『ある選手が自分に似ていて心配に・・・』ACL浦和vsハノイFC【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■今ではすっかりエースなホセ・カンテ
天候がどうにも不安定。自転車で行くか、路線バスに乗って浦和美園に行ってから歩くか、判断に迷う。
平日夜でこの天気で、ACLの相手がベトナムのチームと考えたら、まあ、きょうの集客は1万人を超えるかどうかの攻防だな、と前もって予想。ゲーム後半に出た数字がその1万人を超えたのはなによりだった。いつもの南側自由席は、やはり「おひとりさま」の男性客が多かったものの、若手のグループもそこそこ見かけた。
先発メンバー発表見たら、ほぼベストメンバーに近い。ACLでも予選リーグでは手を抜くチームもあるとも噂されるが、レッズは手を抜かない。
相手のハノイFCについてはほとんど知らない。ただ、試合開始後、南側のゴールに攻めてくる様子を見ると、アフリカ出身らしいFWの選手は、デカくはないが体もガッチリしてフィジカル強そう。
と、思っている間もなく、カンテが低く突き刺さるようなボレーシュートで鮮やかな先制。
出始めの頃は、シュートチャンスにもうまく対応できない印象だったのが、ここんとこ、「頼れる点取り屋」にすっかり変身だ。もう「あカンテ」なんて呼ぶ人間もいなくなったね。前からいたかどうかは知らんけど。
あカンテと 呼ばれた日々さえ 懐かしい
もっとも、あとで公式記録を確認したら「オウンゴール」になってた。誰かハノイの選手が触れたんだな。
■小泉の背中とパンヤの登録名がきになる
雨は試合が進むにつれて、いったん小降りになり、ショルツがPK決めて2-0になったくらいで、やんだ。まあ、これくらいの雨なら、そんなに濡れないかな、と楽観的にとらえているところに、さいたま市出身・高橋利樹がゴール。いわゆる「ご当地選手」なのだから、こら、シーズンで10点くらいとるようになったら、埼スタでは大爆発だ。ようやくレッズの攻撃陣も、「アタマ数が揃ってきた」感じはする。
ただ、心配なのは小泉かな。きょうも「ここで決めなきゃ」っていうチャンスを逃してる。
私も、出す本出す本、ぜんぜん売れなくて、よく知りあいに「あんたは背中にビンボー神がついてる」って言われたりするが、今の小泉の背中にもビンボー神がとりついてるのかもしれない。だから私は、今の小泉に「仲間意識」さえ、ちょっと感じてる。いや、私はともかく、彼の方はさっさとビンボー神をどこかに退散させないと、出番すら与えられなくなりそう。ありきたりだが、退散させる一番の方法は「ゴール」しかないだろうが。
ゴールさえ 決めれば消える ビンボー神
ハノイFCは、外国人選手を除けば、フィジカルが弱い。酒井に簡単にふっとばされたりしてる。ボールを扱うテクニックも、関根あたりに自由自在にやられているので、そんなにあるように見えない。
レッズが負けるとしたら0-0で選手が焦って前がかりになったところでのカウンター一発くらい。しかしもう前半だけで3点入っちゃったから、勝ちは確定。そうしたら気になってくるのは天気だ。やみかけたと思ってたのが、後半になると急に土砂降りになったりする。しかも、ずっと真夏日だったのが、気温はいきなり「秋」だ。
いきなりの 秋で土砂降り ゴール裏
試合の方は、もはや一方的。わずかにやって来たハノイ・サポーターが気の毒なくらい。関根のヘディング、カンテのPKと来て、最後は初登場のタイ出身、エカニット・パンヤの「ごっつぁんゴール」まで飛び出した。しかし、なぜ登録名が「エカニット」の方なのだろう。「パンヤ」の方が、学校の放課後、腹減ってついつい食ったコッペパンを買った「パン屋さん」みたいで、親しみやすいのに。活躍すれば、どこかのパンメーカーがスポンサーにだってつくかもしれない。
エカニット というよりまずは パンヤかな
ACL3度優勝のレッズなんだから、東南アジアをはじめ、アジアの選手にどんどん門戸を開くのは当然というより、義務みたいなものだ。まずその第一歩が刻まれたのは、いいことだ。
小降りにはなったものの、帰りにもまだ雨は完全にはあがっていなかった。
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後30年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。現在、去年一年の記事をまとめた単行本『浦和レッズ川柳2022』(飯塚書店)が好評発売中。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、8月、テレビの夢グループCMで、石田社長の横で「社長~! 安くしてエ~!」の甘え声でお馴染の歌手・保科有里の『愛人!? 困っちゃう・・・』という本を出す。秋には、タブレット純とエド山口の対談本を出す予定。
11月27日(月)、東京都江戸川区のタワーホール船堀・小ホールで『ちょっと昭和なヤングたち90回スペシャル』も開催。