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日本代表、ツアー最後のフランス代表戦へ「相手も我々と状況似ている」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ニュージーランド出身のジョセフ(写真:REX/アフロ)

 世界ランク10位のラグビー日本代表は11月20日、敵地のスタジアム・ド・トゥールーズで同2位のフランス代表とぶつかる。

 現地時間17日に出場メンバーを発表。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

 以下、メンバーと会見時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

背番号,名前(所属先)…身長・体重・生年月日・キャップ(代表戦=テストマッチ)出場数 ◎=キャプテン

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・44

2,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・32 ◎

3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…184・122・1994/7/20・20

4,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・6

5,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・11

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・77

7,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…189・106・1989/1/11・14

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・24

9,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・10

10,李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)…176・85・2001/1/13・5

11,シオサイア・フィフィタ(花園近鉄ライナーズ)…187・105・1998/12/20・12

12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・32

13,中野将伍(東京サントリーサンゴリアス)…186・98・1997/6/11・5

14,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・9

15,山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)…188・98・1988/6/22・26

16,堀越康介(東京サントリーサンゴリアス)…175・100・1995/6/2・6

17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・8

18,竹内柊平(浦安D-Rocks)…183・115・1997/12/9・2

19,ヴィンピー・ファンデルヴァルト(浦安D-Rocks)…188・112・1989/1/6・21

20,テビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)…183・124・1996/1/2・14

21,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・29

22,中尾隼太(東芝ブレイブルーパス東京)…176・86・1995/1/20・0

23,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・87・1993/2/26・46

 来秋のワールドカップフランス大会で2大会連続での決勝トーナメント行きを目指すチームは、今秋のキャンプを「ベースキャンプ」と位置づけている。

 10月29日には東京・国立競技場でオールブラックスことニュージーランド代表に31―38と迫るも、11月12日にはロンドンのトゥイッケナムスタジアムでイングランド代表に13―52で大敗した。

 ツアー最終戦となる今度の試合では、テストマッチ12連勝中と強力なフランス代表から白星を奪いたい。

——ツアー最終戦。テーマは。

「すべてのテストマッチを勝つ意識で挑んでいます。今季はトップチームとの試合が毎回、おこなわれ、難しいとは思うが、ワールドカップに向けては重要なことです。フランス代表は世界ランク2位の相手で、テストマッチ12連勝中。勝つのは難しいですが、勝ちに行く。結果を残したい」

——過去2戦を受けての収穫は。また、今度のフランス代表戦で得たいものは。

「ティア1(強豪国)の強度を学べた。10月に3試合をおこなったオーストラリアAにも、同国代表に入った選手がいた。ハードなラグビーをするのが重要で、それがいままではできていなかった。毎週、ハードなラグビーをするのが重要で、それがいままではできていなかった。オールブラックス戦、トゥイッケナム、そしてフランスと、チームとしていい経験ができた。来年のワールドカップに向け、この強度を経験ができるのはいいこと。フランス代表はいままでフィジカルな試合をしていて身体は痛いと思います。我々と状況は似ている。いい結果を出せるようにしたい」

——対イングランド代表戦ではスクラム、ハイボールの競り合いで苦しんだが。

「スクラムでは反則を犯した。それはプランになかった部分で、乗り越えなければいけない。今週は練習をたくさん積んできた。スクラム、モールは(身体の大きな)ティア1から標的にされる部分ですが、我々は長谷川が作った自分たちのスクラムをする。相手には大きく、経験のある選手がいるが、自分たちには自分たちのやり方がある。それを発揮すれば問題はない。

ハイボールの競り合いは五分五分になる部分があるが、相手の圧力の下でもキャッチしに行かなければならない。イングランド代表戦ではなかなかできなかった部分なので、改善しないといけない。相手の15番、14番(フルバック、ウイング)は自分たちのフォワードよりも大きいかもしれませんが。

セットピースを安定させ、キッキングゲームでリズムを作れれば、試合の流れをいい方向へ進められる」

——大敗を受け、次戦へはどんな対策を。

「最初に言えるのは、イングランド代表とフランス代表は違うチーム。フランスはフォワードに大きく経験のある選手がいて、バックスも比較的、大きい。自信を持って敵陣に入り、ボールを回してくるでしょう。自分たちはキッキングゲームとカウンターアタックのバランスを取る。攻める時は攻め、キックをする時はキックをする。そしてチャンスを見つける。それが鍵になる。

