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下北沢にオープンした「エト ザ カルチュラルコーヒーハウス」の新しさ

清水美穂子ブレッドジャーナリスト
自然素材を生かしたタルティーヌ(筆者撮影)

2024年12月14日、下北沢にオープンしたエトという名のカフェ。正式名称は『Et -THE CULTURAL COFFEEHOUSE-』。

かつて哲学者や芸術家、詩人たちが集ったコーヒーハウスの文化を感じさせるこの店名、カフェは文化を内包するという感覚のもと、ただコーヒーが飲める場所以上に、いいモノやコトを繋げたり発信したりしていく場となりそうだ。

無農薬のクロモジを蒸留したシロップを用いた「ブルームラテ」など。(画像提供:Et-THE CURTURAL COFFEE HOUSE-)
無農薬のクロモジを蒸留したシロップを用いた「ブルームラテ」など。(画像提供:Et-THE CURTURAL COFFEE HOUSE-)

ここには、一杯ごとにワインのようにさまざまなアロマが楽しめるシングルオリジンのハンドトリップコーヒー(650円〜)はもちろん、自然由来のフレーバーラテなど日本のコーヒー文化の最先端を感じさせる新しいメニューがある。

富士吉田のハーブ農園「HERB STAND」の無農薬のクロモジを蒸留し、マダガスカル産バニラ、ジュニパーベリーとかけ合わせたシロップをミルクに加えてスチームした「ブルームラテ」(700円)など、従来のフレーバーラテとは一線を画すのではないだろうか。

蒸留技術はドリンクにもフードにも新しい風を入れる(筆者撮影)
蒸留技術はドリンクにもフードにも新しい風を入れる(筆者撮影)

そして、ここで注目したいのはフードメニュー。季節のもの、土地のものを使ったオープンサンド「タルティーヌ」もまた、新しい。

アボカド、ラタトゥイユ、愛媛産柑橘など各種タルティーヌ(画像提供:Et-THE CURTURAL COFFEE HOUSE-)
アボカド、ラタトゥイユ、愛媛産柑橘など各種タルティーヌ(画像提供:Et-THE CURTURAL COFFEE HOUSE-)

「アボカドタルティーヌ」(1250円)はオーブンで焼き上げたブロッコリーをペーストにしたものに、静岡県産のマイクロハーブと自家製ブレッドアンドバターピクルス。ピクルスの甘酸っぱさとアボカドのクリーミーなコクが素晴らしい相乗効果を感じさせる。

「ラタトゥイユタルティーヌ」(1200円)は、ギリシャヨーグルトと自家製の中東風スパイス「デュカ」を組み合わせているところが新感覚。「愛媛産柑橘とリコッタタルティーヌ」(1350円)は味の濃い「マドンナ」が爽やかだ。

エスプーマでつくった「クラウディクリーム」なるふわふわのクリームがたっぷり添えられたフレンチトーストも見逃せない。このクリームには先の、蒸留技術を用いたクロモジ香る自家製のバニラシロップが使われている。

Etに所縁のある瀬戸内海の砂浜や洞窟などの自然からインスピレーションを得た店舗デザイン(筆者撮影)
Etに所縁のある瀬戸内海の砂浜や洞窟などの自然からインスピレーションを得た店舗デザイン(筆者撮影)

パンは今年10月にオープンしたばかりの岩手県奥州市の「メゾン デュ ラミティエ」のサワードウブレッド。国産小麦とライ麦を用いて、タルティーヌにするのにちょうど良い質感、味わいとなっている。

数多あるパンの中からこのパンが選ばれ、岩手から東京に届くことになったのには、スタッフが知り合いだったというご縁があるというが、センスがセンスを呼ぶのだろう。いいものはいいものとつながっていく。

店内にはガラスやカップなどテーブルウェアの展示販売もある。

地方のおいしい食材や美しい自然の景色などをこのカフェ空間に取り込むことは、地域の雇用や地方創生にもつながっていく、とブランドディレクターの木村隼人さん。そこに、一時の流行や都市部だけのファッションではない広がりが感じられる。

Etというのはラテン語で、「〜と」を意味する。ここからコーヒーや食を通してつながっていく関係性、生まれていくものごとに注目したい。

下北沢駅西口から坂を下りた先の一角。建物もスタイリッシュ(筆者撮影)
下北沢駅西口から坂を下りた先の一角。建物もスタイリッシュ(筆者撮影)

Et -THE CULTURAL COFFEEHOUSE-

(エト ザ カルチュラルコーヒーハウス)

所在地 世田谷区北沢2-22-3 1F 2F

電話 03-6805-2137

営業時間 8:00〜20:00

ブレッドジャーナリスト

東京出身。2000年より総合情報サイトAll Aboutでガイドを務めることにより、パンに特化した取材執筆活動を開始。注目のベーカリーとつくり手についてWeb、TV、ラジオ、新聞、雑誌等メディアで発信、紹介する一方で、消費者動向やトレンド情報を業界に提供、ベーカリーと消費者の相互理解を深める活動をしている。取材執筆、企画監修、講師、各種コンテスト審査員、コンサルティングなども行う。主な著書『BAKERS おいしいパンの向こう側』(実業之日本社)『日々のパン手帖 パンを愉しむsomething good』(メディアファクトリー)『おいしいパン屋さんのつくりかた』(ソフトバンククリエイティブ)他

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