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名棋士・丸山忠久銀河(54)銀河戦2連覇達成! 若き王者・藤井聡太七冠(22)を2年連続決勝で降す

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月21日。第32期銀河戦決勝・丸山忠久銀河(九段、54歳)-藤井聡太七冠(22歳)戦が囲碁将棋プラス(会員制)で配信されました。(対局日は9月27日)


 結果は報道機関からも伝えられている通り、丸山銀河の勝ちとなりました。


 丸山銀河は前期に続いて決勝戦で藤井七冠に勝ち、2連覇を達成しました。


 銀河戦の2連覇は、羽生善治現九段が2回(1997、98年度と2000、01年度)達成して以来の快挙です。

 前期、史上最年長53歳で優勝を飾った丸山銀河。今期、54歳になってからの優勝で、最年長記録もまた更新しました。

 藤井七冠は2年連続での準優勝となりました。

丸山九段、五十代での偉業


 丸山九段は1970年9月5日生まれ。1990年、19歳で四段に昇段しました。

 藤井四段(当時)の29連勝は有名ですが、丸山五段(当時)の24連勝も史上3位の記録として、いまも輝いています。


 丸山九段のタイトル獲得数は3期(名人2期、棋王1期)。同世代のタイトル経験者は、同学年では羽生善治九段(99期)、森内俊之九段(12期)、郷田真隆九段(6期)、藤井猛九段(3期)。1学年上では佐藤康光九段(13期)と錚々たる顔ぶれが並んでおり「黄金世代」「羽生世代」などと称されます。

 2023年から、満50歳以上の現役棋士が参加する達人戦が始まりました。丸山九段はその第1回では準優勝。今年2024年の第2回では優勝を飾っています。


 どれほどの名棋士であっても、五十代ともなれば、全棋士参加のタイトル挑戦や獲得、棋戦優勝は難しくなるのが一般的です。

 しかし丸山九段は、五十代での銀河戦連覇を達成しました。一手損角換わりのスペシャリストとして独自の道を歩み続ける一方で、現代最新の定跡にも精通し、若きトップクラスにもひけをとらないことを、藤井七冠との対戦でも示しています。

 藤井七冠と丸山九段の通算対戦成績は藤井1勝、丸山3勝となりました。


 通算勝率は8割を超え、ほとんどの棋士を相手に圧倒的に勝ち越している藤井七冠。負け越している棋士は丸山九段を含めて、わずかに5人しかいません。


次は朝日杯で当たる可能性


 1月からは朝日杯の本戦トーナメントが始まります。本戦シードの藤井七冠と丸山九段は抽選により、近い位置となりました。

 1月19日、愛知県名古屋市でおこなわれる1回戦のカードは以下の通りです。

藤井聡太七冠-阿久津主税八段

丸山忠久九段-服部慎一郎六段

 藤井七冠、丸山九段ともに1回戦で勝てば同日、2回戦で再戦が実現します。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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