このベテランをロースターから外したタイミングには、球団の「温情」が感じられる
6月18日、ミルウォーキー・ブルワーズは、ロレンゾ・ケインを40人ロースターから外した。
ケインは、36歳の外野手だ。センターを守り、2015年と2017~18年はOPS.800以上を記録した。力強くも優雅な動きの守備は、2019年の1度しかゴールドグラブを受賞していないのが不思議に思える。オールスター・ゲームには2度選ばれ、カンザスシティ・ロイヤルズ時代の2015年には、ワールドシリーズ優勝メンバーの一人となった。
ただ、今シーズンは、まったくと言っていいほど、打てていなかった。43試合に出場し、打率.179(145打数26安打)と出塁率.231、1本塁打、OPS.465だ。5年8000万ドルの契約は、今シーズンまで。いつ、ロースター外とされても、おかしくなかった。5月を終え、ブルワーズは32勝19敗だったが、今月はすでに11敗を喫している。
このタイミングまで、ブルワーズがケインをDFAとしなかったのは、サービス・タイムが理由だ。ケインは、今シーズンがメジャーリーグ13年目ながら、最初の3シーズン(2010~12年)はメジャーリーグに定着しておらず、今シーズンの開幕を迎えた時点で、サービス・タイムは10年に達していなかった。年金の満額支給は、10年以上のサービス・タイムが必要になる。ブルワーズは、ケインのサービス・タイムが10年に達したところで、DFAとした。
ケインの前にDFAとされたベテランたち、アルバート・プーホルス(現セントルイス・カーディナルス)、ジャスティン・アップトン(現シアトル・マリナーズ)、ロビンソン・カノー(現サンディエゴ・パドレス)、ダラス・カイクル(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)は、いずれも新たな球団と契約を交わした。
けれども、彼らと違い、ケインはこのまま引退するのではないかと思われる。MLB.comのアダム・マッカルビーらによると、「身体が休息を必要としている」と語ったという。