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2015年のJリーグの「平均観客数」を徹底分析 前年より動員が増えた要因とは?

村上アシシプロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント
J2最終節札幌対栃木は2万人を超える観客が入った。

明治安田生命Jリーグのリーグ戦日程が終了した。まだJ1ではチャンピオンシップ、J2では昇格プレーオフ、J2とJ3の間では入替戦があるため全日程を終了したわけではないが、リーグ戦に限定した観客動員数をひとつの指標として、2015年のJリーグを振り返ってみたい。

J1リーグの平均観客数は3.26%増加 川崎のスタジアム改築が寄与

まずはJ1リーグの表からご覧頂きたい。

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J1全体で観客動員数が17万2215人増えて、観客動員数の平均だと3.26%増加した。チャンピオンシップ導入によりJ1スケジュールがタイトになり、平日開催が多くなったにもかかわらず、この数字は立派の一言だ。

動員数でいくと浦和が前年に引き続き首位だが、観客動員数の前年比だと、川崎が1位となる。ホームスタジアムの等々力陸上競技場のメインスタンドが今季から改装された効果がはっきりと出た形だ。観客動員数平均のアップ率が最も高かったのは、昨季J2の6位からプレーオフを勝ち上がって昇格してきた山形となった。

J2、J3でも増加傾向 福岡、山口が躍進

続いてJ2リーグ。

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J2全体で11万8246人増えて、観客数平均では3.88%のアップとなった。動員数首位はC大阪。前年の「セレ女ブーム」から一転、降格して集客力を落としてもJ2では首位をキープした。前年比では後半戦躍進した福岡が70%以上増やしてトップとなった。

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J3リーグでも12万4050人増加して、動員平均も8.20%増えた。今季から新スタジアムをオープンした長野が観客数で首位に立ち、JFLから昇格してきた山口が前年比で桁違いの数字を出してきた。

J1、J2、J3全体での平均観客数は2.18%の増加

最後に52クラブ全体における観客数順位表を作成したので参照してほしい。全体の観客動員数平均は前年比で2.18%増える結果となった。

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ちなみにJリーグ公式のリリースでは以下の記載があった。

明治安田生命J1リーグに限っては、入場者数合計は昨年の8,764,301人と比べて104.7%となった

出典:Jリーグ公式サイト

この「8,764,301人」という数字はJ1ではなく、Jリーグ全体(J1~J3)の数字であり、かつ104.7%という数字は観客数の「実数」の前年比である。前年からJ3でクラブが増えて試合数が増加しているため、本来は分母に試合数を持ってきた「平均」で比較しないと意味をなさない点を指摘しておく。

前年よりも動員平均が増えた要因とは?

では、なぜJリーグ全体で前年より平均観客動員数が増えたのだろうか?

今季からJ1リーグに導入された「2ステージ制」によって、昨季より山場が多くなったため、と安易に結論付けるのは稚拙ではないか?と僕は考える。

「J1における2ステージ制導入」以外にも、今年のJリーグには観客動員を促す要素が数多くあった。以下に抜粋する。

  • 昨年よりも今年の方が試合日における天候が良かったため(J.LEAGUE Data Siteで天気情報を調べると、昨年J1で雨が降った試合は51試合あったが、今年は約半減の25試合だった)
  • NHKやTBSなどの地上波中継が昨年より多く、露出効果があったため(その日はテレビで見たとしても、それに触発されてその後スタジアムに足を運ぶケースを想定)
  • 昨季はサポーターによる人種差別問題が大きく取り沙汰されたが、今季はJリーグにとってのネガティブな報道が少なかったため(ぶちくらせ問題以外に大きなモノはなかった)
  • J2では昇格プレーオフ進出圏内のボーダーラインが史上最低となり、より多くのクラブにとって消化試合が減り、シーズン終盤まで昇格を目指して戦えたため
  • 川崎や長野のスタジアムの新装・改装効果があったため
  • 武藤、柴崎、宇佐美など日本代表で活躍したJリーガーを観に来る観客が増えたため(特に海外移籍する夏まで武藤が在籍していたFC東京の前半戦の動員数は顕著だった)
  • そもそも前年は浦和の無観客試合が1試合あったため(この試合だけで3~4万人のマイナス要素があったと想定される)
  • 冠スポンサーとなった明治安田生命の社員が動員されたため(3月だけで1万人の動員が見込まれるというニュースがあった。その後の動員数は不明)

これら以外にも、52クラブそれぞれの経営努力も評価すべきだろう。

つまり、2ステージ制導入以外にも様々な要素が複雑に絡み合い、Jリーグ全体で2.18%の増員という結果が形成されたのだ。ここで「2ステージ制導入は成功だった」と結論付けるのは論理の飛躍であり、詭弁だ。

Jリーグの運営は、短絡的に2ステージ制を肯定するのではなく、多面的に増加要因を洗い出し、各要素を定量的に評価してほしい。それでこそ、Jリーグの未来は切り開かれていくと僕は信じている。

プロサポーター・著述家・ビジネスコンサルタント

1977年札幌生まれ。2000年アクセンチュア入社。2006年に退社し、ビジネスコンサルタントとして独立して以降、「半年仕事・半年旅人」という独自のライフスタイルを継続。2019年にパパデビューし、「半年仕事・半年育児」のライフスタイルにシフト。南アW杯では出場32カ国を歴訪する「世界一蹴の旅」を完遂し、同名の書籍を出版。2017年にはビジネス書「半年だけ働く。」を上梓。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。2016年以降、サポーターに対するサポート活動で生計を立てているため、「プロサポーター」を自称。カタール現地観戦コミュニティ主宰(詳細は公式サイトURLで)。

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