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春だ、水辺で楽しく遊ぼう!でも「ほら穴に落ちるみたいな危険な目に遭わずに」

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
砂山は崩れるものです(写真:イメージマート)

 毎日普通に暮らしているけれど、時々私たちの身の回りで驚くような出来事がありますよね。例えば、道路の下に自然にほら穴ができて、突然路面が崩れて誰かがそこに落ちたというニュースを聞いたりすると、普段は気にも留めないことが急に心配になったりしませんか? 

 これからの季節、多くの方がファミリーでピクニックや釣り、水辺に行く計画を立てていると思います。普段は「ほら穴に落ちるみたいな危険な目に遭わずに海で楽しく遊んできました」という日常が当たり前だと思いたいところですが、最近ほんとうにあった事例を参考にして、水辺にあるマサカについて、ちょっとした注意点を共有したいと思います。

砂山の内側に隠れているものとは?

図1 園児ネコが砂山を発見。でも砂山の中には何かが隠れている(筆者作成)
図1 園児ネコが砂山を発見。でも砂山の中には何かが隠れている(筆者作成)

 みなさん、図1を見てみてください。砂浜を元気に駆け回っている園児ネコが砂山を見つけました。その姿はなんだか懐かしく、自分が園児の時、そうだったなと遠い昔を思い出します。筆者が暮らす新潟で砂山といえば、郷土愛にあふれた人なら北原白秋の童謡「砂山」を連想するかもしれません。その歌碑を新潟市内寄居浜の護國神社境内で見かけます。新潟県に特段のご縁がなければ、砂山といえば普段、工事現場で見かける砂の山くらいしか思いつかないかもしれないですね。いや、安全対策が進んで、それすら見なくなったような気がします。

 筆者の子ども時代には、あちこちに放置された砂山が遊び場でした。でも、時々その砂山が崩れてしまって、ニュースで「子どもが巻き込まれた」と聞いたことを覚えています。学校でも、「工事現場の砂山には絶対に上らないでね」って先生から夏休み前に何度も言われたこともあり、そのおかげか何十年もたった今でも筆者は「砂が崩れる」という言葉には敏感です。

 みなさん、砂山の中に消波ブロックが積んでありますね。図の中に薄く描いてあります。消波ブロックが砂で覆われているから、周りから見るとしっかりとした砂山に見えるけど、実は砂って自然にこんもりした山を作るものじゃないから、この砂山自体が不自然なのです。「不自然な山には何か隠されている」と思って注意したいですね。オレオレ詐欺の話も聞いて久しいけど、何でもまずは疑って、「この砂山、まさかの張りぼて?立派に見えるけれども中身はすっからかんだったりして」とちょっと気にしたいところです。

 昔から当たり前のことなんですが、砂山って崩れるものなんです。その崩れ方は時によってはえげつないし、危険極まりありません。最近あった事例ですが、消波ブロックを覆った砂山の内部にほら穴ができてしまっていて、ちょうどその上にのったお子さんが、砂崩れと共にほら穴に落ちてしまいました。

 ブロックの間を埋めてる砂は、ブロックの間をしっかりと埋めなければならない責任も道理も何もなくて、雨が降ったり水が流れたりして水が浸みこめば、ブロックの間の砂はその水とともに下へ下へと流れ出したりするものだから、空洞ができていて当たり前と言えばその通りなのです。

 ちょっとでも高いとこに上るのが好きなお子さんと水辺に遊びに行ったら要注意ですね。

見た目で安全なのに、こんな理由で事故が起こる

図2 水辺に着いて、まっさきに向かうのはどちらでしょうか?(筆者撮影)
図2 水辺に着いて、まっさきに向かうのはどちらでしょうか?(筆者撮影)

 水辺に限ると、みんなが水辺に着いてなぜかすぐに事故がおきるものです。

 みなさん、図2の上と下に写っている場所が隣り合っていたら、真っ先にどちらにピクニックの席を陣取るでしょうか?

 園児ネコなら高いとこが好きそうだから上の立体的なブロックに行きたがるかな。親からしてみれば、みんながリラックスするための席を作るんだから下の平面的な消波ブロック近くを目指すでしょうか?まあ、普通はママ・パパに主導権があって下の平面型を目指すことになるのでしょうけれど。

 場所を確保したら、ママ・パパは席づくりに大忙し。バーベキューの準備なんかだったら、ますます無我夢中になりますね。暖かい日差しのもと、水辺で焼くお肉は絶対に美味しい。そして園児ネコはまずはママ・パパのそばで活動開始。

 みなさんに質問です。同じ場所にある消波ブロックなら、上の図のブロックと下の図のブロックとどちらが安全でしょうか。

 こんな質問を投げかけると、土木の専門家から「ふてほど」と怒られそうです。なぜかというと、消波ブロックは大海原からやって来た波の威力を弱めるためのものだから、「ブロックのどっちかは人に優しいはずだ」と考えること自体が不適切だと。

 みんなが水辺に着いて事故がすぐにおきるのは、「事故はドコでも等しくおこるものだから。」これはどうしようもないことなのですが、上の図のブロックも下の図のブロックも危険性で言ったら、どちらも同じくらい危険なのです。どちらも波の威力を弱めるために日夜365日活躍しているのだから。だから、最初に人が向かった先がたまたま平面型ブロックだったから、そこで事故が起きてしまうというからくりなんです。

図3 消波ブロックの隙間から見えない部分をのぞいてみると(筆者撮影)
図3 消波ブロックの隙間から見えない部分をのぞいてみると(筆者撮影)

 では、下の図の平面型ブロックの何が危険なのでしょうか。早速平面型ブロックを綺麗に並べてある現場に出て、ブロックの隙間から小型カメラを入れて水中の様子を見てみましょう。

 図3の下の写真では、園児ネコが指さす方向に隙間が見えませんか?この隙間はブロックと海底との間にあって、海水が自由に行き来できるようにしてあるのです。ちょっと大きめの波がブロックに襲い掛かったとします。図3の上の図のブロックの表面を覆った海水は、ブロックの穴から下に流れ落ちていきます。そしてその海水は下の図にある隙間に吸い込まれるように流れ、元の海に戻っていくわけです。

 上の図のように園児ネコが頭を隙間に突っ込んでいる間に波が襲ってきたらどうなるでしょうか。ママ・パパの目の前で子どもが吸い込まれるなんて、こんなことがおこったら、と考えるだけでぞっとします。でも、このような事故が川と海で最近立て続けに発生しています。

さいごに

 日常生活から離れた時、これまでもみなさまにも何かしらのヒヤリハットがあったかもしれません。この記事がそれを思い出すきっかけになるといいなと思います。

※ この記事は、筆者が普段とは異なる柔らかいタッチで作成しました。AIとの対話を通じて生み出されたものですが、まだまだ不完全な部分もあります。皆様からのフィードバックをお待ちしております。(この文章は、AIに提案された文章をそのまま引用しています)

謝辞

 本調査を含む一連の調査研究は、日本財団助成事業「わが国唯一の水難事故調査 子供の単独行動水面転落事故を中心に」と日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(C)課題番号22K11632の助成により行われています。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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