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森山未來らが国境を越えてつくる作品「STILL LIFE」、神戸でも制作過程を発表【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)
©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)

先日、三宮のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で、斬新な企画が行われました。

アーティスト・イン・レジデンス神戸(AiRK)の自主企画である海外の施設との交流プログラム「AiRK アーティスト・イン・レジデンス プログラム 2023」で招聘された振付家、アラン・ルシエン・オイエンとダンサー、ダニエル・プロイエット&森山未來による新作クリエーション「STILL LIFE」成果発表です。

KIITO内のギャラリーを使ってのパフォーマンス。ステージ側の天井からは銀の大きなアルミシートが吊るされています。20人ほどの黒ずくめの集団は「混声合唱団はもーるKOBE」、ダニエル&森山も現れました。そしてプログラムは、不意にスタート。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)
©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)

始まった途端に部屋の空気感がサッと変化し、合唱団の出演という所から私が想像していた「歌とダンス」といったものとは全く違う世界が広がりました。まず、合唱団から発せられたのは、歌ではなく「呼吸」だったのです。

呼吸音だけで空間が満たされ、そこに交わっていくふたりのダンサー。部屋の中には風のような流動さえ生まれています。

自らには意思がないかのように、部屋中に起こった流動に体を任せたままに漂い踊ります。徐々に激しくなる動き。彼らは人、もしくは風、それとも世界そのものなのでしょうか。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)
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やがて音は隙間風のように、刺すような低音で唸り始めました。この世界の営みが、数字や時間に置き換えられているかのような言葉の数々、ダンスからは様々な問いかけが溢れ出ているように感じられます。

私がこうやって、体の表現を言葉に置き換えたところでその深みはほとんど言い表せません。見て体感するしかないのですが、その表現の深さにはどこまでも引き込まれてしまいます。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)
©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)

テーマである「STILL LIFE」。その中に込められた想いが音や踊りを通して目の前で視覚化されていき、次々と展開していくシーンにひたすら心を奪われます。生で見る舞台、演者とこちら側が今という時間を共有することで繋がり、どこかコミュニケーションが始まっているかのような関係性。

ダンスには、躍動感や外側へ向かって放出するエネルギーがあり、まるで読経のように浄化して昇華させるような力もあるのではと感じました。

あらゆる心情描写が身体表現され、そこに自分を重ねた擬似体験と浄化作用により、私たちを開放へと導いてくれるからなのかも知れません。そして同時にそこには、肉体表現の限りない可能性や美しさもありました。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)
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公演後、KIITOの入り口でばったり出会ったダニエルとアランに、何とか感想を伝えたくてしどろもどろの英語で話しかけたものの、伝えたい想いが複雑でなかなか伝え切れませんでした。

だけどダンスという表現で躍動感を感じることで、自分の奥深くにある感情が外に放出されたように思うと言うと「そう、ダンスにはそれができるし、言葉を超えて伝わるものだから素晴らしいよね」と笑顔のダニエル。演出をしたアランも頷いていました。

今後、フランスや世界でこの作品制作を続け、ノルウェーの首都オスロで発表されるといいます。混沌とした現代において、世界を繋ぎ合わせることができるのも芸術が持つ役割のひとつですね。まさに言葉を超えて、世界に伝わっていって欲しい作品だと思いました。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)
©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)

これはアーティスト・イン・レジデンス(各種の芸術制作を行う人物を一定期間ある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業)での招聘という、特殊な制作方法を経ているから可能となったグローバル作品でもあります。

神戸ではAiRKにて滞在、幾つかのセッションやワークショップを経ています。神戸という街をリサーチした活動が反映されていく作品。それは神戸を通して見えた今を世に残すものとしても貴重な存在となるのではないでしょうか。

この先も色んな国の日常感覚や人の営み、空気感を反映させて、一体どんな作品に仕上がっていくのか楽しみです。

©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)左・森山未來 中央・アラン・ルシエン・オイエン 右・ダニエル・プロイエット
©️乾まな美(https://manaminui.studio.site/)左・森山未來 中央・アラン・ルシエン・オイエン 右・ダニエル・プロイエット

各国での制作過程を経て、神戸のリアルも取り入れ、国際作品として発表される「STILL LIFE」。この時代を反映させた世界的作品として、いつか神戸に凱旋公演をしてくれたら嬉しいですね。

この活動を含めたAiRKの活動報告会が、3月29日(金)に行われます。1年間に渡ったAiRKの興味深い取り組みを知ることができるチャンスですよ。ぜひ足を運んでみては。

新作パフォーマンス「STILL LIFE」クリエーション(↑このイベントは終了いたしました)

AiRK 2023年活動報告会 (外部リンク)
参加フォームはこちら
日時:2023年3月29日(金) 開場 18時15分 開始18時半 終了予定 20時
会場:神戸市中央区文化センター【1階ホール】
場所:兵庫県神戸市中央区東町115番地 1階
※お写真は全てお借りしました。©️乾まな美

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旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

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