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藤井聡太七冠、八冠再挑戦なるか? 伊藤匠叡王への挑戦権を争うトーナメント、1回戦で増田康宏八段と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

  2025年1月8日。東京・将棋会館において、第10期叡王戦・本戦トーナメント1回戦、藤井聡太七冠(22歳)-増田康宏八段(27歳)戦がおこなわれます。


 伊藤匠叡王(22歳)への挑戦権を争うトーナメント。1回戦から大注目のカードです。

 

八冠再チャレンジの可能性

 藤井現七冠の叡王戦における戦績を改めて振り返ってみましょう。

 2021年、藤井二冠(当時)は叡王戦五番勝負で豊島将之叡王に挑戦。3勝2敗で叡王位を獲得しました。

 以後、藤井叡王(当時)は出口若武六段を3勝0敗、菅井竜也八段を3勝1敗でしりぞけて、3連覇を達成しています。

 2024年、藤井叡王(当時八冠)は伊藤匠七段の挑戦を受け、2勝3敗で敗退。叡王位を明け渡すことになりました。


 藤井前叡王(七冠)はその後、タイトル防衛を続けていきます。そして八冠再独占の可能性を残したまま、2025年を迎えることになりました。


充実の増田八段


 増田八段は今期、八段戦を勝ち抜き、2度目の本戦進出を決めました。


 増田八段は先日、棋王戦挑戦者決定トーナメントを勝ち抜き、藤井棋王への挑戦権を獲得。ついにタイトル初挑戦も決めています。


 増田八段は棋王挑戦を決めたあと、次のように語っていました。

増田「27歳、10年目で挑戦できたことはすごく・・・。そうですね。自分的にはしっかり実力つけて臨めたかなと思ってます。伊藤叡王とは研究会もやってますし。永瀬九段やそういった方々ともやってるので。特に伊藤叡王の戦い方はすごく参考になったので。叡王戦、中終盤はすごいがまんして指してたんで。それはなかなか、対藤井さんとの将棋、できる人はいなかったので。そのあたりは参考にしたいなと思ってます。伊藤叡王が、竜王戦の挑戦ではストレートでしたけど。そのあと半年間で力をつけて。将棋の内容もすごく、伊藤叡王が、中終盤でもすごく強かったので。そこは半年間ですごく成長されたんだなっていうのを感じたので。なにか経験を積むとそういった成長があるのかというふうには思ってました。(いまの藤井将棋は)相変わらずスキがないというか。全ての面において秀でてる将棋だなと思うんですけど。相手からしたら本当に、どう指していいかわからない強敵なんですけど。いまもそういう認識を持ってますね。(今後の準備)やっぱり中終盤。後半の方の強さっていうところをさらに磨きたいなと思ってます。伊藤叡王がタイトル挑戦して奪取できたのも、そこはすごくあったと思うので。そこはしっかり伸ばしたいなと思ってます」

 藤井-増田の棋王戦五番勝負開幕も待ち遠しいところです。

 そしてこちら叡王戦でも、両者による大きな一番が実現しました。

 藤井七冠と増田八段の過去の対戦成績は藤井5勝、増田1勝です。

ハイアベレージの両者

 藤井七冠の今年度成績は27勝9敗(勝率0.750)です。


 7年度連続で勝率8割台を続けている藤井七冠。2024年度も終盤を迎え、その勝率も注目されるところです。


 増田八段の今年度成績は19勝6敗(勝率0.760)です。両者ともにハイアベレージといえるでしょう。


将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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