2024年からの新NISA、金融機関の選び方は?
NISAは金融機関と商品の選択が重要
投資の利益が非課税になるNISA。2024年から制度改正されるので話題になっています。利用するには、まずは金融機関を選んで口座を開く必要があります。まだ始めていない人の多くは、どの金融機関にするかで迷っているのではないでしょうか?
「金融機関を選ぶのも迷うけど、そもそも、どんな金融商品があって、どれを買ったらいいのか、それがわからない…」という人もいるかもしれませんね。そこで、この記事では、
①NISAで買える金融商品の特徴と、取り扱い金融機関
②金融機関の選び方
③2024年からの「新NISA」の仕組み
④すでにNISA口座を持っている人は2024年以降どうなるのか
を解説します。
①NISAで買える金融商品の特徴と、取り扱い金融機関
■上場株式 … 証券市場に上場された株式です。株価は変動しているので、大きな利益を得られる可能性がある一方、損をするかもしれません。購入後、保有中は配当金(配当金を出さない会社もある)をもらえて、当たり前ですが買値より高く売れば利益、安く売れば損失がでます。NISA口座では日本の上場株式のみならず、外国株も上場株式なら買うことができます。証券会社に仲介してもらって証券市場で売買します。
■投資信託 … 投資信託の運用会社が、複数の株式や債券などに投資をします。その一部を買って持つことができます。複数の株式や債券などに投資をするので、それぞれの値動きを合成した価格になります。どんな株式や債券に投資をするかにより、いくつかのタイプがあり、外国の株式や債券に投資をするものもあります。証券会社や銀行などの金融機関(販売会社)を通して売買します。
■ETF … 投資信託を上場したものです。投資信託と同様に何に投資をするかによりいくつかのタイプがあります。投資信託との違いは、上場されているので、株式と同様に証券会社に仲介してもらって証券市場で売買することです。
■REIT … 不動産に投資をする投資信託で、これを上場したものです。日本では約60本のREITが証券市場に上場されています(2023年現在)。株式やETFと同様に証券会社に仲介してもらって証券市場で売買します。
NISAで買える金融商品4種類のうち、上場株式、ETF、REITは証券会社の取り扱いとなります。口座を開くのは証券会社です。
残りの1つである投資信託は、証券会社でも買えますし、銀行など証券会社以外の金融機関でも買うことができます。
では次の段階に進みましょう。
②金融機関の選び方
■株式、ETF、REITを買う場合の証券会社の選び方
日本の証券市場に上場されている株式やETF、REITは、どの証券会社でも買うことができます。外国株は、マネックス証券、SBI証券、楽天証券など一部の証券会社が取り扱っています。いずれも証券会社に売買を仲介してもらうので、証券会社に手数料を払います。この手数料は証券会社ごとに異なります。
買う側から見れば安い方が投資の効率は上がります。つまり、証券会社選びのポイントは、外国株を買うかどうかと手数料です。
ちなみに、NISA口座の獲得競争が展開されていて、NISA口座での株式などの売買手数料を無料にする証券会社もあります。
■投資信託を買う場合の金融機関の選び方
2024年からのNISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があり、どちらの枠でも投資信託を買えますが、利用できる投資信託には違いがあります。
つみたて投資枠で買える投資信託は約200本
つみたて投資枠では、運用期間や手数料(投資信託には信託報酬という手数料がかかります)などにおいて金融庁が定める条件を満たしたものが採用されています。長期の分散、積立投資に向いた投資信託です。
コツコツと投資信託を積立購入して時間をかけて資産形成したい人に向いた投資信託です。
つみたて投資枠で利用できる投資信託のラインナップは、2023年までのつみたてNISAの対象商品と同じで、金融庁のサイトに掲載されています。200本以上あります。下のリンクから確認できます。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html
成長投資枠で買える投資信託は数千本
一方、成長投資枠で利用できる投資信託は、つみたて投資枠の投資信託よりも数が多く、しかも種類が豊富です。なんと、数千本あり、今後さらに増える予定です。投資信託協会のサイトに掲載されています。下のリンクから確認できます。
https://www.toushin.or.jp/static/NISA_growth_productsList/
金融機関ごとに買える投資信託は異なる
つみたて投資枠も、成長投資枠も、かなりの数の投資信託が対象となっていますが、実際には、これらの対象商品をどの金融機関でも買えるわけではありません。
証券会社や銀行などの金融機関は、投資信託の販売会社として、投資信託の運用会社から投資信託を仕入れて販売しています。つまり、金融機関により、仕入れている投資信託は異なります。
ネット証券はかなりの数を仕入れていて、大手の証券会社や銀行などは逆に数を絞り込んでいる傾向があります。気になる金融機関があるなら、投資信託のラインナップを確認しでみましょう。
③2024年からの新NISAの仕組みを確認
下の表は金融庁のサイトで公表されている2024年からのNISAの概要です。
つみたてNISAの対象である投資信託を積立購入する「つみたて投資枠」と、株式、ETF、REIT、成長投資枠の投資信託を買える「成長投資枠」があり、どちらか一方の枠だけ利用してもいいし、併用もできます。
まとめると、
・証券会社で買える金融商品 → 株式、ETF、REIT、投資信託。ただし、投資信託はその証券会社が仕入れた商品に限定される。つみたて投資枠、成長投資枠、いずれも利用できる。
・銀行など証券会社以外の金融機関 → 投資信託。ただし、その金融機関が仕入れた投資信託に限定される。つみたて投資枠、成長投資枠、いずれも利用できる。
株式を買いたい、いずれ買うかもしれない人は証券会社を選択し、さらにどの証券会社にするかを選びます。外国株を買いたい、選択肢が多い方がいいならネット証券がいいでしょう。
それ以外の人は、給与振り込みなどに利用している銀行などすでに口座を持っている金融機関がNISAに対応しているかを確認して、対応しているなら投資信託のラインナップを見てみましょう。選択肢が少ないかもしれませんが、これならと思う投資信託があれば、それから始めていかがでしょうか?
つみたて投資枠の投資信託なら金融庁が定める条件を満たしているので、取り合えず1本選んでみましょう。別の投資信託にしたくなったら、いつでも変更できます。NISAは恒久化されたので、時間をかけて投資に慣れ、投資の幅を広げていきましょう。
金融機関の変更は1年ごと
途中で、金融機関そのものを変えたいと思ったときはどうすればいいでしょうか? NISA口座は1年ごとに金融機関を変更できます。変更した場合は、過去に投資をした分は過去の金融機関で持ち続けることができ、売却はいつでも可能です。変更した金融機関で別枠で新たな投資をします。ただし、年間投資枠の範囲内かつ、過去分と合算した金額が1800万円まで(非課税保有限度額、元本で計算する)となります。
④すでにNISA口座を持っている人は2024年以降どうなるのか
2023年までに投資をした分も同様で、2024年からのNISAとは別枠で、2023年まで利用していた金融機関で持つことになります。つみたてNISAは投資をした年を1年目として20年目の年末まで、一般NISAは同5年目の年末までなら配当金や売却益は非課税です。また、2024年以降は、2023年までに使っていた金融機関で自動的に改正されたNISA口座が開設されます。同じ金融機関であっても、別枠での管理となり、非課税枠も別々に計算します。
選択肢が増えた分、投資先や商品に関する知識が必要になりますが、まずは金融機関を選んで始めてみましょう。時間の経過とともに自分の知識も資産も増やすことができれば理想的ですね。
金融庁「新しいNISA」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html