大いに盛り上がったアクティブ・ラーニング活用の観光理解の向上のためのフィールドワーク・イベントの開催
筆者が所属する城西国際大学(JIU)大学院国際アドミニストレーション研究科は、東京都と連携して、イベント「観光理解促進フィールドワーク:インバウンド×マーケティング×データサイエンス(東京都令和4年度都民の観光振興への理解促進事業の一環)」を開催した。
観光業(特にインバウンド観光)は、コロナ禍においてこの3年間壊滅的な状況にあった。しかしながら、最近はコロナ禍の成り行きが見えてきており、アフターコロナに向けて世界的にも動きがでてきているということができよう。
そのような状況を受けて、本研究科は、同イベントを開催したのである(注1)。同イベントは、観光振興への理解を促進することを目的とする東京都の事業の一環で行われた。何かの情報の理解や共有では一般的に講演会やセミナーなどの形態で行われることが多い。だが、本イベントにかかわった教員(注2)は、そのような催しを超えた新しいチャレンジをしたいと考えた。そこで思いついたのが、観光地域でフィールドワークを楽しみながら、グループワークを行い、その成果を発表するイベントだった。
それらの活動は、近年注目されてきている、いわゆる「アクティブ・ラーニング(AL)」といわれるものだ。ALは、文部科学省によれば、「伝統的な教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学習者が能動的に学ぶことによって,後で学んだ情報を思い出しやすい,あるいは異なる文脈でもその情報を使いこなしやすいという理由から用いられる教授法。発見学習,問題解決学習,経験学習,調査学習などが含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワークなどを行うことでも取り入れられる」と定義されている。
同イベントは、観光振興への理解を高め、考えるうえで参考になる情報を提供する「講義」(注3)、それらの情報を活かした「グループワーク(GW)」、現地を訪問しての「フィールドワーク(FW)」(注4)、そしてGWおよびFWの成果の発表・審査からなる「発表」の4部構成で、正式なイベントは2月4日および11日に開催した。
本イベントの FW参加者は多忙ななか、FWを楽しみながらも、かなり精力的かつ熱心にGWに取り組んだ。そして各グループとも見事にグループの企画・提案をまとめあげ、その成果の発表および審査でも大いに盛り上がった。参加者からも、学びとそれに基づく実践的な調査および活動ができて良かったという意見もいただいた。
今回のような参加型のイベントは、参加者が多くの学びと理解向上において高い成果や役割を果たせるという確信を、イベント関係者にもたせるものとなったといえるであろう。
今後も、同イベントの経験を活かして、より多くの方々に参加していただける工夫をして、新たな挑戦をしていきたいと考えている。
(注1)同イベントについての詳しい内容は、次の記事を参照のこと。
(注2)その教員は、筆者以外には、黒澤武邦准教授、石井伸一准教授、小松悟朗准教授であった。
(注3)このパートは、ナイトタイムエコノミーに関するバーチャル・ツアー・解説およびマーケティング×データサイエンスの解説、国際移動や羽田空港についての講演ならびにアフターコロナにおけるインバウンド観光の現状と今後についての講演から構成されていた。
(注4)同イベントでは、インバウンド観光においてこれまでのところ必ずしもメインの地域ではあるとはいえない東京都区部の「新大久保」と「柴又」および多摩の「吉祥寺」をフィールドワークの対象地域に選定した。