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古道・奥多摩むかし道で森歩きをのんびり満喫 ◆東京近郊ハイキング・レポ◆(0001)

上町嵩広登山レポーター

奥多摩の森の中を歩く気軽なハイキングコース。運が良ければカモシカにも出会えるかも。

<趣意>
東京とその近郊のハイキングで個人的なお気に入りのコースをピックアップして紹介いたします。

奥多摩むかし道の案内図
奥多摩むかし道の案内図

<ハイキングコース名>
奥多摩むかし道 (おくたまむかしみち)
所在地: 東京都西多摩郡奥多摩町

<概要>
旧青梅街道のうちJR青梅線「奥多摩」駅から奥多摩湖までの間の道をハイキングコースとして整備されたルート。全長は約9km強。
おおむね多摩川の流路に沿ってその北側の崖をトラバースするように道がつけられている。
現在の青梅街道(国道411号線)が開通するまでは奥多摩における生活物資流通の生活道として利用されていた。

<奥多摩むかし道の魅力>
(1)初心者OKのお手軽なハイキングコース
比較的起伏は少なく体力面や経験面で自信があまりない登山初心者でも安心して歩けます。大きな難所や危険箇所はほとんどありません。
(2)奥多摩の自然と風景
緑豊かな自然とその風景を身近に感じることができます。古くからの生活道であったためルート上の所々に小集落が点在しています。またルートの多くは広葉樹林であり、初夏は新緑そして秋は紅葉を楽しむことができます。

<ハイキングコース>
今回は、奥多摩湖からスタートして東へ、多摩川の流れに合わせて「奥多摩」駅へ向かっていくルートです。コースタイムは約3時間30分(休憩はのぞく)です。

「奥多摩湖」バス停
「奥多摩湖」バス停

「水と緑のふれあい館」の裏手へ入る
「水と緑のふれあい館」の裏手へ入る

「水と緑のふれあい館」の裏手の高架橋を渡る
「水と緑のふれあい館」の裏手の高架橋を渡る

さっそくカモシカさんに遭遇
さっそくカモシカさんに遭遇

「水根」バス停裏の入口
「水根」バス停裏の入口

「奥多摩湖」バス停からスタートです。バス停は奥多摩湖・小河内ダム堰堤のすぐそばです。ダムの脇にある「水と緑のふれあい館」の裏手が奥多摩むかし道入口に繋がります。高架橋を渡り階段を下ります。「奥多摩湖」バス停のひとつ手前のバス停「水根」の裏側に入口があります。入口に入りしばらくは舗装道路の登り坂です。水道局ポンプ所がある分岐を右手に曲がります。

奥多摩むかし道の道標は要所にあります
奥多摩むかし道の道標は要所にあります

奥多摩の山並み 御前山でしょうか
奥多摩の山並み 御前山でしょうか

奥多摩湖と小河内ダム
奥多摩湖と小河内ダム

坂の途中で右手に枝分かれした細い坂道へ入る(道標あり)
坂の途中で右手に枝分かれした細い坂道へ入る(道標あり)

奥多摩むかし道の石柱 道標と同様に要所にあります
奥多摩むかし道の石柱 道標と同様に要所にあります

左から来て、右へV字に切り返すように進む
左から来て、右へV字に切り返すように進む

本日お二人目のカモシカさん
本日お二人目のカモシカさん

登ってきた坂の途中で右手に折り返すような細い坂道が枝分かれしていますのでそちらに入ります。青目不動尊を過ぎて石畳の下り坂に入り、やがて道は土の山道となります。森を抜けて小集落に入ると浅間神社のそばでV字に切り返すように坂を下りていくとふたたび森に戻ります。しばらく森の中を歩き舗装道路に合流します。切り返すように坂を下りていきもう一度切り返して下っていきます(西久保の切り返し)。切り返し地点にトイレとベンチがあります。

奥多摩むかし道の山道
奥多摩むかし道の山道

所々で小集落を通過する
所々で小集落を通過する

苔むした石垣
苔むした石垣

“西久保の切り返し”からは舗装道路が長く続く
“西久保の切り返し”からは舗装道路が長く続く

堂所吊橋
堂所吊橋

石仏やお地蔵様などが点在する
石仏やお地蔵様などが点在する

馬の水のみ場
馬の水のみ場

”馬の水のみ場”のお茶屋さん跡
”馬の水のみ場”のお茶屋さん跡

”西久保の切り返し”から先は舗装道路が長く続きます。旧青梅街道であり、進行方向(奥多摩駅方面)左手の斜面上に国道411号線(現・青梅街道)が走り、右手の斜面下に多摩川が流れているというおおよその位置関係にしばらくなります。道を進み、堂所吊橋を右手に過ぎて、日本画家・川合玉堂の歌碑のあたりに小集落があります。その先に崖から湧水(馬の水のみ場)がありますが、人が飲用できる状況ではなさそうです。かつてはここにお茶屋さんがあったそうですが、いまはその廃屋と思われる建物があるだけです。

