Yahoo!ニュース

名古屋めしが切手になった! 食べられる&買える店はココ(63円切手編)

大竹敏之名古屋ネタライター
「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」(63円)2021年11月11日発行

切手図案のモデルを筆者が独自に調査しガイド

日本郵便から「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」が11月11日に発売されます。ちなみに第1集は福岡、第2集は札幌。日本を代表する南北のグルメタウンに続いて、名古屋が“おいしいにっぽん”第3の都市に選ばれたのです。

この切手は63円と84円切手がそれぞれ10枚1シート(630円と840円)。いわゆる名古屋めしを中心に多彩なご当地グルメが図案となっています。地元の人やグルメ旅が好きな人にとっては、「この料理はあの人気店だ!」「これはコ〇ダ珈琲店、こっちはコン〇ル!!」と答え合わせするのも楽しみのひとつです。

そこで、筆者が独自に各図案に採用されたグルメの食べられる&買えるお店をガイドします!(店舗については日本郵便が公表しているものではなく、あくまで筆者が“非常に良く似ている”と判断してセレクトしているものです)。

まずは63円切手シート編。お茶菓子や軽食を中心に名古屋名物がにぎやかにラインナップされています。

「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」2021年11月11日発行。63円切手のシートは喫茶グルメや軽食、お菓子をセレクト(金額などに入っている斜線は郵便切手類模造等取締法にのっとった処理)
「おいしいにっぽん シリーズ第3集 名古屋」2021年11月11日発行。63円切手のシートは喫茶グルメや軽食、お菓子をセレクト(金額などに入っている斜線は郵便切手類模造等取締法にのっとった処理)

【エビフライサンド&アイスコーヒー】

コンパルは大須本店の他、栄と名駅の地下などに出店。エビフライサンド980円、アイスコーヒー420円。サンドイッチ用の皿は、撮影した御器所店のみ切手図案の角型と異なる丸型を採用
コンパルは大須本店の他、栄と名駅の地下などに出店。エビフライサンド980円、アイスコーヒー420円。サンドイッチ用の皿は、撮影した御器所店のみ切手図案の角型と異なる丸型を採用

喫茶店文化が根づいた町・名古屋。中でも地元っ子から篤い支持を集める老舗が「コンパル」です。創業は戦後間もない1947(昭和22)年。店舗数は9軒と決して多くはありませんが、戦後の復興・発展を象徴する地下街の開業に合わせて店舗を増やしてきたこともあり、名古屋のシンボリックな存在として足繁く通うファンも少なくありません。エビフライサンドは、いち早くサンドイッチのテイクアウトを始めたコンパルを代表する名物。デミタスカップから氷入りグラスへ移すアイスコーヒーもまた香り豊かな名物ドリンクです。

コンパル HP

【シロノワール&レモンスカッシュ】

シロノワールは温かいデニッシュパンの上に冷たいソフトクリームをトッピング。レモンスカッシュなどカラフルなドリンクにはかわいいブーツグラスがよくマッチする
シロノワールは温かいデニッシュパンの上に冷たいソフトクリームをトッピング。レモンスカッシュなどカラフルなドリンクにはかわいいブーツグラスがよくマッチする

どう見ても「コメダ珈琲店」の名物スイーツ・シロノワールと、ブーツ型グラスがかわいいレモンスカッシュ。ただしあくまで“非常によく似ている”ものとして紹介します。ちなみにコメダ珈琲店は全国850店舗以上を出店し、47都道府県を網羅しているので、全国の皆さんもどれくらい切手と似ているか是非ご確認を。

コメダ珈琲店 HP

【喫茶店スイーツ】

「洋菓子 喫茶ボンボン」のブレンドコーヒー360円、アントースト450円、プリン320円、マロン300円。隣の洋菓子店では30種以上のケーキを販売し、喫茶でも食べられる
「洋菓子 喫茶ボンボン」のブレンドコーヒー360円、アントースト450円、プリン320円、マロン300円。隣の洋菓子店では30種以上のケーキを販売し、喫茶でも食べられる

