【Yahoo!ニュース 個人】6月の月間MVA受賞記事が決定
■Yahoo!ニュース 個人、6月の「月間MVA(Most Valuable Article)」が決定しました
今年1月からスタートした「月間MVA」も、6回目を迎えました。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選んだ厳選5本の記事を、筆者の受賞コメントとあわせて紹介します。
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■2000本安打に詰まった中日・和田のレジェンドな打撃技術と人生観(本郷陽一)
筆者による受賞コメント:2000本まで残り2本で球場を覗いた。ここで打たねば舞台は仙台に移って、その瞬間を見ることはできなかった。最年長での達成。尊ぶべき職人だが、名古屋の人に愛読されている中日スポーツを除けば、そう大きくは報じられない。和田選手の野球人生のひとひらでも伝えることができればと慌てて殴り書いたが、まさか、こんなたいそうな賞をもらえるとは。ただし、主役は書き手ではなく和田選手だ。
(本郷陽一)
選出理由:引きこまれるような読ませる文章で、和田選手への愛情が伝わってくる記事でした。和田選手の技術へのこだわりや努力など、選手の魅力が満載です。
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■光強ければ影も濃い~歴史の多面性を伝える世界遺産に(江川紹子)
筆者による受賞コメント:最後までハラハラした、今回の世界遺産登録。決定後も、日本側が「強制労働」を認めたか、日韓が言い合う後味の悪さです。そういう言葉の空中戦より、何があったのか、という事実をきちんと伝えることが遺産登録の意義ではないでしょうか。今回の取材で、私自身、歴史をどう伝えるか、という問題についてつくづく考えさせられました。そのうえ月間MVAに選んでいただき、とても励まされる思いです。
(江川紹子)
選出理由:世界遺産登録勧告のタイミングで、熊本県の住職へのインタビューをもとに、歴史を伝えるとはどういうことなのか、考えるきっかけとなる記事を執筆いただきました。過度な批判ではなく、冷静な視点のなかに書き手自身の課題感や思いが感じられます。
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■【スピードスケート】長島圭一郎ロングインタビュー ~引退劇の舞台裏~(矢内由美子)
筆者による受賞コメント:長い間取材してきた選手が引退しました。この競技へのリスペクト、この選手へのリスペクトから、引退の真意を記事にしたいと思いました。まずは、発表媒体を提供して下さっていることに感謝いたします。そして、月間MVAに選んで頂いたことは望外の喜びです。心より感謝申し上げます。
(矢内由美子)
選出理由:ファンや観客が勝手に抱いてしまう選手のストーリーやエピソードをあっさりと覆し、一流選手の引退に関するリアリティーが感じられました。まるで選手が自分に話してくれているかのような臨場感があり、選手の人となり・思いや息づかいが伝わってくるインタビュー記事です。
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■「酒鬼薔薇聖斗」の“人間宣言”――元少年A『絶歌』が出版される意義(松谷創一郎)
筆者による受賞コメント:元少年Aの『絶歌』を読んだとき、複雑な感情が渦巻きました。問題点もあるものの、有用な部分もあったからです。
問題点だけを指摘することは簡単です。立ち読みだけしてノリで批判するのも簡単です。しかしそれでは何にもならないどころか、言及した時点で『絶歌』の宣伝に与することになります。もちろん、なんにせよ本は売れてしまう。ならば、本を活用することが必要だと私は考えました。
もし人を殺すことに興味を持つ若者がいれば、『絶歌』の後半部分を読んで思いとどまってほしい、周囲も読ませてあげてほしい──そう活用されることを願って書きました。それが私のこの本に対する批評であり、「機能の言葉」でした。
(松谷創一郎)
選出理由:社会で大きな議論となった書籍出版に関し、安易な論の引用にとどまらず多角的に論考した力作です。重い課題に真摯に向き合って複数の視点を世の中に提供し、議論を喚起しました。
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■金本知憲氏や谷繁監督兼任選手らプロ野球選手がこぞって使いたがるハタケヤマのミットやグラブとは・・・?(土井麻由実)
筆者による受賞コメント:ある捕手のミットに「和牛」の刻印を見つけたのをきっかけに取材を進めましたが、畠山社長の話を聞けば聞くほどアイディアの豊かさ、そして「プロの職人」の仕事のすごさに引き込まれました。プロのアスリートを支えているのは、やはりプロ。お互いに認め合っているからこそ、それがグラウンドでの素晴らしいプレーとして顕れるのだと改めて感じました。
(土井麻由実)
選出理由:野球選手の間で広く愛されるミットやグラブに注目、作り手に話を聞いて開発秘話や生産者のこだわりを紹介しています。周辺の掘り下げはスポーツの分野で取材を続けている筆者ならではです。