森の間に点在する集落をいくつか過ぎていく
森の間に点在する集落をいくつか過ぎていく

イロハカエデの巨樹
イロハカエデの巨樹

国道411号線合流
国道411号線合流

さらに道を進み“しだくら吊橋”を右手に過ぎると惣岳ノ不動尊の近くにトイレがあります。不動尊の先に小集落があり、イロハカエデの巨樹が右手にあります。また巨樹の先に分岐があり、分岐を左手に上がっていくと国道411号線に合流します。合流地点から左手へ411号線を奥多摩湖方面へ戻るようにすこし歩くと「梅久保」バス停があります。国道を歩く場合は交通量が多いのでご注意ください。また路側帯も狭いです。

砂利の奥多摩むかし道
砂利の奥多摩むかし道

弁慶の腕抜き岩
弁慶の腕抜き岩

左手の道をまっすぐに進む
左手の道をまっすぐに進む

国道411号線合流の手前の石段を上がる
国道411号線合流の手前の石段を上がる

イロハカエデ巨樹の分岐・右手の砂利道が奥多摩むかし道の続きになります。道の左側斜面に建つ白髭神社を過ぎるとまた集落に入ります。集落の入口に分岐がありますが右手の折り返すような坂を下るのではなく左手に真っ直ぐ進みます(道標あり)。集落を抜けると不動ノ上滝とトイレがあります。さらに先へ進むと411号線との合流地点が出てきます(合流地点に「橋詰」バス停あり)。奥多摩むかし道は411号線には出ず、その手前にある左手の石段を上がります。

集落に入る細い坂道を下る
集落に入る細い坂道を下る

奥多摩むかし道と国道411号線の分岐 左手の坂を上がる
奥多摩むかし道と国道411号線の分岐 左手の坂を上がる

槐木のトイレ
槐木のトイレ

石仏群
石仏群

右手の細い坂を下る
右手の細い坂を下る

石段を上がりきると右手に集落へ入る細い坂道を下ります。集落に入り舗装道路を道なりに進みます。左手に浄水場がありその前が分岐路になっています。右手へ下りますと411号線に合流します。奥多摩むかし道は左手の坂を上がっていきます(道標あり)。しばらくなだらかに上がっていきますと槐木のトイレに辿り着きます。トイレの前を過ぎて坂を上がっていきますと左手に石仏群があります。その向かい側の道の右手に細い道が枝分かれしていますので右手へ下っていきます。

廃線の線路跡
廃線の線路跡

羽黒坂を下る もうすぐゴール
羽黒坂を下る もうすぐゴール

奥多摩駅側の奥多摩むかし道入口に到着し、来た道を振り返る
奥多摩駅側の奥多摩むかし道入口に到着し、来た道を振り返る

奥多摩駅入口・交差点
奥多摩駅入口・交差点

奥多摩駅
奥多摩駅

枝分かれした道を下るとふたたび森の中の土の道となります。道が石畳となり右手に廃線の線路が見えてきます。その先に廃線のトンネルも見えます。トンネルを過ぎると舗装されたすこし急な下り坂(羽黒坂)となり、もうすぐゴールです。羽黒神社を左手に坂を下りきると奥多摩むかし道は終了です。ここからは奥多摩駅に向かいます。奥多摩むかし道の先で411号線と合流し左手に進みます。右手に奥氷川神社がある奥多摩駅入口・交差点を左手に入れば、すぐに奥多摩駅です。今回はここがゴールです。

<行程表>
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
「奥多摩湖」バス停→ 青目不動尊(20分)→ 浅間神社(35分)→ 西久保の切り返し(25分)→ 堂所吊橋(15分)→ しだくら吊橋(15分)→ 惣岳ノ不動尊(5分)→ イロハカエデの巨樹(10分)→ 不動ノ上滝(20分)→ 槐木トイレ(30分)→ 奥多摩むかし道入口(20分)→ 奥多摩駅(10分)
コースタイム/ 3時間30分程度
標高差/ 200m程度 (奥多摩湖バス停:540m、奥多摩駅:350m)

