#ガザ 難民キャンプ空爆、現地から悲痛な報告と映像
イスラエル軍が今週火曜日に空爆した、パレスチナ自治区ガザ北部のジャバリア難民キャンプの状況について、現地のジャーナリストなどから悲痛な報告が寄せられている。ジャバリア難民キャンプへの強力な爆撃による死亡者や負傷者は400人以上、犠牲者のほとんどは、女性や子ども等の一般市民だとのことだ。
*本記事にはショッキングな映像・写真が含まれます。
〇ジャバリア難民キャンプからの映像
ジャバリア難民キャンプの出身で、現在はイギリスで大学教員をしているシャハッド・アブサラマさんは、ガザ在住のいとこ、ムハンマド・アブサラマさんが撮影したジャバリア難民キャンプの映像を公開した。
同映像によると空爆された場所は、地面に巨大な穴が開いていて、そこには30~40の住宅があり、住民達は「バラバラに引き裂かれた」という。ムハンマドさんは「この一帯、犠牲者の遺体があちこちに散らばっていた。誰もが家族を探していた」「ここは、非常に人口密度の高い地域で、ジャバリア難民キャンプの中心だ」と語る。映像では住民の男性が「私の3人の子ども達!全員死んでしまった。ああ、世界よ!」と絶叫。
父親にしがみついた少女は「お父さん、今日、私達はどこで寝るの?私達の家が吹っ飛んじゃった!!」と泣いていた。瓦礫の中などに、また遺体が埋まっており、犠牲者数はさらに増えることは確実だろう。ムハンマドさんの友人も必死に家族を探していたが、やはり空爆の犠牲になってしまったようだ。「神よ、神よー!!」と絶叫する姿が痛ましい。
こうした現地の惨状を自身のSNS等で伝えながら、シャハッドさんは、「ジャバリア難民キャンプは消し去られようとしています。逃げられる安全なところはありません。現地に残されている私のおじやおば、いとこを助けて下さい!」と訴えている。
〇病院も危機的状況
ガザの医療環境もますます深刻な状況となっている。イスラエルは、ガザ内への支援物資の搬入、特に燃料の運び入れに強硬に反対しているため、発電機を動かすことができず、各医療施設は電力危機に陥っている。ガザ市在住の現地ジャーナリストのサメハ・アハメド氏によれば、ガザ最大規模の医療施設シファ病院と、インドネシアからの支援で建設されたインドネシア病院は「あと数時間で電力が失われる」のだという。「保育器の中で生命維持装置につながれている42人の子どもたち、62人の負傷者と人工呼吸中の患者、650人の腎不全の患者、手術室で行われている何百もの手術、その他の患者と負傷者を救うために、私達は世界にSOSを送っています」(サメハさん)。
この間のガザ攻撃で、シャハッドさん自身も2人のいとこと、その妻、姪や甥の6人など、親族を失っている。サメハさんも自宅が倒壊し、生まれたばかりの娘が死亡した。ガザの人々にとって、誰もが、犠牲となり得る状況なのだ。
〇即時停戦のため全力を尽くせ
シャハッドさんやサメハさんらが報告するガザでの危機的な状況、つまり人口密集地への空爆や、医療機関の機能を奪うことは、いずれも国際人道法違反で、戦争の最中とは言え、断じて許されることではない。だが、そうした批判をイスラエルは無視する姿勢を取り続けている。強制力を伴う決議を採択する国連安全保障理事会(国連安保理)では、イスラエルを支持する米国が、幾度も停戦決議に反対しているが、拡大するばかりの民間人の犠牲について、イスラエルのみならず米国にも国際社会から批判の声が高まっている。日本も安保理の理事国として、米国に停戦を妨害しないよう、働きかけていくべきだろう。或いは、安保理が機能しない場合に、国連総会が代わりに行動をとれるとする「平和のための結集」を提起することも必要なのかもしれない。
(了)
取材協力:シャハッド・アブサラマ、サメハ・アハメド、ウエストイーストプロダクション株式会社