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桜が満開のこの季節に食べたい桜もち!関東と関西で桜もちは違う?桜もちと合う日本茶もご紹介

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター

桜が満開になり食べたくなるのが「桜もち」。桜の葉の香りがたまりません。

ところで、桜もちは関東と関西と違うのをご存じでしょうか?

今回はその違いと、日本茶との相性について考察していきます。

東西の桜もちについてはアンケートも実施し、それでわかった興味深い結果や地域差も明らかに!

これが桜もち?

「え?これが桜もち?いつも食べていた桜もちと違う!」

西日本から関東に引っ越してきてすぐ桜もちを買いに和菓子屋さんに行ってびっくり。

こしあんを和風クレープと言えそうなピンク色の薄皮で包んだもの、それが関東で言う桜もちなのです。

桜の葉っぱで外がわをくるむのは共通ですが、私が西日本で食べていた桜もちとは全く違った形と食感。

左が関東風の桜もち、右が関西風の桜もち
左が関東風の桜もち、右が関西風の桜もち

関東風の桜もちは東京都墨田区の「長命寺桜もち」が元祖だそうで、江戸時代に長命寺に勤めていた人がたくさんある桜の葉の利用を考えて考案したと言われています。

お店によって違いますが、関東風の桜もちの皮は小麦粉や米粉が使われていて、クレープのように薄く焼いたものです。

関西風の桜もちは関東近郊では「道明寺(どうみょうじ)」とか「道明寺桜もち」と呼ばれます。

道明寺というのは、関西風の桜もちの餅部分の材料である「道明寺粉」のことです。

道明寺粉は大阪の道明寺というお寺が発祥の蒸したもち米を乾燥させたもので、元々は保存食だったそうです。

道明寺粉を使ったお菓子は関西風の桜もちの他に、椿餅という2月ごろに登場する和菓子もあります。

気になる全国の桜もち分布

東京近郊は関東風と関西風どちらも買えるお店が多いので、私はその日の気分でどちらにするか決めたり、どちらも食べたい日は両方買ったりしています。

そこで、気になったことが。

西日本在住の方は関東風桜もちを知っているのだろうか?

関東在住の方は関東風と関西風とどちらもあるけれど、それを認識して買っているのだろうか?

そこで、SNSでアンケートを実施してみました!

質問事項はこちらの2つ

  • お住いの地域では関東風と関西風のどちらの桜もちを売っていますか?
  • 関東風と関西風の桜もちの違いを認識していましたか?

回答数は53で全ての都道府県とまではいきませんでしたが、アンケート結果で大体の傾向が明らかになりました。

(アンケートにご協力くださった方々、ありがとうございました!)

関ケ原あたりで東西の文化が分かれる?

食文化は岐阜県の関ケ原の辺りで分かれると言われるようですが、アンケートでは桜もちについても予想通りの結果となりました。

九州・四国・中国地方・近畿地方は関西風の桜もちがほとんどで、関東風の桜もちはゼロか少し置いているお店があるという程度とのことです。

関東では関東風と関西風のどちらも販売しているお店がほとんどでした。

気になる岐阜県では関西風桜もちがかなり優勢のようで、同じ中部地方の愛知県も同様でした。

データの中には静岡県がありませんでしたが、検索してみたところ関西風桜もち勢力がやや強そうです。しかしところどころ関東風も見受けられるので、どうやら太平洋側では静岡県が東西の桜もち交錯地点なのではと思われます。

日本海側では石川県は関東風が多く、新潟県は関西風のみの地域があったり関東風のみの地域があったりするようです。

山陰地方、島根県松江市では関東風桜もちが優勢です。

江戸時代に松江藩の家老が参勤交代で江戸の長命寺桜もちを知り松江でも作らせたと言われているそうです。

東北地方では関東風と関西風を時期をずらして販売しているお店もあるそうです。

北海道では関西風の桜もちが主流とのこと。江戸時代から明治時代まで北海道と日本海側から西日本をつなぐ「北前船」の影響でしょうか。

東京近郊では以前は関東風だけのお店が多かったようですが、いつごろからか関西風桜もちも売られるようになり、現在は「どちらもお店にあるから道明寺が関西風桜もちのことを指すとは知らなかった」「単に桜もちが2種類あるのだと思っていた」という方も多いようです。

いずれにせよ、和菓子好きには選択肢が多い方が楽しみも増えて嬉しいところ。

「桜もち」ののぼりを見るとテンションが上がりついつい買ってしまいます。

意外にも京都でも関東風桜もちが!

和菓子の伝統を大切にする京都。関西風桜もち一辺倒かと思いきや、なんと関東風桜もちが手に入るお店があるという情報もアンケートでいただきました!

そのお店は「鼓月(こげつ)」さん。本社は京都市でが昭和20年創業と京都では比較的新しいお店です。

関西風の桜もちに似た和菓子もありますが、桜の葉っぱで包まれたものは関東風のみのようです。他との差別化でしょうか。

京都で関東風の桜もちが食べたくなったら鼓月さんへGO!

