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関東から九州、最新の梅雨入りの見立ては?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
梅雨の東京(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

梅雨前線は、はるか南へ1000キロも南下

雲の様子(ウェザーマップ)
雲の様子(ウェザーマップ)

今週は上空に強い寒気(寒冷渦)が流れ込んだ影響で、各地で激しい雷雨がありました。一方、この強い寒気に押し出されるように梅雨前線は日本のはるか南へ南下し、上図の様に、小笠原から沖縄のずっと南海上に雲の帯が横たわっている状態です。また大陸に見えている大きな雲は梅雨前線に伴うものではありません。

9日(日)から10日(月)にかけて梅雨前線が北上へ

雨の予想(ウェザーマップ)
雨の予想(ウェザーマップ)

今度、梅雨前線が北上してくるタイミングは9日(日)から10日(月)にかけてとなりそうです。正しくいえば、日本のはるか南に南下した梅雨前線が北上してくるのではなく、大陸から新たな梅雨前線が、低気圧を伴って、本州付近にのびてくる感じです。これらの活発な雨雲が、9日(日)は主に西日本、10日(月)は東日本を通過していくため、激しい雨の降る所があるでしょう。

ではこれで関東以西の梅雨入りが発表されるのかといえば、なかなか難しい状況です。というのも④の10日(月)夜の予想をみると、梅雨前線に伴う雨雲の帯が再び沖縄付近まで大きく南下する予想となってきたためです。

来週はまだ梅雨前線が北上せず?

アンサンブル予報の降水確率、赤点は低気圧、青点は高気圧(ウェザーマップ)
アンサンブル予報の降水確率、赤点は低気圧、青点は高気圧(ウェザーマップ)

上図はアンサンブル予報における降水確率(6時間に1.5ミリ以上)の計算をみたもので、降水確率の高い所が集中していれば、モデルの多くが揃って雨を予想している地域になります。

これをみると、10日(月)は東日本方面で高い確率となっていますが、その後は梅雨前線に伴う高確率の集中域は日本の南に離れて東西方向に横たわっていて、本州付近に雨を予想するモデルは少ないことを表しています。

九州南部に関していえば、南西諸島付近からの高確率領域がギリギリ到達しているため、雨予報もつけられる感じですが、その他の地域は、この計算からはとても雨予報にするわけにはいきません。

梅雨入りはかなり遅くなる可能性も?

10日間予報(ウェザーマップ)
10日間予報(ウェザーマップ)

上記なども踏まえ、向こう10日間の予報は上図のようになっています。

9日(日)から10日(月)は、低気圧を伴い西からのびてきた梅雨前線の影響で、九州から関東にかけて、雨となるでしょう。九州から関東にかけての梅雨入り平年日はこの段階で過ぎているため、気象庁から梅雨入りが発表されてもおかしくはないものの、その後、何日も晴れマークがあってはさすがに梅雨入りという判断は難しいかもしれません。

このあと梅雨前線がもう少し北側にシフトしてくる予想になれば、話は変わってきますが、今の予想のままだと、9日(日)から10日(月)にかけての雨で梅雨入りの可能性があるのは、九州南部や四国など一部に限られそうな感じです。またもしここで梅雨入りの発表がなければ、来週の週末以降にずれ込む可能性も否定できず、そうなれば、関東以西の梅雨入りは平年より大幅に遅れることになります。

参考までに梅雨入りしていない本州付近の梅雨入りの平年日は以下の通りです。

九州南部5月30日ごろ、九州北部6月4日ごろ、四国6月5日ごろ、中国6月6日ごろ、近畿6月6日ごろ、東海6月6日ごろ、関東甲信6月7日ごろ、北陸6月11日ごろ、東北南部6月12日ごろ、東北北部6月15日ごろ。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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