イングランド代表戦では序盤にミス、ペナルティを多く重ねた。試合の流れを掴むには、いいスタートを切ることが重要。最初にいい流れを掴み、自信をつけて試合をしたいです」

 ちなみにスクラムハーフの齋藤直人、スタンドオフの李承信は、攻撃への意識を高めたいと口を揃える。グラウンド中盤あたりでのプレー選択が注目されそうだ。

——先発のスクラムハーフは、流大選手から齋藤直人選手に代わりました。

「素晴らしいスクラムハーフがいるのは嬉しいこと。流が2試合、出場していたので、ここでは齋藤を起用。インパクトを出してもらいたいと思っています」

——スタンドオフの起用について。

「10番(スタンドオフ)のメンタリティが重要。勇気を持って、プレッシャー下でゲームをコントロールすることが重要。先週、山沢がコントロールすることが難しいところがあったので、今回は李が最初に出ます。彼は国外で先発するのは初。今後のワールドカップへも重要なことです。

 中尾は真面目な選手。ノンメンバーとしてもチームに貢献してくれた。彼は今回の機会を得るにふさわしい選手だと思った。このレベルでどこまでやってくれるか、期待しています」

——齋藤選手と李選手が並んだのは、7月9日のフランス代表戦と同じです。当時は国立で15—20と接近。このいいイメージがあったうえでの起用なのか。

「それは偶然です。7月はコロナの状況があった。選手がなかなか出場できないなか、李が出た側面もありました。そこから時間が経って、日本でしかプレーしていない選手がオールブラックス戦、イングランド代表戦、フランス代表戦と、日本で積めなかった経験を積めている。光栄なことです。試合ではシンプルなミスをなくし、反則を減らし、フィジカリティで同等に戦えればいい試合ができる。今後もそれを意識したい」

——ウイングには、前週までアウトサイドセンターでプレーしていたライリー選手が入ります。松島選手はリザーブに回りました。

「ティア1と毎週プレーするにはフィジカルが重要。ディランはいい状況なので、彼をウイングで起用。代わりにアウトサイドセンターに入った(中野)将伍が、フィジカリティでリードしてくれるはずです。将伍は、(中村)亮土が戻ってきてから機会を得られなかったが、彼がバックスラインで身体を張ってくれることが重要。松島はベンチから出て、試合にインパクトを出してくれると思います」

 ちなみにフランス代表ではフランカーのシャルル・オリボン、7月の日本ツアーには参加しなかったスタンドオフのロマン・ヌタマックらが先発する。前週の南アフリカ代表戦から3名、入れ替わっただけ。ベストに近い布陣だ。

——ここからは、ゲームと直接、無関係な話題です。今回の欧州遠征には、レフリーの滑川剛人氏も帯同していますが、効果は。

「国際ラグビーに触れられ、レフリーとして沢山、学んでいけると思い、この環境にいてもらっています。日本のレフリー界にも成長して欲しい。世界のレフリングに慣れてもらい、それを日本国内で移行させることが重要。練習でもサポートしてもらっています。コーチの視点ではないところから観察してくれていて、相手チームがどんなことをする傾向があるのかのレポートも出してもらっている。我々はラグビーにフォーカスできる」

——滑川氏へはジョセフからオファーを出したのか。

「コーチ、日本ラグビーフットボール協会とも同じ考えを持っています。パーソナルデベロップメント(個人育成)も、お互いが助け合えることも重要です」

——今回の試合会場であるスタジアム・ド・トゥールーズはワールドカップでも使用。現在の拠点である練習会場やホテルも、本番中に利用する見込みです。

「自分がこれまで見てきたなかでもベストな施設のひとつです。トゥールーズはラグビーの街として有名。来年、ワールドカップでここに来ることを楽しみにしています。(今回も)温かい歓迎を受けているし、フランスのユニオンからサポートしてもらえていることも嬉しく思います。街はそれほど大きくないが、たくさん楽しめる場所がある」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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