戦国時代の山城・知られざる龍野古城の実態【兵庫県たつの市】
兵庫県たつの市龍野町には、龍野城がある。江戸時代初期の寛文12年(1672)、信濃国飯田から転封となった脇坂安政により、再建された。現在、龍野城と言えば、一般的にこの龍野城を指す訳だが、実はこれ以前にも「龍野城」はあった。
鶏籠山(けいろうざん。山の形が鶏籠に似ていることから名前の由来がある標高210メートル。山の麓に脇坂氏が築いた龍野城がある)に築かれた龍野城である。別名、鶏籠山城(龍野古城)とも言う。築いたのは、戦国時代の播磨国の武将・赤松村秀だ。15世紀の終わり頃(1499年)に築かれたとされる。
2023年3月15日に、この龍野古城を巡ってきた。登山口には、柵があり(これは入れるのか)と一瞬思ったが、柵を自分で開け、山道に入っていく(案内板によると、小動物の侵入等を防ぐため、このような柵を設けているとのこと。入る時には必ず柵を閉めていく必要がある)。
「霞城文化自然保勝会」が作成した「鶏籠山・野見宿禰登山マップ」によると「本丸跡まで約30分」とあり、途中「急な坂道」と書いてある。イラスト(図絵)では「急な坂道」と書いてあっても、それほどでもないように感じる。最初は、鬱蒼とした山道を歩いていくが、坂はそれほど急でもない。
(これは余裕だな)と思っていたら甘かった。約15分ほど歩いた頃から、急峻な山道に変化したのだ。場所によっては、生えている木に掴まらないと、上に登れないようなところもある。手荷物を持っての登山はお勧めしないし、できれば杖があった方が良い(水分も用意しておいた方が良い)。
急過ぎると言っても良い上り道、舗装は当然されておらず、どこをどう上っていって良いか分からないようなところを、ひたすら、これまた約20分ほどかけて登っていく。
途中、「竪堀の跡」「古城石段」「石だたみ」「八幡宮跡」などが視界に入ってくる。
戦国時代に想いをはせつつ、息を切らせて、登っていき、やっと「本丸跡」に到着する。
山頂からは龍野の美しい風景を木のベンチに座りながら眺めることができる。頂上にいた登山客のご老人によると、ベンチは最近作られたもののようだ。ひと休みして、下山を開始したが、今度は急な下り坂に悪戦苦闘。滑って転びそうになりつつ、木に掴まり、一歩一歩、下におりてゆく。
幸運にも怪我なく、下山することができたが、登山で怪我する人がいてもおかしくない山道だ。龍野古城を見るためには、ある程度の用心と覚悟を持って登山することが大切である。