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藤井聡太八冠、年明けも勝ち続け史上最高勝率ペース! 伊藤匠七段、11連勝で対局数・勝数依然トップ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2023年度の将棋界は終盤戦に入りました。そして年が明けてからも、藤井聡太八冠(21歳)の勢いが止まりません。

 菅井竜也八段の挑戦を受ける王将戦七番勝負では開幕第1局で勝利。王将戦3連覇に向け、好スタートを切りました。

 朝日杯本戦では斎藤慎太郎八段、増田康宏七段を連破して、ベスト4に進出しました。

 今年度の成績は36勝6敗(勝率0.857)です。

 藤井八冠は銀河戦決勝で丸山忠久九段に敗れ、勝率は少し下がっていました。しかしそこからまた勝利を重ね、再び中原誠16世名人(1967年度当時五段)の持つ史上最高勝率記録0.855を暫定的に超えています。

 1月20日・21日は王将戦第2局がおこなわれます。

 また21日にはNHK杯3回戦の久保利明九段戦が放映されます。

 勝率部門で藤井八冠をも上回るペースだった藤本渚四段(18歳)は、叡王戦本戦1回戦で本田奎六段に敗れました。

 藤本四段の今年度成績は38勝7敗(勝率0.844)となりました。

 勝率は少し後退しましたが、もちろんまだまだ勝率1位、そして年間最高勝率更新の可能性はあります。今後は順位戦C級2組(現在7勝1敗)を1期で通過できるか、初参加の王位リーグでどれだけ勝ち星をあげられるかなどが注目ポイントです。

 伊藤匠七段(21歳)は41勝11敗(勝率0.788)。対局数、勝数の2部門で1位をキープしています。

 伊藤七段は竜王戦七番勝負では藤井竜王に挑戦し、4連敗のストレートで敗退しました。しかし今期1組では初戦で菅井八段に勝ち、リベンジマッチに向けて大きな白星をあげています。

 連勝部門は現在までのところ1位が佐々木大地七段の15連勝で、2位が伊藤七段の14連勝です。伊藤七段はまた連勝を始め、現在は11連勝中。ここから佐々木七段を抜くことはできるでしょうか。

 2月からは藤井棋王に伊藤七段が挑戦する棋王戦五番勝負も始まります。こちらももちろん、要注目です。

 いつの時代でも、記録部門はおおむね若手が上位を占めるものです。その中にあってレジェンド羽生善治九段(53歳)の対局数2位(46局)、勝数6位(28勝)はさすがの成績です。先日放映されたNHK杯では、永瀬拓矢九段に勝利をあげていました。

 公式戦ではありませんが、これから大型新企画のABEMA地域対抗戦が始まります。1月20日には羽生九段率いる関東Aと、谷川浩司17世名人率いる関西Aの対戦が放映されます。

 日本将棋連盟会長としても日々激務をこなしている羽生九段。将棋連盟創立百周年にあたる今年は記念イベントも数多く準備されています。12月には阪神甲子園球場で藤井八冠と羽生九段の記念対局が予定されています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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