井上尚弥の次にバンタム級でトップに躍り出るのは誰だ
2024年のボクシングで、もっとも注目したいのがバンタム級だ。かつてはトップに井上尚弥(30=大橋)が君臨し、WBSSでの優勝、4団体統一を成し遂げるなど、圧倒的な強さを誇っていた。
しかし、井上が階級を上げたことで再びトップ争いが加熱し始めた。次に主役に躍り出るのは誰になるのだろうか。
バンタム級の歴史
世界的に選手層の厚いバンタム級。17階級あるボクシングの中では比較的軽い階級に分類されてる。
体格の違いもあってか、欧米では重量級に注目が集まるが、アジアでは軽〜中量級を中心に盛り上がりを見せている。
過去、日本ボクサーでこの階級のチャンピオンベルトを手にしたのは、ファイティング原田氏(本名:原田政彦氏)をはじめ、辰吉丈一郎氏、長谷川穂積氏、山中慎介氏など、数多くのボクサーが世界王座を獲得してきた。
最近では井上尚弥がWBSSでの優勝、4団体統一を成し遂げたことで、さらに注目を浴びる階級となった。
その井上が階級を上げたことで、一気に王者たちが入れ替わり始めている。
注目の選手たち
現在バンタム級は下記の王者たちが君臨している。
井上拓真は、昨年4月にリボリオ・ソリス(ベネズエラ)との王座決定戦を勝利し、ベルトを獲得した。
2月24日には初防衛戦を控え、元IBF世界スーパーフライ級王座を過去9度防衛したジェルウィン・アンカハス(31=フィリピン)と戦う。拓真の真価が問われる試合となりそうだ。
同日には、階級を上げた中谷潤人(26=M.T)が、WBC王者のアレハンドロ・サンティアゴに挑む。こちらも、元5階級王者のノニト・ドネアを破った実力者だ。
中谷はこれまで26勝(19KO)と無敗の戦績を誇り、フライ級、スーパーフライ級の2階級を制覇している。
長身の選手で、減量苦から階級を上げてきたばかりだ。海外からの評価も高くネクストモンスターと呼ばれ、この階級での活躍が期待されている。
また、キックボクシングから転向した武居由樹(27=大橋)にも注目したい。武居は、現在8戦8勝(8KO)の戦績で、サウスポースタイルと強打が持ち味の選手だ。
昨年12月の試合では、メキシコのベテランボクサーを圧倒し、わずか2ラウンド、ボディ1撃で仕留めた。今年は世界戦線にも絡んでくるだろう。
また期待の新人には、キックボクシングの神童と呼ばれた那須川天心(25=帝拳)がいる。
今月23日のデビュー3戦目では、WBA・WBOバンタム級14位のルイス・ロブレス(メキシコ)と戦う。結果次第では世界ランクに入り、日本王者への挑戦権獲得もあり得るだろう。
他にも、日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)や、WBA1位の石田匠(井岡)、IBF1位の西田凌佑(六島)、2階級制覇を目指す元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)など、国内バンタム級はタレント揃いだ。
海外でも、上記王者たちに加え、世界5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)、元WBO・IBF世界バンタム級王者ポール・バトラー(イギリス)など実力者揃いだ。
また、世界2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)が、近くバンタム級に進出する可能性が浮上している。
井上に次いで、バンタム級トップの座につくのは誰になるのだろうか。今年のバンタム級の動向に注目したい。