから、クレバ号の嗅覚は素晴らしいです。このことを詳しく見ていきましょう。

警察犬クレバ号の凄さ!

「【鑑識課】令和3年度福岡県警察嘱託警察犬審査会」実施要領」より

福岡県警察嘱託警察犬審査会の動画をご覧になるとわかるのですが、このように人がいないところで、行方不明者を匂いだけで捜索するのでも難しいです。今回のように、市街だと多くの人が行き交っているので、人の匂いで溢れているわけです。訓練されているクレバ号が捜索できる理由には、犬の特殊な嗅覚があるのです。

興奮の匂いがわかる

犬が苦手な子どもに「怖がっているように振る舞ってはいけません」と教えていますね。

あれは、犬が不安や恐怖の匂いがわかるからなのです。

人は、アドレナリンの匂いがわかりませんが、犬はそれを嗅ぎわけることができるのです。アドレナリンは、副腎髄質より分泌されるホルモンであり、また、神経節や脳神経系における神経伝達物質です。

危険なものから逃げる、戦うなどのときに、アドレナリンが出るのですが、それが犬は嗅覚が鋭いのでわかるのです。とくに、クレバ号は、人が持っている本来の匂い(行方不明の女性の場合は枕の匂い)だけでなく、このアドレナリンの匂いも嗅ぎ分けて、発見する能力が高いのでしょう。

鋤鼻器(じょびき・ヤコブソン器官)

人では不完全だといわれている鋤鼻器が犬には、あります

鋤鼻器は、副嗅覚器として、顎の切歯のすぐ後方から奥の方へ伸び、鼻口蓋管(びこうがいかん)とつながっています。フェロモンをかぐときに使われています。

それ以外にも、犬の濡れた鼻は、一般的に健康のバロメーターとされていますが、鼻が濡れていると小さな分子を外側にくっつける。そして鼻の外側にとどまった分子を溶解させて、内部からこの鋤鼻器に持ってきて、匂いをかぐこともできます。 

このような人にはない、鼻の構造になっているので、一般的に犬の嗅覚は、人の1億倍まで感知できるといわれています。クレバ号は、このような嗅覚を持っていて、そして集中して捜索する能力もあるのでしょう。

まとめ

「“逃走”の警察犬がお手柄 復帰直後 どう女性発見?」より

上の写真を見ていただくと、首に少し重そうな首輪をつけています。動画では、青く点滅していますね。これが、GPSです。クレバ号がもし、迷子になったときは、発見に使われるのでしょうね。

クレバ号に会いたかった筆者ですが、こうやって映像を兵庫県警が紹介してくれると、なんとも嬉しいです。動きにまだまだ幼さがありますが、2歳でこれだけの業績をあげてくれるのですから、これからも人のために、仕事をしてくれるのでしょうね。

また、私たちに元気で楽しく仕事をしている姿を見せてほしいものです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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