Yahoo!ニュース

モダン建築祭!モスクからクラブ月世界まで73ヵ所を一挙公開、安藤建築の謎にも迫る3日間【神戸市】

Hinata J.Yoshioka旅するフォト&ライター(神戸市)
シュウエケ邸

神戸には素敵な建物が沢山ありますが、中は一体どうなっているの?と気になりますよね。去年、神戸で初開催された「モダン建築祭」が、人気に応えて2年目の開催を迎えます。

期間中は沢山の建物が一斉に開放されて中に入れるとあって、全国各地からも人々が駆けつけるというこのイベント。開催に先駆けて取材してきたのでご紹介しますね。

神戸ムスリムモスク
神戸ムスリムモスク

まずは、まるで童話の世界に出てくるような建物「神戸ムスリムモスク」です。北野の街を歩いていて、見かけたことあるよという人も多いのではないでしょうか。

靴を脱いで中へ入ると、ペルシャ絨毯が敷かれた天井の高い広間が現れました。見上げると大きなシャンデリア、そして後ろを振り返ると二階からお祈りを捧げられる空間も。

1935年に建てられたというこのモスクは、日本人も含めて様々な国籍の人がお祈りにやってくるという、とても北野の街らしい空間。前から気になっていたのですがようやく今日、中を見られたのが嬉しいです。

まだまだ知りたいと後ろ髪を引かれながらもモスクから歩いて移動(←モスクは近々、改めてご紹介します)、次は安藤建築です。

北野には建築家の安藤忠雄が世界に羽ばたくきっかけとなった建物が沢山存在しているそうなんですよ。

ローズガーデン
ローズガーデン

その内のひとつ「ローズガーデン」は、安藤建築には珍しい「煉瓦」が象徴的な建物となっていて、中に入ると安藤建築の「外に閉じつつ中に開く」という特徴がそのままありました。

この近くにある「リランズゲート」や「北野アレイ」も同じく、外から見るだけでは気づかない、吹き抜けで天に向かって開かれた空間があるという仕掛けになっているんです。

ローズガーデン
ローズガーデン

上から見下ろすと深い谷に降りていくような階段の作りは、安藤さんが昔好きだったというインドの、井戸へ降りる階段の構造が反映されているというお話も。

他にも、コンクリート打ちっぱなしのイメージが強い安藤建築。畳一畳分のコンクリートの中に6つのドット、その美しい比率を導き出していったのも安藤忠雄の功績のひとつなのだとか。

リランズゲート
リランズゲート

安藤建築を見ていると湧き上がってくる疑問があります。何故いつも「二つの窓」「二つの換気口」「二つ並ぶ建物」といったデザインになっているのか、それがとても謎なのです。

さて、この不思議なメッセージとも捉えられるようなデザイン、それが何から来ているのかご存知の人はいらっしゃいますか?では、ヒントです。

北野アレイ
北野アレイ

双子性を意識して作ったのがこの頃の建物。同じ二つの建物を並べてその間の空間をうまく使って回遊させる、同じ二つのものを置くだけでずいぶん豊かな空間ができるということに挑戦していたのだというお話でした。

ということで、実は安藤さんは双子なのだそうです。なるほど!そうやって謎の答えを回収しながら巡るのが楽しい安藤建築。

続いては前回からの公開施設で一番人気だったという「中華民國留日神戸華僑總會」へ。

中華民國留日神戸華僑總會
中華民國留日神戸華僑總會

戦後から事務所としてのみ使っていたというこの建物は、異人館の当時のオリジナルの状況が奇跡的に残った建物なのだそうです。

今まで謎の異人館と言われてきたのが前回のモダン建築祭にて初公開されるや否や、大注目されて3日間で2,700人もの人が訪れました。

戦後に中国から送られてきた物資をここで当時の華僑に分配したのが始まりで、そこから華僑同士のお見合いや結婚式、パスポート申請の手続きのお手伝いをするような場所となっていったのだそう。

中華民國留日神戸華僑總會
中華民國留日神戸華僑總會

サンルームはコロニアル形式で、最初は窓がなかったところに寒さのため後付けで窓をつけました。その根拠として鎧戸が外付けになっていたり、床が水はけよくするために斜めになっています。

確かに、立っていても床の斜め具合を感じます。このリアルさが建物見学の面白いところなのでしょうね。空気感というか、写真では知り得ない現場独特の気配を体全体でたっぷりと感じます。

昔はここに座って、神戸港の船の出入りを見ていたのではないかというお話です。北野坂の上にあるこの場所から海が見えていたことを想像すると、タイムトリップしたような不思議な気分になりました。

クラブ月世界
クラブ月世界

さて、ところ変わって今回初公開の「クラブ月世界」ですが、私は以前取材に伺ったことがあります。神戸と明石が舞台の映画「i ai」の重要シーンの撮影現場にもなったこの建物。

昭和の気配に満ちたこの空間に足を踏み入れた映画監督が、ひと目で惚れ込んで撮影現場に選んだというのもとても良くわかります。絢爛豪華なキャバレーの姿に圧倒されますよ。

神戸税関
神戸税関

そんな今回のモダン建築祭は、パスポート購入で見られる公開建築が23ヵ所なのをはじめ、クラファンツアー参加の建築(5)、ガイドツアー参加の建築(32)、その他連携企画(23)、全73ヵ所の建築物によるプログラムとなっているようです。

ちなみに神戸で開催するモダン建築祭では、各建築物に必ずひとり「建物ガイド」がいます。地元の建築士や行政職員などがその建物や地域のことを伝えるべく、配置されているそうですよ。

神戸税関
神戸税関

神戸の建築関係者が一体となってこの祭を盛り上げていけるようにという試みで、これを機に神戸の建築文化の底上げを図っていけたらという想いもあるそう。ぜひ参加して、積極的に聞きたいことをどんどん聞いてくださいねということでした。

年に一度、一斉に扉を開く「モダン建築祭」。神戸に点在している建物たちをあちこち巡る楽しい時間、ついに今週末の開催ですよ!

神戸モダン建築祭HP(外部リンク)

開催日:2024年11月22日(金)〜24日(日)

時間:10時〜17時

入場料:23建築を見学できるパスポート代

3,000円(税込)←オンライン決済

セブンイレブン店頭購入 3,500円(税込)

見学場所:神戸市内の各建物

<関連記事>

旅するフォト&ライター(神戸市)

旅なしに人生は語れない、ノマド系フォトライター。国内から世界各国まであちこち歩きまわって取材する、体当たりレポートを得意とする。趣味は美味しいもの食べ歩き、料理、音楽、ダンス、ものづくり、イベント企画などなど、気になる物には何でも手を出してしまう。南国気質で、とにかくマイペースな自由人。

Hinata J.Yoshiokaの最近の記事