ヤクルトの新外国人は「オスナ」か「オスーナ」か。バレンティンは実は「ウラディミール」ではない?
東京ヤクルトスワローズが新外国人として、今シーズンはピッツバーグ・パイレーツでプレーした内野手のホセ・オスナ(27歳)を獲得。さらに今季はヒューストン・アストロズで投げていた救援右腕のサイ・スニード(28歳)との契約も合意に達したと、国内外で報じられている。
外国人の名前をカタカナ表記する難しさ
このうち、オスナの姓は英語では「OSUNA」。今年のパイレーツのメディアガイドには発音は「o-SOON-ah」と示されているので、厳密にこれに従うなら「オウスーナァ」(アルファベットの「o」の発音は「オウ」)という表記になるのだろうが、これだと見た目に違和感がある。そこでメジャーリーグ時代も日本では「オスーナ」もしくは「オスナ」と表記されていたが、NPBでの登録名は「オスナ」に落ち着きそうだ。
一方のスニードは英語で「SNEED」で、これはメディアガイドに発音の案内を載せる必要もないほど分かりやすい。簡単に言ってしまえば、「必要」を意味する英単語の「NEED」の頭にSが付いているだけなので、カタカナでは「スニード」以外の表記はないだろう。
ただし、五十音では表すことが難しい音の含まれることも多い外国人の名前を、カタカナで表記するのは、時として困難を伴う。その場合は実際の発音と見た目(英語表記)の両面から、落としどころを見つけることになる。
選手によって表記がバラバラな「ORTIZ」
たとえば「ORTIZ」。この姓は、NPBで一軍出場経験のある選手が過去に3人いるのだが、1997年にヤクルトに入団した内野手のルイス・オルティス、2003年のオリックス・ブルーウェーブ(現バファローズ)を皮切りにパ・リーグ4球団で内野も外野も守ったホセ・オーティズ、そして2008年にオリックスに入団した投手のラモン・オルティズと、登録名はバラバラだった(3選手とも出身はドミニカ共和国)。
ボストン・レッドソックスなどで通算541本塁打を放ったDAVID ORTIZも同じ姓だが、日本での表記は「オルティス」、「オルティーズ」など媒体によってまちまち。今もって何を「正解」とするかは難しい。
カタカナ表記は、時代によっても移り変わる。1974年に中日ドラゴンズのセ・リーグ制覇に貢献したジーン・マーチンや、2004年にヤクルトでプレーしたビリー・マーチンの頃は「マーチン」と表記されていた「MARTIN」は、現在は千葉ロッテマリーンズのレオネス・マーティンのように「マーティン」が一般的になっている。
今年7月に支配下登録された中日のアリエル・マルティネスを含め、これまで一軍で出場した選手が7人いる「MARTINEZ」姓も、1992年にオリックスに入団した”第1号”のカルメロ・マルチネスの後は全員が「マルティネス」表記。マーティンもそうだが、この辺りは外来語のカタカナ表記の変化による影響もありそうだ。
バレンティンの「WLADIMIR」は実は「ヴラディミール」
なお、今シーズンはヤクルトに在籍した投手のマット・クックの姓は、英語で「KOCH」。メジャーリーグにはトロント・ブルージェイズなどで通算163セーブを挙げたビリー・コッチという投手がいて、スペルはクックと同じだが、データサイトのベースボール・リファンレンスの発音ガイドを借りるなら、こちらは「COTCH」。これに対してクックは「cook」であり、そのため「クック」として登録されていたというわけだ。
姓ではないが、福岡ソフトバンクホークスのウラディミール・バレンティンの場合、ファーストネームの「WLADIMIR」は「ヴラディミール」と発音するのだと、ヤクルト時代に教えてもらった。ロサンゼルス・エンゼルスなどで通算449本塁打をマークした殿堂入りのスラッガー、ヴラディミール・ゲレーロの「VLADIMIR」と、スペルは異なるものの発音は同じだということを、その時に初めて知った。