賞味期限は短いですがオンラインでも販売しています。

詳しくは、鼓月ホームページ(外部サイト)をご覧ください。

「虎屋」は関東風のみ販売

そして調査していて一番意外だったのが「虎屋」さん。

京都発祥のお店なので関西風桜もちも扱っているのかと思っていたのですが、大正7年から関東風の桜もちを販売しているそうで、現在も関東と京都のお店でも関東風のみの販売のようです。(詳しくはこちらの「虎屋」サイトをご覧ください)

虎屋さんの歴史をサイトを見ると

とらやは室町時代後期の京都で創業。五世紀にわたり和菓子屋を営んできました。後陽成天皇の御在位中(1586〜1611)より、御所の御用を勤めています。明治2年(1869)東京遷都にともない、天皇にお供して、京都の店はそのままに東京にも進出、現在に至ります。

とあるので、おそらく東京に進出した当時からの桜もちのスタイルを継承しているのではと推察されます。

こちらも京都のお店でも2月25日から4月20日まで販売されているので、のぞいてみてはいかがでしょうか。

海外の桜もち事情

アンケートでは海外の桜もち事情も聞くことができました。

アメリカのカリフォルニア州では関西風が主流で時々関東風を見かけるとのこと。

日本食レストランや食材店も多い地域なので、和菓子も手に入るのですね。

スイスの桜もちは関西風で日本食のレストランで食べることができるそうです。

フランスのパリでは関西風が多いとのこと。海外では関西風が優勢のようです。

そして興味深いことに、パリの虎屋さんでは関西風も関東風も両方が手に入るそうです。

虎屋さんの関西風の桜もちが食べてみたい方は、パリに行けば食べられますよ(笑)。

パリでは大福やどら焼きのお店があったり和菓子も手に入りやすいそうですが、日本茶を扱うお店も増えているそうで品種別やシングルオリジンなどマニアックなラインナップや楽しみ方が広まりつつあるようです。

抹茶は桜もちに合う?

さて、桜もちですが、かしこまった席よりはカジュアルな場面で食べられることが多いものです。

「映え」を重視するなら抹茶に合わせたいところですが、本当に抹茶に合うのか、関西風と関東風で食べ比べてみました。

まず、関東風から試してみます。

関東風の桜もち
関東風の桜もち

こしあんが上品でクレープ状の皮も軽めなので、あっさりとした軽い感じです。

桜の葉の香りと塩気で甘すぎない味で、抹茶にとてもよく合います。

では、次に関西風を。

関西風の桜もち。関東では「道明寺」とも呼ばれる。
関西風の桜もち。関東では「道明寺」とも呼ばれる。

道明寺のつぶつぶで粘り気のあるお餅が楊枝にくっつき少々食べにくい感じはしますが、もちもち食感が好きな方におすすめしたいです。

おもちなので関東風より食べ応えがあり、こちらも抹茶によく合います。

というわけで、桜もちは関東風と関西風のどちらも抹茶によく合うという結論に。

抹茶と桜もちは来客時にも春の色合いで喜ばれること間違いなしです。

桜もちに合う日本茶は?

抹茶の他に桜もちに合うおすすめの日本茶をご紹介します。

煎茶

まずは、王道の煎茶。

桜の香りにも負けない、少し濃いめのものがおすすめです。

普通煎茶でも深蒸し煎茶でもどちらも合います。

かぶせ茶

煎茶と玉露の間のようなうま味のある緑茶で品があり、桜もちに合います。

いれ方は煎茶と同じです。

軽めのお茶タイムにしたいなら関東風を煎茶やかぶせ茶とともに、ちょっとお腹も満たしたいなら関西風を抹茶とともに、というようにその時々の好みで桜もちと日本茶を選んで楽しんでみてはいかがでしょうか。

桜もちの葉っぱは食べる?外す?

アンケートでは、以前から気になっていた「桜もちの葉っぱを食べるかどうか問題」も聞いてみました。

なんと、8割以上の方が葉っぱを食べると答えました。葉っぱ好きな方、多いのですね!

関西風桜もちの葉っぱは外しにくいのでそのまま食べることが多い、という方や、茎や葉脈の太い部分のみ取ってから食べる、と答える方も。

私は葉っぱは半分食べる派です。長年いろいろやってみて最近はここに落ち着きました。

マナーとしては食べる食べないはどちらでもお好みで大丈夫だそうです。

しかし関東風桜もち発祥の東京の「長命寺桜もち」のお店のサイトには、ほのかな香りを楽しむために葉をはずして食べることが推奨されています。長命寺桜もち(外部サイト)

ちなみに、桜もちの葉っぱはその7割が静岡県の伊豆半島にある松崎町で生産されているそうです。大島桜の葉っぱを塩漬けにしているとのことです。

これはウェザーニュースのコラム「桜餅」の葉っぱ、シェア7割の産地とは?(外部サイト)に詳細があります。

今回は桜もちから派生して、国内外の桜もち事情などいろいろなことがわかりとても興味深いです。

春のティータイム、桜もちは関東風?関西風?とか、桜の葉は食べる派?食べない派?と聞いたりしながら、お花見しつつ桜もちと日本茶で楽しんでくださいね。

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。 美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。 日本茶の商品開発、カフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導も行う。 NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。 日本語教師(外国人対象)。

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