甘党のハートに響きそうなこちらの切手図案。小倉トースト、プリン、スポンジケーキが並び、コーヒーカップのシンプルなデザインもイイ感じ。いわゆる名古屋めし系メニューは小倉トーストだけですが、喫茶店文化も名古屋めしのひとつに挙げられることが多く、そのあたりさすがよくわかっている!と納得の1枚です。

この図案そっくりのスイーツで“いっぷく”のひとときを過ごせるのが「洋菓子 喫茶ボンボン」(名古屋市東区)です。1949(昭和24)年創業の名古屋の洋菓子店の草分けにして、喫茶店としてもレトロな雰囲気が魅力でいつも満席の大人気店。上質のバターやクリームをふんだんに使った贅沢な甘みに、名古屋喫茶らしいストロングな苦味のコーヒーが相性抜群です。

洋菓子 喫茶ボンボン HP

【和菓子】

上から千なり(5個入りの場合820円)、旅まくら(8個入り507円)、をちこち(半棹810円)。両口屋是清は市内に複数の直営店がある他、主要百貨店や地下街でも取り扱いがあり。市内どこででも購入しやすい
上から千なり(5個入りの場合820円)、旅まくら(8個入り507円)、をちこち(半棹810円)。両口屋是清は市内に複数の直営店がある他、主要百貨店や地下街でも取り扱いがあり。市内どこででも購入しやすい

お盆に乗った和菓子の図案も“いっぷく”を大切にする名古屋の食文化を象徴するもの。実は名古屋では江戸時代から茶の湯の文化が広く浸透していて、それにともなって和菓子店も多い土地柄。店舗の数や生産量・消費量も実は全国トップクラスです。そんな名古屋の和菓子文化を代表する存在が「両口屋是清」。江戸初期の1634年に創業し、尾張藩の御用菓子も務めた名門にして、気軽に買えるお土産菓子も数々手がけています。切手の図案にならって並べてみたのは、をちこち、旅まくら、千なり。いずれも名古屋人好みの粒あんの上品かつしっかりした甘みを堪能できる銘菓です。

両口屋是清 HP

【守口漬&天むす】

守口漬は明治中期、名古屋の実業家・山田才吉が考案し、その後いくつもの専門店が製造。「大和屋守口漬総本家」は名古屋の中心部・栄に本店を構え、地下街や百貨店などにも販売店がある
守口漬は明治中期、名古屋の実業家・山田才吉が考案し、その後いくつもの専門店が製造。「大和屋守口漬総本家」は名古屋の中心部・栄に本店を構え、地下街や百貨店などにも販売店がある

守口漬は名古屋のご当地漬物。この地域特産の“世界一長い”守口大根と、酒粕ではなくみりん粕を使い、コリコリした食感と芳醇な甘みが特色です。その代表的なブランドが「大和屋守口漬総本家」。近年は細かく刻んだふりかけタイプの守口漬や、みりん粕を活かしたチーズ味醂粕漬といった魅力的な新商品も開発して、伝統ある贈答品の新たな可能性を広げています。

天むすはもともと三重県津市が発祥で、名古屋ののれん分け店が人気を博したことから名古屋名物としてのネームバリューが高くなりました。切手の図案は特定の店舗のものではないようですが、形状が似ている「地雷也」の商品をモデルにしてみました。

大和屋守口漬総本家 HP

【ういろう&えびせんべい】

青柳ういろうは1棹432円~。今年から1箱にハーフサイズが2個入りになり食べ切りやすくなった。坂角総本舗のゆかりは8枚入り691円。名古屋でしか買えない黄金缶(10枚入り918円~)が圧倒的人気を誇る
青柳ういろうは1棹432円~。今年から1箱にハーフサイズが2個入りになり食べ切りやすくなった。坂角総本舗のゆかりは8枚入り691円。名古屋でしか買えない黄金缶(10枚入り918円~)が圧倒的人気を誇る

