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この夏のドラフトでエンジェルスが100位までに指名できるのは2人。マリナーズは5人

宇根夏樹ベースボール・ライター
ザック・ネト(左)とコミッショナーのロブ・マンフレッド Jul 17, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今年のアマチュア・ドラフトは、7月9日~11日に行われる。1~2巡目の指名が9日、3~10巡目が10日、11~20巡目は11日だ。

 ロサンゼルス・エンジェルスは、全体100位以内に指名権を2つ持っている。11位と79位。その次の指名権は、111位だ。

 100位内の指名権がエンジェルスより少ない球団は、テキサス・レンジャーズだけ。こちらは、4位の次が108位となる。

 エンジェルスと同じく、100位以内に指名権2つは、他に5球団。ニューヨーク・ヤンキース、フィラデルフィア・フィリーズ、トロント・ブルージェイズ、セントルイス・カーディナルス、サンディエゴ・パドレスがそうだ。

 一方、シアトル・マリナーズとボルティモア・オリオールズは、100位以内に5つの指名権を持つ。マリナーズは、22位、29位、30位、57位、92位。その次は、124位だ。

 エンジェルスは、昨オフ、ロサンゼルス・ドジャースからFAになったタイラー・アンダーソンと3年3900万ドルの契約を交わした。その前に、アンダーソンはドジャースにクオリファイング・オファーを申し出られて断っているので、エンジェルスは2巡目の指名権を失った。

 マリナーズの指名権のうち、29位と30位は、1巡目と2巡目の間に位置する。1巡目に含めて数えることも多い。

 29位は「プロスペクト・プロモーション・インセンティブ・ピック」だ。この指名権は、MLBパイプライン(MLB.com)、ベースボール・アメリカ、ESPNが開幕前にそれぞれ発表したプロスペクト・トップ100のうち、少なくとも2つにランクインしていた選手が、開幕ロースターに入り、新人王を受賞した場合に与えられる。フリオ・ロドリゲスがマリナーズにもたらした指名権、ということになる。

 30位は「コンペティティブ・バランス・ピック」。市場規模が小さい10球団と収益の少ない10球団が得る指名権だ。競争力のバランスをとるための指名権、といったところだろうか。日本では「戦力均衡ラウンド」と表記されることが多い。1巡目と2巡目の間(A)と2巡目と3巡目の間(B)に存在する。

 なお、過去3年のドラフトでエンジェルスに指名された選手のうち、メジャーデビューしているのは、リード・デトマーズ(2020年・10位)、サム・バックマン(2021年・9位)、チェイス・ソーセス(2021年・321位)、ザック・ネト(2022年・13位)、ベン・ジョイス(2022年・89位)、ビクター・メデロス(2022年・178位)の6人。マリナーズは、ブライス・ミラー(2021年・113位)とブライアン・ウー(2021年・174位)の2人だ。

 昨年のドラフトで指名され、すでにメジャーデビューしている選手は、エンジェルスの3人以外にいない。

 もっとも、メジャーデビューの人数は、その球団のドラフトにおける成功(あるいは失敗)を必ずしも意味するものではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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