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『ミシュランガイド』常連店「鳴龍」が整理券制導入! 一つ星獲得ラーメン店なしの原因は「行列」?

井手隊長ラーメンライター/ミュージシャン
「創作麺工房 鳴龍(NAKIRYU)」の担々麺とパクチー

昨年12月に発表された『ミシュランガイド東京2024』において、ラーメン店の一つ星がなくなったというのは記憶に新しいだろう。

ラーメン部門は2014年発行の『ミシュランガイド東京2015』から新設され、最新版ではビブグルマン(星は付かなくても、「価格以上の満足感が得られる料理」を提供している店)が19店掲載されたが、なんと今回は一つ星からラーメン店が姿を消したのだ。

進化の止まらないラーメン業界において、ミシュランの星がなくなるというのは考え難い。ミシュランだけがお店の目標ではないとはいえ、一度選ばれていたお店が選ばれないとなると色々と考えてしまうものだ。

創作麺工房 鳴龍(NAKIRYU)
創作麺工房 鳴龍(NAKIRYU)

2016年発行の『ミシュランガイド東京2017』から毎年一つ星を獲得してきた東京・大塚の「創作麺工房 鳴龍(NAKIRYU)」もその一つだ。

「鳴龍」はラーメン部門が新設された年からミシュランガイドを賑わせてきた人気店で、通常のラーメンのほかに担々麺でも評価されたお店として稀有な存在だ。

店主の齋藤一将さんが日々厨房に立ち、一杯一杯を振る舞っている。

ミシュランガイドに載るたび、観光客が増え、一つ星獲得後からは外国人観光客も多く訪れた。日に日に行列が長くなり、筆者は一度大晦日に3時間並んだこともある。

「鳴龍」の担々麺
「鳴龍」の担々麺

しかし、行列が長くなったからといって決して「鳴龍」の味のクオリティが落ちたとは思わない。

店主が厨房に立っていないお店ならまだしも、齋藤さんのラーメンはむしろ日々進化していると言ってもいいレベルだ。

その中で気になったのが、今回の『ミシュランガイド東京2024』の「鳴龍」の紹介ページにあった一文だ。

「記帳制にしてほしい」

この一文がどうも気になってしまった。あくまで「味」を評価するはずのミシュランが、「鳴龍」の長い行列に苦言を呈しているのである。

そのラーメンのクオリティが確実に高いままである中で考えられるのは、ミシュランの基準として「行列=悪」になっているのではないか。最新版を手にしてそんなことを思ったのである。

そんな「鳴龍」が今年2月からついに整理券制を導入した。

〜整理券制導入のご案内〜
明日2月1日(木)よりお客様のご案内をこれまでの列に並んで頂いた順番にご案内する方式から朝8時より発行する整理券制を導入する事になりました。
より安全にお客様を短いお待ち時間でご案内できる用にする為の導入になります。
何卒宜しくお願いいたします。(「創作麺工房 鳴龍 ~NAKIRYU~」Xより)

店頭に設置するタブレット端末で受付・発券をし、案内時間に来れば入店できるというシステムだ。

11時から15時30分まで30分刻みで、希望の時間と人数(最大8名まで)を指定できる。

筆者も早速利用してみた。

日曜日に朝8時を狙って出発。

7時59分に着き受付をすると、整理券をゲットでき、13時の回が予約できた。あとは5分前に来店すればOKだ。

整理券をゲット
整理券をゲット

2回来なくてはいけないという手間はあるが、今までの大行列を考えるとかなりスムーズに入店することができる。

担々麺と別添えのパクチーを注文。

まさに至高の一杯
まさに至高の一杯

清湯の上品なスープに芝麻醤のコクとラー油の程よい辛さが心地良い。しなやかな麺にスープが絡み、高級中華料理店にも負けない至高の一杯になっている。

お客の入れ替えもスムーズで、かつての大行列は嘘のようだ。

同じく一つ星獲得店だった「銀座 八五」も昨年11月から「TableCheck」でのネット予約を開始した。

タイパ(=タイムパフォーマンス)が重要視される時代、ラーメン店の長すぎる行列問題に少しずつ変化が起き始めている。

今年発表のミシュランガイドはそんなラーメン店をどう評価するのか。これも見ものである。

※写真はすべて筆者による撮影

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ラーメンライター/ミュージシャン

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。東洋経済オンライン、AERA dot.など連載のほか、テレビ番組出演・監修、コンテスト審査員、イベントMCなどで活躍中。 自身のインターネット番組、ブログ、Twitter、Facebookなどでも定期的にラーメン情報を発信。ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。本の要約サービス フライヤー 執行役員、「読者が選ぶビジネス書グランプリ」事務局長も務める。

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