残りシーズンは残りわずか。各々のテーマに最後まで全力で向き合う選手たち【九州アジアリーグ】
さる11日に火の国サラマンダーズの優勝が決まった九州アジアリーグ(KAL)だったが、今月末までは公式戦は続いている。ただし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う蔓延防止措置発令などを受け、雨天中止分などの振替試合は行わず、9月26日の試合をもって今シーズン終了とすることが決まった。
シルバーウィークは大分県竹田市での3連戦。優勝決定後、大分B-リングスは好調で18日土曜までの対戦ではサラマンダーズ相手に2勝1敗と勝ち越している。そのせいか、試合前のベンチも幾分明るい。
この季節は、独立リーガーたちにとって大きな決断をする季節でもあるのだが、それぞれの選手の胸中にも様々な思いが駆け巡っていることだろう。専任選手の中で最年長の28歳、新井勝也主将は「今年がプロ(NPB)へのラストシーズン」の決意でシーズンに望んだが、九州で1年プレーし、現役続行を決意した。
「NPBはもう目指しませんけど」と、「その後」のキャリアを模索しながらのプレーを球団と話し合っている最中だと言う。この日、19日の試合でも3番セカンドでスタメン出場、3打数2安打と気を吐いた。
B-リングス・片山凌平、サラマンダーズ・源隆馬の先発で始まった試合は、前日のタイブレークの末のサヨナラ勝ちの勢いそのままにB-リングスが主導権を握った。
初回裏、先頭バッターの廣沢新太郎が放ったファーストへのゆるいゴロが内野安打となると、B-リングス打線はたちまちのうちにノーアウト満塁とし、ここから2点を先制。2回表にサラマンダーズに1点を返されるも、その裏に6番奥野祥生の2号3ランなどで一挙7点を入れ試合を決めた。
それでも最後はサブマリンの長瀬勝嵩、江藤奨真のリリーフ陣が打ち込まれ、3点差まで迫られる。9回、ひとつもアウトを取れず3連打で1点を失った江藤のもとに巨人で抑えの経験もある廣田広章監督が足を運び、「あと2点やれるんだぞ」とはっぱをかけると、江藤の目の色が変わった。奮起した江藤はここから3連続三振。B-リングスがリーグ戦8勝目を挙げた。
7イニングを2失点の片山は、7度目の先発にして初勝利。それとは対象的に、ここまで防御率2.12でリーグトップだった源は2イニングで失点9、自責点5で一気に2.89まで数字を落とし、2.16で2位につけていた同僚の松江優作に抜かれてしまった。松江は、タイトルをかけて今日20日(竹田市民球場)の先発マウンドに立つ。
3月末に開幕したリーグも残り4試合。B-リングスとすればふた桁まで勝利数を重ねたいのタイトル争い、ドラフト、そして自分自身のけじめ、選手ひとりひとりがそれぞれのテーマに向き合い、真剣勝負はまだ続く。
「ホリエモン球団」、本格的に始動
5月に来シーズンからのKAL参戦が発表された実業家・堀江貴文氏がオーナーを務める「ホリエモン球団」、福岡北九州フェニックスが17日、記者会見を開き、正式なKALへの加盟を発表した。加盟申請はすでに10日に正式承認されており、既報通り、新チームは北九州市を中心に活動する予定だという。
独立リーグはどこも観客動員に苦戦しているが、堀江氏は、アフターコロナにおけるローカルなプロスポーツに可能性を見出し、様々なアイデアによって新球団を運営していく方針を示した。堀江氏の展望は、韓国、台湾球界との連携やスポーツくじなどリーグ全体の将来像にもおよぶ「らしい」もので、KALはおろか、独立リーグ界に今後、強い刺激を与えてくれることを期待させた。
代表取締役の河西智之氏は、フィールドで戦いについて言及。独立リーグ最強の呼び声も高い、初年度優勝チーム、火の国サラマンダーズや交流戦で対戦することが予想される同じ福岡県を本拠とするソフトバンク・ホークス三軍にひけをとらない戦力を集めたい旨、言及した。
トライアウトは、10月30日と11月3日に開催する予定だという。
(文中の写真はすべて筆者撮影)