レアな爆弾低気圧で「史上最低気圧」記録 カリフォルニア
日本でも馴染みのある嵐の名称「爆弾低気圧(Bomb cyclone)」。24時間で24ヘクトパスカル以上降下する低気圧を指します。1980年代にマサチューセッツ工科大学(MIT)のフレッド・サンダース教授が、爆発的に急速に発達する様から、このように名付けたそうです。
爆弾低気圧は、アメリカの東海岸にしばしば発生することがあるものの、寒気が下りづらい西海岸ではあまり見られない現象です。しかしながら27日、西海岸の沖合で爆弾低気圧が発生し、観測史上最大級の勢力でカリフォルニア州やオレゴン州などを直撃しました。
その発達の度合いは、24時間で43ヘクトパスカルで、爆弾低気圧の定義としては十分すぎるほどの急速な発達ぶりを見せました。気象局の地上天気図では、低気圧の中心の気圧が970hPaとなっており、ハリケーン並みの勢力での上陸だったことが分かります。
カリフォルニア史上最低気圧
では、実際に観測された気圧はどれくらいだったのでしょうか。
カリフォルニア州北部のクレッセントシティーでは、27日夜に973.4hPaの気圧が観測されました。これはカリフォルニアの観測史上もっとも低い気圧の記録です。
上の天気図は、爆弾低気圧の上陸時のものです。等圧線が混みあえば混みあうほど、風は強くなります。オレゴン州ケープブランコで最大瞬間風速47m/sが観測されたほか、強風と大雪の影響でオレゴン州には一時、暴風雪警報が出されました。シエラネバダ山脈では28日にかけて120センチの雪が予想されています。
この嵐の影響で、ワシントン州では70台が絡む衝突事故が起きた他、カリフォルニア州やオレゴン州などでも車両事故が発生しました。
感謝祭のアメリカを直撃
28日はアメリカのサンクスギビングデー(感謝祭)にあたります。大きなローストターキーとパンプキンパイなどを囲んで、家族や親せきが集まってお祝いをする日です。
このためこの時期というのは、一年のうちでもっとも交通機関が混み合う時なのです。さらに今年は史上最悪の混雑が予想されていて、なんとこの祝日だけで、交通事故による死者は417名、けが人は47,500人に上ると予想されているほどなのです。
こうした大事な時期に記録的な嵐が直撃し、影響は甚大なものとなっています。
(↑カリフォルニア南部の交通渋滞)
追記(12/6): この爆弾低気圧により、11月26日カリフォルニア州メンドシーノ岬の沖合で22.7メートル(74.4フィート)の、州の観測史上最大となる巨大波が観測されました。