名古屋の伝統銘菓、甘くて柔らかいういろう&パリッと小気味よく海老の風味が広がるえびせんべいの黄金コンビ。しろ・さくら・抹茶をはじめ7つの味・色が特色の「青柳ういろう」は、ういろう=名古屋名物のイメージを決定づけたトップブランド。もっちりしつつも歯切れのよい食感を楽しめます。

えびせんべいは愛知特産で全国生産の9割をこの地が占めます。安価なおやつ向けと、高級感ある贈答向けがあり、後者の代名詞的存在が「坂角総本舗」のゆかり。封を開けた瞬間、海老の香りが漂い、しっかりした歯ごたえの奥から濃厚なうま味が広がります。

青柳総本家 HP

坂角総舗舖 HP

【スガキヤラーメン】

ラーメンは今どき超お値打ちな330円。クリームぜんざい240円との組み合わせはスガキヤ最強コンビ!
ラーメンは今どき超お値打ちな330円。クリームぜんざい240円との組み合わせはスガキヤ最強コンビ!

名古屋市内を中心に約250店舗を展開する「スガキヤ」のラーメンは、名古屋人にとってのソウルフード。和風とんこつスープの親しみやすいまろやかさとうま味の濃さが、地元っ子の心をつかんで離しません。一杯330円のリーズナブルさに、主にショッピングセンターのフードコートに出店する身近さで、三世代で利用するファミリーも珍しくないほどです。ソフトクリームなどのスイーツがラーメンと並ぶ人気を誇るのも大きな特色。地元ではラーメン専門店という以上にファーストフード店として愛されているのです。

スガキコシステムズ HP

【駄菓子】

右上から時計回りにしるこサンド、さくらんぼ餅、オレンジマーブルガム、クッピーラムネ。昔ながらの駄菓子屋や近年はスーパーなどでも販売。名古屋市内では明道町界わいの駄菓子問屋で購入できる
右上から時計回りにしるこサンド、さくらんぼ餅、オレンジマーブルガム、クッピーラムネ。昔ながらの駄菓子屋や近年はスーパーなどでも販売。名古屋市内では明道町界わいの駄菓子問屋で購入できる

名古屋は全国随一の駄菓子の生産地でもあります。尾張藩の下級武士が内職で菓子づくりをしていたのがそのルーツ。現在も名古屋駅からほど近い場所に、全国で唯一残る駄菓子問屋街が存在します。名古屋・愛知を代表するロングセラー駄菓子がクッピーラムネ(カクダイ製菓)、しるこサンド(松永製菓)、オレンジマーブルガム(丸川製菓)、さくらんぼ餅(共親製菓)。どれも素朴な味わいで、口にすれば懐かしさを感じられます。

カクダイ製菓 HP

松永製菓 HP

丸川製菓 HP

共親製菓 HP

◆◆◆

鉄板スパゲティ、鬼まんじゅう&おこしもんの切手図案は、筆者が調べた限り特定の店舗の商品をモデルとしているのではないため、写真による再現は控えました。名古屋めしの定番がズラリと並ぶ「84円切手編」に続きます。

(商品写真撮影はすべて筆者)

名古屋ネタライター

名古屋在住のフリーライター。名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する。最新刊は『間違いだらけの名古屋めし』。2017年発行の『なごやじまん』は、当サイトに寄稿した「なぜ週刊ポスト『名古屋ぎらい』特集は組まれたのか?」をきっかけに書籍化したもの。著書は他に『サンデージャーナルのデータで解析!名古屋・愛知』『名古屋の酒場』『名古屋の喫茶店 完全版』『名古屋めし』『名古屋メン』『名古屋の商店街』『東海の和菓子名店』等がある。コンクリート造型師、浅野祥雲の研究をライフワークとし、“日本唯一の浅野祥雲研究家”を自称。作品の修復活動も主宰する。『コンクリート魂 浅野祥雲大全』はその研究の集大成的1冊。

大竹敏之の最近の記事