観光振興で苦戦する「夕張の現状」 インバウンドの波及ばず観光入込客数の目標達成遠く
今年の冬の観光シーズン、北海道内の主な観光地では大勢のインバウンド旅行者が訪れ、一部の鉄道路線では乗客が乗り切れないほどの混雑を見せた路線もあった。北海道は「観光振興に力を入れる」という方針を示しているものの、こうした観光振興効果の波及は地域のよって大きな格差が見られるようだ。
夕張市は、札幌から1時間圏内の距離に位置し、新千歳空港からも比較的近い距離に位置しているが、観光振興では苦戦を強いられている。
観光客がコロナ前に戻らない!?
夕張市は2024年の観光入込客数の目標を60万人としているが、2023年12月6日に行われた夕張市の定例市議会で市長が「目標達成は厳しい状況であることは事実」と答弁するに至っている。市議会議事録によると、観光入込客数の目標達成に向けて夕張市では観光ホームページの更新、観光案内看板整備、市内観光マップの更新作業に取り組んでいるというが、2022年の観光入込客数は23万6千人にとどまっており、観光客の回復は今後も厳しい見込みであるようだ。
なお、コロナ禍前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台をキープしていた。夕張市は2019年に石勝線夕張支線の「攻めの廃線」を実施し、2020年には「ホテルマウントレースイ」「マウントレースイスキー場」など中国系企業に売却した観光4施設の運営会社が倒産した。現在でも「ホテルマウントレースイ」は閉鎖したままだ。「マウントレースイスキー場」は辛うじて営業を再開しているが、2月の3連休中でも来訪者はまばらな状態だった。
しかしその一方で、夕張市に隣接する占冠村のトマム地区は、札幌から特急列車が直通していることもあり、大勢のインバウンド旅行者で賑わいを見せていたこととは対象的だ。「インバウンド来訪の波は鉄道のある地域のほうが波及しやすい傾向」があることから、この冬の観光シーズンは、札幌か函館や帯広、網走方面に向かう特急列車は大混雑となっていたほか、ニセコリゾートエリアの玄関口となる倶知安駅と小樽駅を結ぶ日中の一部の普通列車も2両編成から3両編成に増強された。
夕張市の現状については、下記「【北海道】乗り物大好きチャンネル」でもレポートされている。
インバウンドもいない?ガラガラの夕張スキー場!大きすぎた攻めの廃線の代償•••
(了)