10月中旬頃から、テレビやSNSなどでは秋の和菓子が特集されることも増え、特に目を引くのが栗を使用した和菓子たち。特に新米、ならぬ、その年に収穫されたばかりの新栗（しんぐり）を丁寧に処理した栗金団や大福、お餅などが店頭に並ぶと、シンプルな色合いなのに心が浮き立ってしまうのは私だけではないはず。
さて、銀座生まれ銀座育ちの和菓子屋「銀座あけぼの」さん。チーズをあわせたおかきでも有名ですが、店頭では大福などの朝生菓子が販売されています。その日限りの美味しさを求め、銀座四丁目の交差点では、海外からの観光客の方々も豆大福などの次々に購入していきます。百貨店などの、いわゆるデパ地下のお店と比べると実に銀座らしいといいますか、国際色豊かな行列だなぁと。

その銀座あけぼのさんの季節限定生菓子には、まさに今が旬のお菓子が！今回は、今年収穫されたばかりの新栗をたっぷりと使用した「本生栗蒸し羊羹」をご紹介。

じつは銀座あけぼのさんにはもうひとつ、大納言栗蒸し羊羹が販売されているのですが、そちらはお日保ちが約18日。お手土産にぴったり。ですが、今回ご紹介する本生栗蒸し羊羹のお日保ちは当日中。

餅粉や葛粉、小麦粉などとなめらかなこし餡をあわせた蒸し羊羹は、むっちりとしていながらもトロリとした朝生菓子ならではの水分を湛えています。蒸し羊羹の部分は甘さ控えめなので、羊羹（多くの方が思い浮かべるのはおそらく練り羊羹）は甘い、飲み物が欲しくなる、という方にはぜひ一度お試しいただきたい。栗はぽりぽりっという大胆な歯ごたえを残しているものの、しっかりと蜜に浸されたタイプ。

蜜煮の甘味に始まり、咀嚼するうちに栗の素朴でほくほくとした香ばしさがこみ上げてきたかと思うと、滋味深い蒸し羊羹の小豆の香りも折り重なっていく…蜜の甘味から素材の風味が引き立っていくという、一口で味の起承転結をしっかりと実感できる栗蒸し羊羹です。

羊羹はお日保ちがする和菓子としてお手土産にも人気の高いお菓子ですが、ぜひその日限りの繊細な甘味も味わってみてくださいね。