アップル、発汗量を測定できるスマートウォッチの特許を出願
常に使用者の肌に密着しているスマートウォッチは、人体に関連する様々な測定を行なうのに最適なデバイスです。心拍数、活動量、睡眠状態、ECG(心電図)、血圧、体温、そして、(今、マシモ社との間の特許係争によりApple Watchでは使用できなくなっている)血中酸素濃度などが測定対象として一般的です。さらに、PatentlyAppleで知りましたが、アップルによる発汗量を測定できるスマートウォッチでの特許出端がつい最近に公開されました。発汗量に基づいて運動時に適切な水分の摂取をアドバイスするなどのユースケースが想定されています。これはちょっと盲点だったかもしれません。
公開番号は、2024/0050013(公開されたばかりなので、まだGoogle Patentには掲載されていません。)、実効出願日は2022年8月11日、発明の名称は"WEARABLE DEVICES WITH PERSPIRATION MEASUREMENT CAPABILITIES"(発汗量測定機能を備えたウェアラブルデバイス)です。まだ実体審査は始まっていません。また、米国外での出願は確認されていません。
特許明細書では、発汗センサーの構造等には特に触れられておらず、皮膚の静電容量を測定することで発汗量を推定し、適切な水分の摂取等をアドバイスできるという点が記載されているだけです。また、スマートウォッチ装着部で測定された発汗量から全身の発汗量を推定するためにそれなりのロジックが必要と思うのですが(やたら手だけ汗かく人とかいますよね)、そのあたりも開示されてはいません(そもそも、このあたりの機能は実装するとしても、特許として開示するのではなくノウハウとして秘匿化すべき情報と思われます)。
しかし、皮膚の電気特性を測定することで発汗量を推定する技術およびそれを使ってウェアラブルデバイスはすでに公知であり、たとえば、Fitbitの製品などにも実装されています。
アップルは当然この点はわかっており、やや苦し紛れではありますが、特許化を目指して、単に「発汗量センサーを備えたスマートウォッチ」だけではないクレーム構成にしています(まだ、審査が始まっていないのでどのような形で権利化されるか(あるいは、されないか)はわかりませんが)。
クレーム1の内容は以下のようになっています。
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