『去りし人を思い出す試合展開』浦和vsFC東京【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■またしてもホームで雨
一カ月ぶりのホームでの試合。せめて今回こそは晴天の下で試合を見たい。しかし夕方にはどんよりとした空模様で、いつ雨が降り出してもおかしくない。というか、現に降り出した。それでも小雨ではあったので、自転車で家を出る。雷雨よりはマシ。だが、いつ本降りになるか予断を許さない。
いつも、埼スタに向かう間に、何人くらいの集客がありそうか軽く予想するのだが、きょうは難しい。相手がFC東京でそこそこ集客は見込めそうなものの、天気もはっきりしないし、そもそもレッズも相手も、優勝はムリ、降格にはならない、の真ん中へんのポジションで、観客を燃え上がらせる「テーマ」が弱い。
不透明 集客予想と 空模様
1時間前くらいに埼スタの自転車置き場につくと、思ったよりも自転車は止まっている。これなら4万人は超えるかもしれない、と思いつつ、スタンドへ。
土曜日の割には子供連れのファミリーの度合いは低く、オジサンの姿も目立って、年齢層、やや高め。FC東京のサポーターは元気いっぱい。先発メンバー発表では、もちろん、先発より、サブで紹介された原口元気と長友の拍手とブーイングが一番目立ってた。思わず出た一句が、
先発より サブにスターが いるリーグ
もちろん、私は日本代表に選ばれるようなスターのほとんどが海外に行ってる現状を嘆いているわけじゃない。ただ、若手で、やがて海外に出るような「スター候補」選手をもっともっと試合に使ってもいいんじゃないかと感じるだけだ。武田とか二田とか、いるにはいるはずなんだが。
■失点のたびに思い出すあの選手
試合始まって、前半は私のいる南側自由席側のゴールにレッズが攻めてくる。ボールキープ率は高いし、大久保やら関根やら、ゴール前近くにボールを運んではくるものの、パスを回してなかなかシュートに持ち込めない上に、シュートしても相手DFに跳ね返されてしまう。あんまり惜しいシーンはない。
FC東京側の攻撃もそんなには強烈ではなく、何となく「前半は0-0かな」と思っていた矢先、いきなりのオウンゴールだ。遠くて、最初は何が起きたのかよくわからなかった。ただ、どこかに当たって、ゴールが決まったのだけはわかったから、最初は普通に敵のシュートが決まったのかな、と。
運が悪かったのか、単にヘタだったのか?多くのサポーターも同じだったろうが、私もオウンゴールとわかった時、すぐに頭にショルツを思い浮かべた。これ、もしショルツなら、どうなんだろう?背もだいぶ高いしね。
オウンゴール 決まってショルツを 思い出す
1点は交通事故と考えて、いずれ攻撃を続けていけば挽回の糸口はあるだろうと高をくくっていたら、その次がPKだ。これも向こう側のゴールで起っていて、気が付いたのはオーロラビジョンの「PK確認中」の表示が出てからだ。そしたらすぐにそのオーロラビジョンに4~5回くらい繰り返し、ハンドのシーンが映し出された。ありゃしょうがない。明らかに手に当ってる。しかし、ああいう場面では決してハンドにならないように、特にDFはいつも練習しているのではなかったか。運が悪いんじゃなくて、やはりヘタなんじゃないのか。
また多くのサポーターが頭に描いた通り、あれ、酒井だったらどうなんだろう?
PKを とられて酒井を 思い出す
去りし人を 思い出さすな 2失点
いっそ、すっきりとキレイに崩されて失点した方が心地はよかった。全体的な試合展開を見る限り、レッズは押しているようなのに、2点取って守備を固めたFC東京によって、シュートはことごとく跳ね返された。正直、後半、少なくともレッズが勝つ、ないし引き分けに持ち込める可能性はほぼ見えなかった。
雨は本降りにならないものの、やまない。4万1千人あまりの観客は、そんな中で、安定しない空模様のようなレッズの試合を見せられたことになる。
あー、しんど。
動画:『夢を見ていた初夏』浦和レッズ川柳2024【5月&6月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身している井関源二さんの単行本『井関が、中野区から日本を変える』と、元放浪少女で、群馬県・沼田の市会議員に転身している今成あつこさんの『日本の洗濯は沼田から!』をリリース。好評発売中だ。
9月30日には、お笑いライブ『ちょっと昭和なヤングたち95』を開催。新宿Fu-で開演が18時半。MCは井川修司(イワイガワ)、ゲストはロケット団、ビックボーイズ、冷蔵庫マン、ゆーとぴあなど。入場料2000円。