子どもが私立高校に進学したら40万円!?申請したらもらえるお金をファイナンシャルプランナーが解説
少し前に「申請したらもらえるお金」についてのツイートが話題となっていました。「申請したらもらえるお金」は、数百万円、数十万円という高額から数千円程度まで、実はいろいろあります。
国が給付するものと、地方自治体が給付するものに分けられます。広い範囲で多くの人に支給されるものと、ピンポイントの条件を満たす人のみを対象にしたものがあります。
2020年はコロナ禍の経済対策として国民全員に一律10万円の特別定額給付金が支給されました。2021年末には子育て世帯への臨時特別給付金として世帯主の年収960万円以下を目安に18歳以下の子ども1人につき10万円の給付が始まりました。
住宅、子育て、医療、仕事、車に関連する、もらえるお金の事例を紹介しましょう。
住宅でもらえるお金
◎世田谷区の特定の地域の人は自宅の建替えで約410万円
都市部の住宅地の中には、建物が密集し、大きな地震が起きると倒壊や火災により被害が大きくなることが予想される地域があります。世田谷区では「不燃化特区」に指定して、災害に強い住宅に建替えた場合、古い家を取り壊す工事費や建て替え後の住宅の設計費などに助成を行っていて、助成額が410万円になるケースも。不燃化率が一定の割合になるまで、最長で令和7年まで助成を行います。担当は、世田谷総合支所街づくり課。
◎子育て世帯や若者夫婦世帯が高い省エネ性能の新築住宅を取得したら100万円
国土交通省では、「こどもみらい住宅支援事業」として、注文住宅の新築、新築分譲住宅の購入、リフォームに対して最高で100万円を補助。面積や住宅の性能などに条件があります。正式決定は令和3年度補正予算の成立後になりますが、令和3年11月26日から令和4年10月31日までに契約し登録した住宅が対象。自宅の購入やリフォームを予定している人には朗報です。申請は、建築事業者や販売事業者等を通して行います。
上記は、金額がかなり大きい例です。ここまでの金額はもらえなくても、地震国である日本では、無料で耐震診断を行ったり、木造住宅の耐震改修に対して助成を行ったりする自治体がけっこうあります。木造住宅に住んでいる人はぜひ自治体の制度を確認しましょう。
また、世界的な課題である脱炭素(カーボンニュートラル=持続可能な経済社会をつくるために温室効果ガスの排出を減らすこと)につながる省エネを普及させるための補助金もこれから増えそうです。
子育てでもらえるお金
◎私立高校に進学した子どもがいる年収590万円未満(目安)の世帯に約40万円
高校生がいる世帯には「高等学校等就学支援金」として国公立の授業料相当額である年間12万円が年収910万円未満(目安)を対象に支給されてきました。数年前から私立高校の場合は、私立高校の平均授業料相当額の約40万円を年収590万円未満(目安)の世帯に支給することに。記載の年収は目安で、家族構成により異なります。実際には住民税の額で判断されます。ボーダーラインの人は住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。申請は在学する高校を通して行います。
子どもへの給付金は、健康保険から出る子ども1人当たり42万円の「出産育児一時金」や、自治体から給付される「児童手当」が有名です。この2つをもらい忘れている人はあまりいないでしょう。いずれも全国一律の金額です。ただし、子育てへの支援は、自治体ごとに特徴があり、例えば私立高校生への助成は上記の金額に上乗せする自治体もあります。また、数万円程度の出産祝い金や入学祝い金、子育て支援手当を出す自治体も。住んでいる自治体の情報収集は必須です。
医療費でもらえるお金
◎1か月あたりの医療費が8万円ちょっとを超えたら、超えた分が戻ってくる
医療費には公的な健康保険が使えるので、通常は3割負担で済みます。ただし、入院が必要な病気など、3割負担でも1か月あたりの医療費が高額になるケースがあります。そんなとき申請したいのが「高額療養費」です。収入に応じて定められた限度額を超えた分を返してもらえます。一般的な収入の人なら限度額は月8万円ちょっと。仮に15万円医療費を払ったとしたら、7万円弱が戻ってきます。加入している健康保険に申請します。制度を知らない人や、医療機関で案内されても必要書類を揃えるのが面倒で申請しない人がけっこういるようです。もったいない! 必ず申請を。
仕事でもらえるお金
◎無料の職業訓練を受けながら月10万円の給付
人生100年時代ということで、高齢になっても働ける環境を整えることが政策の一部になっています。また、年齢に関わらず仕事を得るための職業訓練に対する助成も増えています。公的な職業訓練は基本的に無料で受けられますが、職業訓練で次の仕事につながる勉強をしながら、不安なく職業訓練を受けられるよう月10万円をもらえる「求職者支援制度」もあります。収入が一定以下なら、アルバイトやパートなど非正規で働きながら正社員を目指す人も対象。他にも様々な支援があります。公的な職業訓練と給付金に関する情報と申請はハローワークで。
車でもらえるお金
◎電気自動車の購入で80万円
2021年11月26日以降に新車登録された車で、条件を満たすものを自家用車として買った場合、最大80万円(軽自動車は50万円)の補助金を受け取れます。こちらも脱炭素社会を実現する一環で、正式決定は、令和3年度補正予算の成立後になります。申請は次世代自動車振興センターへ。
番外編
◎マイナンバーカードの取得で最大2万円
マイナンバーカードを申請すれば誰でも5000円分のマイナポイントをもらえて、保険証としての登録や銀行口座とのひもづけでさらに上乗せして最大2万円の給付! テレビでも話題になっているので興味がある人は多いことでしょう。この「マイナポイント第2弾」は2022年1月1日から始まります。申請は、ネットまたは市区町村や郵便局などの「マイナポイント手続きスポット」で。
いずれの給付も、お金が出る元はみんなが払った税金や社会保険料です。そのため、手続きにけっこう手間がかかるものも。しかしいずれも、災害を減らす、教育機会の平等、脱炭素、社会のデジタル化といった目的をもって実施され、予算も確保されています。コロナ対策では、せっかくの予算が消化されなかった事業もあるようです。該当するなら、堂々と申請しましょう。