猫の死因第2位「慢性腎臓病」の特効薬ができる?開発中の新薬「AIM製剤」とは?
猫の死因第2位である慢性腎臓病。多くの猫やその飼い主にとって、慢性腎臓病は脅威的な存在。しかし近年の研究開発により、猫の慢性腎臓病治療に大きな希望をもたらす新薬「AIM製剤」が注目されています。
この新薬が使えるようになれば、これまで完治ができないといわれた慢性腎臓病も治せるようになり、猫の寿命はなんと30歳にまでなるともいわれているのです。
そこで今回は、猫の慢性腎臓病とAIM製剤について解説します。猫の飼い主さん必見の内容です。
1.猫の死因第2位の「慢性腎臓病」とは?
慢性腎臓病とは、病気そのものの名前ではなく「再生不可能なダメージを負った腎臓の病気」の総称です。
腎臓が数か月~数年かけて損傷・萎縮していく状態。猫の病気の7~8割が腎臓の病気ともいわれており、そのなかでもとりわけ多く見られます。
通常腎臓は体内の老廃物を濾過し、尿として体外に排出する機能をもつ臓器ですが、慢性腎臓病になるとこれらの機能が徐々に損なわれ、最終的には機能しなくなり、猫の命を奪う原因となるのです。
残念ながら現時点で完治は難しい病気で、投薬や補液、透析といった治療で進行を遅らせることしかできません。そんな厄介な病気ですが、15歳以上の高齢猫の30%は慢性腎不全であるほど、猫にとっては身近な存在なのです。
2.開発中の猫の慢性腎臓病特効薬「AIM製剤」とは?
「AIM製剤」とは、AIM医学研究所の宮崎徹所長ら研究チームが開発を進める、猫の慢性腎臓病といった腎臓の病気を治すための画期的な新薬です。
人や動物の血液のなかには「AIM」という老廃物をマクロファージに食べさせるための目印となるたんぱく質があるのですが、宮崎先生は人間とは異なり猫の場合は、先天的に機能しないAIMしか持っていないことを発見しました。
※「AIM」というたんぱく質の存在を発見したのも宮崎徹先生です。
AIMが機能しないと尿の通り道で老廃物が排除されず、腎臓病になりやすくなってしまうのです。
そこで「直接AIMを投与すれば、猫の腎臓病にも効果があるのでは?」という考えがうまれ、新薬の開発が始まりました。
すでに治験を見据えた試験投与も行われており、「想定を上回る良い結果がでた」とのこと…。もしこの新薬が一般的に使われるようになれば、猫の腎臓病を治せるようになり、猫の寿命が30歳まで伸びるともいわれています。
3.「AIM製剤」はいつから使えるようになるの?
現地点では、いつから使えるようになるかの公式な発表はありません。しかし2024年には臨床試験を行い、2026年~2027年ごろ目標に医薬品としての承認を目指しているそうです。
この研究は実は2021年夏に新型コロナ禍の経済的理由で一度研究は中断されたものの、多くの愛猫家から多くの支援を受けて再び研究が始まりました。つまりそれだけ多くの猫好きや獣医師から希望を寄せられる新薬ということですね。
またこの薬は猫だけでなく将来的には人間への応用もできると考えられていて、そういった点からも注目されてます。
4.まとめ
猫の慢性腎臓病は、猫(とくに7歳以上のシニア世代)にとって深刻な病気。しかしAIM製剤が一般的に使われるようになれば、猫の腎臓病治療に大きな希望が生まれるはずです。
今後も研究チームの新しい発表を待ちながら、AIM製薬の動向に注目していきましょう。
※「AIM製剤」についてもっと知りたい!と思った方は、ぜひ宮崎徹先生の著書「猫が30歳まで生きる日」を読んでみてください。