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UCCが缶コーヒーの色彩のみの商標登録に成功

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:特許情報プラットフォーム

「『UCCミルクコーヒー』の“色彩”が商標登録。食品業界初」というニュースがありました。

登録番号は6201646号です(タイトル画像参照)。自動販売機での購入というシナリオを考えると、商品名をよく確認せずに缶の色合いが似た偽物を買ってしまう可能性は高そうなので、色(の組み合わせ)のみで商標登録して他社の摸倣を排除することには大きな意義があるでしょう。

色彩のみの商標登録では、使用による識別性(セカンダリミーニング)、すなわち、ほとんどの消費者が「あの色はあの商品」と思うくらいの認知度を獲得していることが求められます。UCCの缶コーヒーの色合いはこのような認知度を獲得していることが特許庁に認められたことになります。これには私も同意します。

缶コーヒーの色合いと言えば、サントリーがBOSSレインボーマウンテンブレンドの色(下図参照)を出願しており、現在、まさに認知度の立証を行なう段階です。個人的には、十分な認知度があると思うのですが、どうなるのでしょうか?

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上記記事に、色彩のみの商標登録はこれで8番目と書いてあります。色彩のみの商標については過去に何回か書いてきましたが、しばらくウォッチしない間に増えていました。記事化した登録一番乗りのセブンイレブン看板とトンボ鉛筆MONO消しゴム(参照過去記事)、三井住友銀行の看板2件(参照過去記事)の後に、三菱鉛筆ユニの色合い2件(6078470号6078471号)とファミリーマートの看板(6085064号)(下図参照)が登録されています。

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なお、今まで単独の色彩の商標登録の事例はありません。上述のように、えび茶と黒(および金色)の組み合わせでは登録に成功した三菱鉛筆もえび茶色単独での出願は拒絶されており、現在不服審判中です。特定企業に単独の色の商標としての使用を独占させることは影響が大きいので、ハードルを高く設定するのは当然と言えます。

単独の色で登録可能なくらいの使用による識別力を発揮している例として思いつくものには、ティファニーがパッケージ等で使用している水色(いわゆるティファニー・ブルー)がありますが、同社は日本では出願していないようです。

余談ですが、このUCCの登録の指定商品は、「缶入りのコーヒー入り乳飲料」(29類)および「缶入りミルクコーヒー飲料」(30類)です。「コーヒー入り乳飲料とミルクコーヒーとどこが違うねん」と思われる方もいらっしゃると思いますが、商標の指定商品の区分は基本的に素材ベースなので、コーヒー入り乳飲料とミルクコーヒーは別の商品として扱われます。

どちらか一方しか指定していないと、摸倣品への商標権行使をした場合に、裁判で類似性の立証に手間が余計にかかる可能性がありますので念のために2つの区分で出願しておくことは適切です。商標登録出願なんて単に所定のフォームに記入すれば誰でもできるんじゃないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、こういうちょっとしたところにノウハウがあったりするのです。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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