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台風のなか決行される『24時間テレビ』をめぐる4つの論点 #専門家のまとめ

松谷創一郎ジャーナリスト
放送が始まった日本テレビ『24時間テレビ』より(2024年8月31日)。

 迷走する台風10号が接近するなか、今年も日本テレビ系列で『24時間テレビ』の放送が始まった。昨年のスタッフによる募金着服の不祥事により、番組への問題視は一層高まっているなかでの放送だ。今回は台風という予測困難な自然現象にも見舞われ、番組の実施自体を危ぶむ声も上がっている。長年にわたり、チャリティーとしてのあり方にも疑問が投げかけられてきたこの番組について、現在指摘されている主な論点をまとめた。

ココがポイント

▼募金着服の再発防止策として、日テレはキャッシュレス寄付の推奨、現金管理の厳格化、使途の明確化、情報開示の強化を実施予定

・着服問題で揺れる24時間テレビ 番組「刷新」で理解得られるか 日テレ正念場、「影響力の大きさ自覚を」(東京新聞/2024年8月4日)

▼やす子のマラソンは日産スタジアムで開催。先輩芸人も走るが、台風接近で市民参加は中止。神奈川県県央には洪水警報発令

・やす子24時間マラソン 会場は日産スタジアム 神奈川県県央には洪水警報発令も(デイリースポーツ online/2024年8月31日)

▼「感動ポルノ」批判はあるが、それでも日本テレビが続ける理由とはなにか。今年が大きなターニングポイントになる

・なぜ「24時間テレビ」は「感動ポルノ」に変わったのか…日本テレビがそれでも番組を継続する理由(PRESIDENT Online/2024年7月10日)

▼マラソンランナーやす子へのギャラは約1000万円以上と言われる。一方、昨年の募金総額は約8億5000万円

・「24時間テレビ」やす子の「チャリティーマラソン」募金10億円超えも? フワちゃん騒動で急増の皮算用(日刊ゲンダイ/2024年8月25日)

エキスパートの補足・見解

 募金の着服問題はテレビ局という古めかしい組織の透明性の欠如を示唆し、台風・酷暑下でのマラソン強行は、「頑張り」や「がまん」を美徳とした昭和時代を感性を反映している。以上からもわかるように、『24時間テレビ』の問題点は、1960年代に入って急速に構築されて約60年間続いてきた、地上波テレビを中心とした日本のメディアとポピュラー文化の蜜月から生まれたものと言える。

 要は、日本社会とテレビの全盛期だった20世紀の記憶に基づいたもの──20世紀レジームの残滓なのである。

ジャーナリスト

まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com

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