<ハイキングコースの補足>
コース全体のほとんどが「落石注意」地帯になります。
ルートはおおよそ舗装道路になります。部分的に土や砂利の山道があります。
コースの森林はおおむね広葉樹になります。初夏は新緑、秋は紅葉が美しいです。
ルート途中で国道411号線に復帰できるポイントがいくつかあります。411号線には路線バスが運行しておりバス停があります。
ルート上には奥多摩むかし道の道標や石柱が要所に設置されているので迷うことはあまりないと思います。
ルートはどちらからでも起伏がありますが、全体的に言えば奥多摩湖側から奥多摩駅へ向かう方が下り基調となります。
●水場やトイレなど
ルート上に水場はありません(離れた場所にはある)。
トイレは要所に複数あります。

<難易度・危険箇所など>
大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。
積雪さえなければオールシーズン楽しむことができます。
大部分が舗装道路です。山歩きに慣れた方であれば登山靴は必須ではありませんが、歩きやすい靴と服装が必要です。

<売店等>
ルート途中に売店などはありません。
奥多摩駅には自動販売機があります。駅舎内に売店があります(奥多摩駅バスロータリー隣接の売店は閉鎖しました)。
奥多摩駅側の奥多摩むかし道入口ちかく(国道411号線沿い)にコンビニエンスストアがあります。
奥多摩湖バス停そばの「水と緑のふれあい館」内に売店があります。

<日帰り温泉など>
もえぎの湯 (奥多摩駅)
梅の湯 (河辺駅)

<お食事処>
「水と緑のふれあい館」内に食堂があります。ダムカレーが名物です(数量限定)。
奥多摩駅周辺に複数のお食事処があります。
日帰り温泉施設「もえぎの湯」と「梅の湯」内には食堂があります。

<名産品>
こんにゃく
わさび
わさび漬け

<アクセス>
JR青梅線「奥多摩」駅から路線バス(西東京バス)で「奥多摩湖」バス停まで約15分。

<そのほかの補足> 
(1)水と緑のふれあい館
東京都水道局が運営する奥多摩湖と小河内ダムの紹介施設(入館無料)
(2)小河内ダムには展望台があります(入館無料)
(3)奥多摩町観光案内所
奥多摩駅前。各種パンフレット等備置。
(4)奥多摩ビジターセンター
奥多摩駅近く(奥多摩駅入口・交差点そば)。登山道の情報提供あり。

<私的な雑感>
登山初心者でもOKなお手軽に奥多摩の自然を体験できるハイキングコースという印象です。
多少の起伏はありますが、登山というほどの上り下りもなく、道の多くが舗装道路ですので比較的安心してウォーキング感覚で歩けるコースであると思われます。

初めて歩いたときはトレッキングシューズでしたので舗装道路歩きのため少々、足が疲れてしまいました。山道に歩き慣れた方であれば、アウトソールの硬い登山靴などではなくクッション性の高い歩きやすいスポーツシューズ等であっても問題ないのではないかなと思われます。

山のなかの森歩きの場合、一般的には土の登山道を歩きますので、森を眺めながら歩いていると足元が疎かになってちょっと危ない。しかし奥多摩むかし道は多くが森の中の舗装道路ですので、足元にあまりとらわれることなく周囲の景色などを見回しながら歩くことができます。また通行する車両も途中の小集落の生活車両や工事車両なのであまり交通量はありません。そのためゆっくりのんびりと歩くこともできます。

悪路をあまり心配することなく、初夏には鮮やかな新緑、秋には色づいた紅葉狩りをゆったりと堪能できるハイキングコースではないかなーと思われます。

<備考>
奥多摩観光協会Webサイトにて奥多摩むかし道のマップが提供されています。
昭文社・山と高原地図においては「24.奥多摩 御岳山・大岳山」内に記載があります。
奥多摩駅からスタートする場合、帰路は「奥多摩湖」バス停から奥多摩駅行きのバスに乗車することになると思います。通行本数が多くないので発車時刻にご留意ください。また週末は登山者でたいへん混み合い、バスに乗り切れないこともありえますのでお気をつけください。

(2023/09/10 上町嵩広)

登山レポーター

登山やトレッキングに関する極私的な観点からの感想や記録のレポートがメインです。登山道の情報だけでなくお食事処や立寄り湯などの関連情報もお伝えしていきたいと思います。皆様の今後の山行のお役に立ち、またこれから登山を始めたいと考えていらっしゃる方のためになれば幸いです。登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。雪山やテント泊もやっています。ブログ「note」内でマガジン『登山の魅力』や『歴史に連なる山登り』なども掲載しております。よかったら併せてご覧ください。好きな山は「編笠山」(八ヶ岳)。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」

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