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ヤンキースに誕生した「ダブル・エース」は、大谷翔平を挟み、奪三振率1位と3位

宇根夏樹ベースボール・ライター
カルロス・ロドーン Jun 1, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ニューヨーク・ヤンキースに入団したカルロス・ロドーンは、ゲリット・コールとローテーションのトップ2を形成する。

 ロドーンがヤンキースと交わした契約は、6年1億6200万ドルだ。コールは、来シーズンが9年3億2400万ドルの契約4年目となる。

 左右の違いはあるものの、4シームとスライダーを主体とするパワー・ピッチャーという点は共通する。今シーズン、ロドーンは、サンフランシスコ・ジャイアンツで投げ、奪三振11.98を記録した。コールの奪三振率は11.53だ。彼らの奪三振率は、規定投球回に達するか、両リーグで計162イニング以上を投げた45人のなかで、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の奪三振率11.87を挟み、1位と3位に位置する。

 また、コールの257奪三振とロドーンの237奪三振は、コービン・バーンズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)の243奪三振を挟み、こちらも1位と3位だ。ちなみに、大谷の219奪三振は6位、バーンズの奪三振率10.83は5位だった。

 コールとロドーンに続く、ローテーションの3番手以降には、順当にいけば、ルイス・セベリーノネスター・コーテズフランキー・モンタスが並ぶ。トップ2だけでなく、5人とも三振を奪える投手だ。今シーズンの奪三振率は、セベリーノが9.88、コーテズが9.27。モンタスは9.00未満の8.85だが、夏にヤンキースへ移籍するまでは、オークランド・アスレティックスで9.37を記録した。

 懸念材料は、皆無ではない。例えば、ロドーンは故障が多い。ヤンキー・スタジアムを本拠とすることで、被本塁打が増える可能性もある。今シーズンの被本塁打率――9イニング平均の本数――は、ロドーンが6位の0.61本、コールはワースト5位(41位)の1.48本だ。コーテズのブレイクは持続せず、モンタスは復調できないかもしれない。モンタスの防御率は、移籍前が3.37、移籍後は6.35だ。

 とはいえ、現時点においては、トップ・クラス、あるいは最高のローテーションだろう。ジャスティン・バーランダー千賀滉大ホゼ・キンターナが加わったニューヨーク・メッツと比べても、見劣りしない。5人の平均年齢は、ヤンキースが29.8歳、メッツは35.6歳だ。

筆者作成
筆者作成

 なお、メッツのトップ2は、サイ・ヤング賞を3度ずつ受賞している。来シーズンの年俸は、2人とも、史上最高額の4333万3333ドルだ。メッツのローテーションについては――現時点の5人のうち、カルロス・カラスコは開幕までに放出されるかもしれないが――こちらで書いた。

「バーランダーと千賀、キンターナを加え、メッツのローテーションは万全なのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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