コロナ禍で20代のマンション購入が増加 新時代を生きる「0.5次取得層」の戦略とは
コロナ禍が各分野に影響を与えるなか、6月以降販売活動を再開したマンション販売センターに若い購入検討者が増えている。それも、郊外のマンションではなく、都心近くの便利な場所のマンションにおいて。この動きには、首をかしげる不動産関係者が多い。今、なぜ若い購入検討者が増えているのか、と。
「0.5次取得層」と呼ばれてきた若い購入者
不動産業界において、マイホームを初めて買う人は「1次取得層」と呼ばれる。33、34歳で、最初の子供が未就学のファミリー層が「1次取得層」の典型像だ。なぜ33、34歳なのかというと、以前の住宅ローンは「70歳で完済」が条件だったからだ。
最長35年返済の住宅ローンを組むためには、35歳の誕生日を迎えるまでに住宅ローンを組む必要があった。だから、33歳、34歳で最初のマイホームを買う人が多かったわけだ。「70歳で完済」のしばりがなくなった現在も、35歳くらいまでにはマイホームを買ったほうがよい、という目安は生きている。だから、マイホームの1次取得層は、30代半ばくらいの人を指すわけだ。
そのような1次取得層には、3000万円台〜4000万円台の3LDKがぴったりで、郊外大規模マンションは、まさにうってつけ。だから、3000万円台〜4000万円台で3LDKが購入できる郊外大規模マンションは「1次取得層向けの企画」とされてきた。
「1次取得層」から派生して、買い換えで都心部の高額マンションを買う人を「2次取得層」。投資目的やセカンドハウス目的で、マンションを買い足しする人を「1.5次取得層」などとする呼び方も生まれた。
さらに、「0.5次取得層」という言葉が生まれたのは、2000年代の初頭。分譲マンション価格が安くなり、「都心マンションブーム」が起きた頃だ。都心マンションが安くなったのに合わせ、郊外マンションはさらに安くなった。安くなった郊外マンションを、まだ頭金も貯まっておらず、マイホーム購入の準備ができていない20代の人が購入し始めたことを指し、「0.5次取得層」と呼んだわけだ。
2015年以降、マンション価格が上昇して「0.5次取得層」は姿を消した。
その「0.5次取得層」が、コロナ禍の影響を受ける今、首都圏の便利な場所に立地するマンションに増えだした。
注目すべき最新の現象を、販売センターや見学者への取材を基に解説したい。
「0.5次取得層」は、むしろ堅実派
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