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「グヤトーン」の商標権について

栗原潔弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授
出典:特許情報プラットフォーム

昨日、フェルナンデス社の倒産に伴い商標権がどうなるのかといった話を書きました。その流れで、同じく日本の伝統あるギターメーカーであり、2013年に業務終了したグヤトーン(企業名としては、東京サウンド株式会社)について調べてみました。

東京サウンドが所有していた登録商標は3件ありました(「GUYA Tone(ロゴ)」、「グヤトーン」、「GUYATONE」)。放棄やオークション対象にはなっておらず、前2件(タイトル画像参照)は更新料未納により権利消滅し、最後の1件(登録1462317号)は、グヤトーンの創立者の家族の個人名義に変更され、会社清算後も維持されていました。

しかし、この商標登録には2017年に不使用取消審判が請求され、権利者が使用証拠を提出しなかったことから取消になっています(登録商標は3年以上使用されていないと取り消すことができます)。そして、同じタイミングで新たに「GUYATONE」商標(登録5986731号)が出願され、登録になり、現在も権利が存続しています。この不使用取消の請求人、かつ、新登録商標の権利者である、ナサニエル・デモント氏が、現在、米国を中心にGUYATONEブランドのエフェクターやギターを製造販売しているGuyatone & DeMont Guitars LLCの代表です。同社の日本の事業所は旧グヤトーンでエンジニアとして活躍されていた方が担当されているそうです(参照Wikipedia記事)。

新会社と旧経営陣との間の関係、そして、商標権が通常の譲渡ではなく不使用取消という経過をたどることになった経緯はよくわかりませんが、歴史あるブランドが縁のある人物によって維持されているということは喜ばしいことではないかと思います。

弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授

日本IBM ガートナージャパンを経て2005年より現職、弁理士業務と知財/先進ITのコンサルティング業務に従事 『ライフサイクル・イノベーション』等ビジネス系書籍の翻訳経験多数 スタートアップ企業や個人発明家の方を中心にIT関連特許・商標登録出願のご相談に対応しています お仕事のお問い合わせ・ご依頼は http://www.techvisor.jp/blog/contact または info[at]techvisor.jp から 【お知らせ】YouTube「弁理士栗原潔の知財情報チャンネル」で知財の入門情報発信中です

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