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世界的に食肉が不足も、代替肉は縮小でどうなる? 日本にも馴染みある「注目の技術」 #専門家のまとめ

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

代替肉は従来の家畜肉の代わりになる食品のこと。世界の人口増加、畜産の環境負荷、動物福祉を解決すると注目されています。動物の細胞を培養してつくる培養肉は、まだ実用段階に至っていません。しかし、植物性タンパク質から生成されたプラントベースの代替肉には既に色々な食品があり、味や風味、食感や香りが肉に似せられています。宗教的な禁忌をや肉を食べない信条をもつ人が食べられることも利点です。

ココがポイント

吉野家HDによると(中略)ダチョウを牛、豚、鶏肉に次ぐ「第4の肉」とする目標を掲げる
出典:東京新聞 2024/8/31(土)

米マクドナルドは、植物由来の代替肉を利用したバーガーを(中略)試験的に販売していたが、成功しなかったことが分かった
出典:Bloomberg 2024/6/27(木)

世界の細胞培養肉への投資は2021年に9億8,900万米ドルと過去最高(中略)、2023年に1億7,700万米ドル
出典:JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ) 2024/3/29(金)

欧州の微生物発酵企業に対する資金調達が増加している
出典:Bloomberg 2024/8/8(木)

エキスパートの補足・見解

吉野家が牛、豚、鶏に次ぐ「第4の肉」を模索して、ダチョウ肉を採用したことが話題となりました。背景には、新興国が経済発展した影響で世界規模で牛肉が不足していることがあります。アメリカのマクドナルドは打開策として、サンフランシスコとダラスで、植物性の代替肉を用いたハンバーガーを試験的に販売しますが、どちらの市場でも成功しませんでした。

現状を予見していたかのように、世界の細胞培養肉への投資額は、2023年の9億8,900万米ドルをピークにして、2023年は1億7,700万米ドルと大幅に減少しています。

タンパク質の供給という観点からすると、微生物を工場化して特定成分を生成する精密発酵、および、微生物を培養して短時間で大量生産するバイオマス発酵がヨーロッパで伸長。いずれとも2024年上半期の時点で、昨年を上回る資金が投じられています。古くから発酵食品に馴染みがある日本でも、注目されそうな技術です。

人体のうち、 水分と脂質を除くと、タンパク質が約半分を占めています。人類が今後どのようにして、重要な栄養素であるタンパク質をとっていくのか、ますます目が離せません。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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