シリアのアレッポで小児がん患者支援団体が新型コロナウィルス対策に伴う負担軽減のための支援を呼びかける
国営のシリア・アラブ通信(SANA)は28日、新型コロナウィルス感染防止対策として外出や移動が制限されているなか、シリア各地で地元の住民による互助的な試みが続けられていると伝えた。
アレッポ市のシリア小児がん患者治療看護協会の取り組み
シリア第2の都市アレッポ市では、シリア小児がん患者治療看護協会(The Syrian Society for the Treatment and Care of Child Cancer、CCS)が「あなたのパックをあなたの家に」と銘打った活動を始め、小児がん患者とその家族への支援を行っている。
CCSのマズナ・ウラビー理事長によると、キャンペーンは、小児がん患者の家族に食料パック100個を配給し、新型コロナウィルス感染予防策に伴う彼らの負担軽減をめざしている。
ウラビー理事長は、SANAの取材に対して、「小さな行動が支援を必要としている人々の生活に大きな変化をもたらすことができます」と述べ、キャンペーンに参加し、互いに助け合うよう呼びかけた。
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アルメニア福音教会による物資配送
アレッポ市のアルメニア福音教会も、住民が外出することなく、必需品を常に入手できるようにするため、消毒用の機器、マスク、パンを配給する活動を始めた。
アルメニア福音教会の長であるハールーティユーン・スライマヤーン牧師は、このイニシアチブが新型コロナウィルスの感染を阻止するための活動の一環だとしたうえで、健康維持に関するガイドラインと、公衆安全を維持するために講じられている措置に従うよう呼びかけた。
ハマー県ミスヤーフ市でも「家にいよう」キャンペーン
一方、ハマー県のミスヤーフ市では、ダマスカス県やクナイトラ県での取り組み(「紛争と制裁に苦しむシリアの若者だからこそできる新型コロナ感染予防のためのボランティア活動」 を参照)に続くかたちで、ボランティア・グループの「ムスタミッルーン」が「家にいよう」キャンペーンと銘打って、市内の高齢者や障害者への食料品や必需品の無料配送を始めた。
代表を務めるアングリード・ワトファ氏は、キャンペーンが、ミスヤーフ市の住民のニーズに応え、彼らの自宅待機を支援することが目的で、市内の多数の業者や市民の寄付によって、パンなどの食料品を無料で住民に配送できていると強調した。
ワトファ氏によると、「ムスタミッルーン」は、これ以外にも、市内の高等学校、中学校などの施設の作業も行っているという。
タルトゥース県で戦死者、負傷兵、そして失踪者の家族を対象とした活動
タルトゥース県では、ボランティア・グループの「あなたの声を届けよう」が、新型コロナウィルス感染対策として就業・就労を制限されている戦死者、負傷兵、そして失踪者の家族を支援するため、食料品や人道支援物資の配給を開始した。
「あなたの声を届けよう」のボランティア・メンバー7人が、タルトゥース市、カドムース町、ハッターニーヤ村、ワーディー・サキー村、ジューフィーン村、フナイティク村、タワーヒーン町など県内各所の170世帯に、砂糖、米、食用油、トマト・ペースト、そして食材を配給している。
なお、3月28日現在、シリア政府支配地域での新型コロナウィルス感染者数は5人、それ以外の地域では感染者は確認されていない。
(「シリア・アラブの春顛末記:最新シリア情勢」をもとに作成)