有名店がまたも閉店! 飲食店を潰れさせないためにできる5つの簡単なこと
有名店が閉店
食後30分間の皿洗いをすると1食分が無料になることで有名な京都市上京区にある「餃子の王将」が2020年10月31日に閉店しました。
オーナーの井上定博氏が70歳を迎えたことでフランチャイズオーナーの定年となり、後継者もいないため、閉店を決めたということです。
閉店することが記事に掲載されたり、テレビで放送されたりすると、これまで久しく訪れていなかった客が訪れるようになり、非常に忙しくなったといいます。
飲食店はまだ復調せず
大手の飲食店予約サイトTableCheckによれば、飲食店の状況は改善されているものの、通常時と比べれば、まだ復調していないということです。
10月の1店舗当たりの来店人数は約43.1人で、9月の約35.4人に比べれば21.8%増えていますが、前年同月比でいえば22.3%減となっています。
飲食店はただでさえ、営業利益率が10%もあれば優良であるとされる、薄利多売の厳しい業種。緊急事態宣言があった4月以降の落ち込み具合を考えてみれば、閉店してしまう飲食店が続出しても驚きはありません。
実際のところ、東京でいえば、ミシュランガイドで星を獲得したクラシックなフレンチやモダンイタリアンが閉店したり、都下の老舗がクローズしたりしています。
売上が激減して経営的に厳しくなった飲食店が閉店していますが、その時にも「餃子の王将」と同じように、最後の記念にと訪れる客が急増するものです。
そして、こういった事態を見聞きする度に、いつも複雑な思いに駆られます。
閉店の決断は重たい
閉店を惜しんで、食べに訪れるのはよいことでしょう。
ただ、「やめないで」「何とか続けて」「がっかりした」と無責任に発言するのは浅薄な気がします。なぜならば、閉店は非常に重たい決断だからです。
閉店間近の特需で客が殺到していますが、仮に閉店をやめて続けることにしたとしても、同じように客が訪れることは、まず難しいでしょう。
飲食店が閉店するにはお金も手間もかかり、いきなり店を畳めるわけではありません。
借りていた場所を原状回復したり、スタッフに給料を振り込んだり、仕入れの買掛金を支払ったり、リースした什器の残債を返したりと、最後までお金が必要になります。
資金にまだ余裕があるうちに閉店することで、こういったものをきれいに清算することができるのです。そして、跡を濁さないことが、次に新しい飲食店をオープンする時の財産にもなります。
経営的に厳しい状況であるにもかかわらず、閉店せずに営業を続けていれば、あらゆる支払いが不可能になり、最終的には信用も失ってしまうでしょう。
飲食店のオーナーにとって、店は我が子も同然です。本心をいえば、石にかじりついてでも続け、その生命を存続させたいところ。しかし、他の人々に迷惑をかけたくないという考えから、苦渋の決断で閉店を決めているのです。
こういった背景や意思を汲み取ってもらえれば、先程のような言葉は出ないのではないでしょうか。
飲食店に存続してもらうために
飲食店が閉店することになってから残念がっても、あまり意味がありません。
大好きな飲食店にずっと存続してもらいたいのであれば、営業しているうちに応援するしかないのです。
では、どのようにすれば、飲食店に続けていってもらえるのでしょうか。
非常に基本的なことばかりですが、改めて説明していきます。
訪問頻度を増やす
飲食店に存続してもらいたいのであれば、飲食店に訪れることが何よりも重要です。非常に当たり前のことかもしれませんが、それができていないので、大好きな飲食店が閉店してしまうのです。
飲食店に訪れることは、その飲食店を支持していると表明していることに他なりません。多くの飲食店の中から、残ってもらいたい飲食店に投票することと同じ意味をもちます。
より多くの票を投じるには、より多く訪問すればよいです。年に1回訪れていたものを半年に1回にしたり、季節毎に訪れていたのを隔月にしたりと、訪問頻度を増やすのは飲食店にとって嬉しいこと。
たくさん訪れることによって、飲食店は売上を増やせますが、それだけではありません。客が飲食店にいることによって、店内にも活気が生まれ、よい雰囲気がつくられるのです。
