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【17日は十五夜】なぜお月見団子を食べる?満月じゃないってホント?月が出る方角は?気象予報士の暦解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

今日9月17日は、古くから月が1年でもっとも美しく見えるとされる「十五夜」。

十五夜は「中秋(ちゅうしゅう)の名月」とも呼ばれ、日本では1,000年ほど前からお月見の習慣がありますが、お月見にはなぜお団子を食べるのでしょうか。
また、現代では「十五夜」が満月とはかぎらない…というのをご存じでしょうか。そして今夜の月が出る方角は…?
気象予報士とともにめぐる暦解説です。

十五夜(中秋の名月)とは?お月見と言えばなぜお団子?

十五夜とは、旧暦8月15日のこと。かつて、夏の真ん中である8月15日のことを「中秋」と呼んでいたことから、「中秋の名月」とも呼ばれます。

平安時代に中国から伝わり貴族に浸透した月を見る風習と、江戸時代頃に始まった満月に収穫を感謝する庶民の風習とがあわさって、今の形になったと考えられています。

そのため、収穫したコメを使って、豊穣の象徴である満月と同じまん丸の形にしたのが、お月見団子。
ほかにも収獲した芋や花などを一緒に飾り、今年の収穫に感謝するとともに来年の豊作を願いました。

なぜ満月とはかぎらない?

旧暦は月の満ち欠けを基準にしていたため、毎月15日に満月が来るよう調整されていましたが、現代のカレンダーは太陽と地球の位置関係を基準にしているので、十五夜が単純に満月になるとはかぎりません。

そのため、今年2024年も微妙にずれて、翌9月18日が満月となります(ちなみに来月10月17日の満月は、1年でもっとも月が大きく見えるスーパームーンなので、今年の中秋の名月はそれに近い、かなり大きい名月を楽しめます)。

なお、次に十五夜と満月が重なるのは、2030年になります。

※この記事を9月17日正午に公開した際、今年のスーパームーンの日付けが誤っておりました。正しくは上記の通りです。お詫びして訂正いたします。

月が出る方角は?

9月17日21時の東京の空の様子(図の出典:国立天文台)。
9月17日21時の東京の空の様子(図の出典:国立天文台)。

今夜の月は東南東の方角から姿を現します。

17時半頃には月が地平線から出てくる「月の出」となる地域が多いですが、都市部では建物で地平線が隠れて見えづらいため、月がやや高くなってくる21時頃の方が見やすいでしょう。
この時間帯の月は南東の方角に見えます。

なお、上図のように今夜は月の近くに土星が見えます。
月が明るすぎてちょっと見えづらいかもしれませんが、21時頃であれば月の右上あたりを探してみると、見つかるかもしれません。

お月見は十五夜で終わらない!十三夜とは

十三夜は旧暦9月13日のことで、古くから十五夜の次に月が美しいとされた暦です。
今年2024年は10月15日にあたります。

十五夜と十三夜の片方しかお月見しないと縁起が悪いとしている地域があったり、あるいは十五夜にはお月見をしないけど十三夜にはしっかりお供えものをして月を見る風習が残っている地域もあったりと、今も日本の文化に深くかかわっている暦です。
ぜひ10月にも月を見上げてみてくださいね。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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