ため池事故防止看板に、自由に使える動画
ため池事故が続いています。大切な子供の命、お父さん、お母さんの命を守るために、フリーに使える動画が公開されました。多くのため池のほとりにある「ため池事故防止看板」にQRコードを張れば現場で動画が視聴できるようになります。
ため池動画
上のため池動画をご覧ください。これまで五月雨的に公開されていた動画をひとつにまとめて、1分46秒に収めました。撮影現場は宮城県大衡村にある農業用ため池です。まさにここで親子3人が命を落としました。
傾斜があれば、表面がコンクリートでもゴムでも同じ結果となります。傾斜は分度器の角度で25度よりも高くなると、動画のように上がれなくなります。動画の現場はコンクリート敷で傾斜角度は27度です。
0-26秒 ため池にすいこまれる 図1
消防の水難救助隊員(当時)がため池の斜面を歩いています。歩く分には全然問題ありません。横方向、縦方向、特に斜面を上がる方向に歩いても滑るとか、歩きにくいとか、まったくありません。
さらに、ため池には流れも波もありません。鳥やセミの鳴き声が聞こえる中、とても平和な雰囲気に思えます。まさかこういう所で人が溺れて命を落とすなんて、とても考えられません。
男性が右足をため池の水の中に入れました。その瞬間、両足ともため池に吸い込まれるようにして身体全体が水に落ちていきました。足の届くところで止まりましたので、顔は水没することはありません。実際にこのように落ちるとびっくりするのですが、足はつくので「上がろう」とするものです。
ただ、斜面の角度は陸から続いて水中に落ち込むので、岸から数メートルも離れれば、いっきに深さが身長を越えます。
26-52秒 ため池から上がれない 図2
男性がため池からゆっくりと陸に上がろうとしています。斜面は角度があるものの、つま先立ちでゆっくりと岸に近づくことはできます。結構のんびりとしているように見えます。
腰が水面に出るくらいまで進むと、いきなり滑ります。滑って体勢が崩れます。このあたりから、「もしかしたら上がれないかもしれない」と気が付きます。平常心ではいられなくなります。
52秒-1分17秒 体力があってもダメ 図3
ため池からゆっくりと陸に上がれないことに気が付いた男性が、体力を使って上がろうとしています。両手を使って泳ぐように上がろうとしたり、駆け上がろうとしたり、いろいろなことに体力を使って挑戦しています。
体力を使うと、反動でより深い所に落ち込んでいきます。そして息継ぎがうまくできなければ、そこで命を落とすことになりかねません。このように体力を使って上がろうとしてはいけないのです。
一般的には、このような状態がパニックにある状態です。近くに上がれる場所があったとしても、このような状態にあると冷静な判断のもとで、場所を変えることができなくなります。
1分17秒-1分28秒 落ちたら、ういてまて 図4
ため池に落ちたら、すぐに背浮きの体勢になって、浮いて救助を待ちます。この場合、時間が経つと岸から離れてしまいます。陸にいる人は、「ういてまて」と大きな声で叫び、すぐに119番(消防)に電話をして救助隊を呼びます。
動画の状態のように落ち着いて浮いていられるようであれば、「ういてまて」と叫び続けます。
陸上からは救助のために水に入ってはいけません。救助に入った人も同じように陸に上がれなくなってしまいます。
1分28秒-1分46秒 ロープがあればあがれる 図5
ため池に落ちた人を陸にあげるために、しっかりとしたロープが役に立ちます。木の枝など中途半端なものはダメです。
陸上でロープを持つ人は、ため池に落ちないような場所にいてください。ロープの長さに余裕があれば、立ち木などにロープをくくり付けてから、水中にいる人に陸上に上がってもらうようにします。
水中の人はロープをつかみながら、ゆっくりと一歩一歩水底を踏みしめるようにして上がります。斜面で滑っても落ち着いてやり直します。
QRコード
以上の動画は、動画サイトに置いてあります。URLは次のQRコードで読むことができます。
このQRコードを耐水性の紙などに印刷して、ぜひ管理しているため池の看板などに張ってください。そして、ため池事故が起こらないようにご活用ください。
ため池に落ちるとこうなる。もし落ちたら「ういてまて」(フリーQR)