スケジュールが決まっているのであれば、予約が必須の飲食店でなくても、予約しておくのがよいでしょう。予約していれば飲食店も事前に準備ができ、それが結果的に、予約した客の満足度向上にもつながるからです。
どうしても潰れてほしくない飲食店があれば、できるだけ多く訪れてください。
あともう1品注文する
飲食店では、もう1品、もう1杯というように、注文数を増やせばもっと応援できます。
原価率が高いものであったり、手間暇かかるものであったり、ポーションが小さいものであったりすると、飲食店は嬉しくないのではと、気にする方がいるかもしれません。
しかし、客の立場であれば、そこまで考える必要はないでしょう。たくさん注文することは飲食店にとってありがたいことなので、できるだけ多く注文しようとするだけで十分です。
料理はお腹が一杯になったらもう注文できませんが、アルコールが好きな方であれば、お酒ならまだ飲むことができるかもしれません。
応援している飲食店では、もう1品、もう1杯と気軽に注文してみてください。
少し背伸びする
注文数を増やすことに加えて、普段より少し高いものをオーダーすることでも、応援することができます。
コースメニューやセットメニューでは、時間があればショートコースではなくフルコースを選んだり、アップグレードしたりすることが、これに該当します。より高いコースやセットであれば、より様々な料理や力を入れている料理を味わうことができるので、客にとっても貴重な食体験となるでしょう。
アラカルトであれば、食材がよいものであったり、シグネチャーディッシュであったりと、ちょっといいものをオーダーすることをお勧めします。
もちろん、ただ単価が高いからといって、好きではないものを無理にオーダーする必要はありません。なぜならば、あまりよくない食体験のせいで、その飲食店のことが好きでなくなってしまったら、何のために応援しているのかわからなくなるからです。
応援している飲食店に訪れる時くらいは、少しは背伸びをして、値段の高さはあまり気にせず、好きなものを楽しんでいただきたいです。
新しい客を連れてくる
飲食店に訪れる際に、これまで来たことがなかった客を連れてくることも応援につながります。
客の人数が多ければ多いほど売上が増え、奇数人数ではなく偶数人数であった方が客席稼働率は上がるもの。しかし、こういったことを気にするよりも、新しい人を連れて行くことに気を使った方がよいでしょう。
なぜならば、その飲食店のことを知らなかった人が、新たにファンになり、応援してくれることになるかもしれないからです。ファンの輪はどんどんつながっていくので、さらなるファンの拡大も期待できるでしょう。
訪れたことがなかったり、知らなかったりする人を連れて行くことが、大好きな飲食店が存続するための力を高めます。
テイクアウトやデリバリーを利用する
店内で飲食しなくても、応援することができます。新型コロナウイルスの影響で、テイクアウトやデリバリーを行う飲食店が増えてきました。
経営的な観点からいえば、テイクアウトやデリバリーだけでは、飲食店を救うことができないので、店内飲食がもっと復調しなければなりません。ただ、店内飲食できなければ、飲食店を全く応援できないというのも残念なこと。そのような時には、テイクアウトやデリバリーを利用すればよいのです。
テイクアウトやデリバリーで応援し、店内飲食できる機会ができたら、コースやアラカルト、ワインなどのお酒を思う存分に楽しむとよいでしょう。
飲食店はテイクアウト専門店ではないので店内飲食を主としますが、テイクアウトやデリバリーでも支持することができるのです。
飲食店を応援してもらいたい
大好きな飲食店が潰れず、存続できるようにするため、どのように応援していけばよいのか、ここまで紹介してきました。
新型コロナウイルスの感染が収まらない状況にあって、大切な思い入れのある飲食店、元気や癒やしをもらえる飲食店が閉店の危機に瀕しています。閉店が決まってから惜しんで訪れても、ほとんど意味がありません。
アメリカで女性シェフとして初めてとなるミシュランガイド3つ星を獲得したドミニク・クレン氏は、料理で家族への愛情を表現し、人々とのつながりを感じたいと述べています。
なくなってしまってから残念に思うくらいであれば、ここで紹介したような簡単な方法を用いて、つながりのある飲食店を少しでも応援してください。