痛快!!韓国で日本生まれの元Jリーガーたちが快挙。Kリーグ2の2年連続MVPと年間ベスト11に!!
かつて川崎フロンターレ、ジェフユナイテッド市原・千葉、ツエーゲン金沢、ロアッソ熊本に在籍した在日コリアン選手が、韓国のプロサッカーリーグであるKリーグの2部リーグに相当するKリーグ2で、2年連続最優秀選手(MVP)に輝いた。
現在は釜山(プサン)アイパークに所属する在日コリアンの北朝鮮代表FW安柄俊(アン・ビョンジュン)のことだ。
安柄俊は昨日11月18日に行われた「Kリーグ2 2021授賞式」で、MVP、得点王、ベストイレブンを受賞し、Kリーグ2史上初となる2年連続3冠を達成した。
安柄俊は今季、リーグ戦で「6試合連続ゴール」を2回、「1試合2ゴール」を3回、ハットトリックを1回記録。34試合23ゴール4アシストでKリーグ2得点王となった。14ゴールで得点ランキング2位のFC安養のFWジョナタン・モヤを9ゴール差も引き離しての得点王となった。
また、得点王のみならず年間ベストイレブンとMVPも受賞。所属する釜山は10チーム中5位に終わったが、各クラブの監督とキャプテン、そしてメディアの投票を合算して決まるMVPの受賞は2年連続だ。
ちなみにMVPの座は、かつてサガン鳥栖、鹿島アントラーズに所属した韓国代表DFチョン・スンヒョン(金泉尚武)と争った。
監督投票とキャプテン投票ではチョン・スンヒョンが多かった。安柄俊は監督、キャプテンからそれぞれから4票を得たが、チョン・スンヒョンは監督から5票、キャプテンから6票を得ていた。
しかし、メディア投票では安柄俊がチョン・スンヒョン(27票)を大きく上回る69票を獲得し、最終点数51.76点でチョン・スンヒョン(44.02点)を上回った。
「素晴らしい選手がいるなかでMVPを受賞することができて光栄だ」という言葉で受賞の感想を切り出した安柄俊。
「精神的に苦しい状況にあったとき、自分に手を差し伸べて、自分を信じてくれた釜山に感謝したい気持ちが大きい。そのおかげで自分が今シーズンこんなに上手くプレーすることができた。この感謝の気持ちを一生大切にして生きていきたい。この賞に恥ずかしくなく、常に謙遜な気持ちで頑張りたい」と、涙を浮かべて喜びを噛みしめていた。
この安柄俊が選ばれた年間ベストイレブンには、もうひとり、日本出身のプレーヤーが選ばれている。
今季シーズン途中から大田(テジョン)ハナシチズンに加入した“マサ”こと石田雅俊だ。
名古屋グランパスU-15を経て名門・市立船橋高校で背番号10を背負いインターハイ優勝などを経験した石田は、高校卒業後の2014年に京都サンガF.C.でプロに。
ただ、Jリーグではレンタル移籍でSC相模原、ザスパクサツ群馬、アスルクラロ沼津に在籍したが、これといった活躍はできず2018年に京都との契約が満了後、翌2019年からKリーグ2にやってきた。
安山(アンサン)グリナース、水原(スウォン)FC、Kリーグ1(1部)の江原(カンウォン)FCなどを経て、今夏からレンタル移籍で大田ハナシチズンに在籍。
10月の第32節から第35節までの4試合で7ゴールを決るなど、チームの躍進に貢献したことが評価されての年間ベストイレブン選出となったが、彼を一躍有名にしたのは韓国語で放ったヒーローインタビューでの発言だ。
「これまでのサッカー人生を振り返ると、自分は敗者だと思っています。それでも、こうして人生を変えられる試合がいくつもあります。いずれにしても、昇格のために人生を懸けます」
多少のたどたどしさがあったとはいえ、石田の思いが伝わるには十分だった。石田の言葉は韓国国内で反響を呼び、インタビュー映像は韓国で100万回再生を突破したほどだ。
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この日の授賞式でも通訳を介さずに自らの口で「敗北者のマサです」と韓国語で切り出した石田。その表情は晴れやかで、まさに“人生の勝者”の顔だった。
いずれにしても、契約解除された道渕諒平、途中加入した小林祐希を含めると、今季は6名の日本人がプレーしたKリーグ2。その中のひとりでもある石田が年間ベストイレブンに輝いた意味は大きい。
筆者の記憶が正しければ、2部リーグとはいえ日本人選手がKリーグで年間ベストイレブンに輝いたのは石田が初めてかもしれない。