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赤ちゃんが「突然寝なくなる」現象とは?乳幼児睡眠の専門家が解説

ねんねママ(和氣春花)乳幼児育児アドバイザー

この前までよく寝てくれていた赤ちゃんが、急にぐずって寝てくれなくなったり、寝てもすぐに起きるようになったりして悩むことはありませんか?もしかするとそれは「睡眠退行」という現象かもしれません。

「睡眠が退行する?!なんだそれは?」と思われるかもしれません。もちろん、赤ちゃん自体が退行している、ということではなく、むしろ進歩・成長し続けています。

成長に伴って睡眠の状況が”退行しているかのように見える”現象が睡眠退行です。これを知っていることで「どうして急に寝なくなっちゃの?!」というストレスを軽減できる可能性があります。

そんな睡眠退行について、乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが解説していきます。

睡眠退行とは

「睡眠退行」とは赤ちゃんの急成長に伴って睡眠が乱れる時期を指します。

首がすわって目が見えるようになり、脳の発達も進む生後4ヶ月ごろ、親と離れることに不安を感じる分離不安やつかまり立ちなどによって視点が変わり始める8ヶ月ごろ、自我も発達しスケジュールが乱れやすくもなる11ヶ月ごろに起こることが多いとされていますが、その時期は個々の成長によって異なります。

これらの現象は誰もが経験するものではなく、特に感じることがないまま通り過ぎることもあります。思い当たる変化などが何もないのに、急に睡眠トラブルが起こるようになった時は、睡眠退行という言葉を思い出して考えてみても良いでしょう。

睡眠退行時の対策

睡眠退行を瞬時に終わらせる対策はありません。なぜなら、成長にともなって起こっていることなので、起こること自体を避けたり、縮めたりすることは難しいのです。

しかし、この「睡眠退行」という現象があることを知っていることが、その後の睡眠トラブルを防ぐために最も重要な対策だと言うことはできます。

知らないが故に「なんで急に寝てくれなくなったんだろう?」「あれがいけないのかな?こうやって寝かせてみようかな?」などと手を替え品を替えて対応することによって、不本意な寝かしつけのクセをつけてしまう…ということになりかねないためです。知っているだけで、一歩も二歩も前進できるのです。

そして、どうしても泣き続けて大変!という場合には、次の3点を意識してみてください。

1.連続で長く起きすぎないようにする

特に0歳の赤ちゃんが寝ぐずりをするのは、疲れすぎが原因のことが多いのです。疲れすぎると脳が興奮状態になってしまって、眠いのにうまく寝られなくない現象が起こりがちです。

例えば4ヶ月の赤ちゃんが起きていられる目安は2時間程度、8ヶ月なら3〜4時間程度です(※個人差があるので、もっと長い子も短い子もいます)。眠くてぐずっているのではないか?疲れすぎてはいないか?とチェックするようにしてみてください。

2.寝ついた時と同じ環境をキープする

大人でも赤ちゃんでも、夜中にずっと深く眠っているわけではありません。眠りが浅くなったり(レム睡眠)、深くなったり(ノンレム睡眠)波のような睡眠サイクルを繰り返しています。

その睡眠サイクルの切れ目では、大人も子どもも少し覚醒しています。大人であれば無意識にエアコンを調節したり、布団を着たりはいだりして、起きたことを覚えていないまま眠りにつくことができます。しかし、赤ちゃんの場合はそうもいきません。少し目が開いたときに、寝ついた時と環境が変わっているとびっくりして起きてしまいやすくなります

例えば

  • 抱っこされていたのに、布団に置かれている!
  • ついていたはずの電気が消されている!
  • リビングで寝かしつけられたはずなのに、寝室にいる!

などということがあると、びっくりして起きてしまいやすくなります。状況が変わっていることに驚き、不安になってしまうからです。

(大人でも、寝室で寝たはずなのに起きたらお風呂場だったら、びっくりして続けて眠ることはできないですよね?それと同じようなイメージです)

これを解決するためには、できるだけ同じ状態を継続できるように寝かせることがコツになります。

そうは言っても「抱っこじゃないと寝ない!」と難しいことも多々あるかとは思いますが、電気や音楽などは可能な範囲で寝ついた時と同じ環境をキープできるように意識したり、リビングで寝かしつけするのではなく寝室で寝かしつけするように統一するなど、できるところだけでも意識してみてください。

睡眠退行の期間にいろいろと新しいことを覚えさせようとしたり、クセを取ろうとしたりしてもなかなかうまく行かないことが多いので、いまより上手にするというよりはいま下手になっている要因を取り除くというイメージで、無理はせずできる限りの取り組みにしてみてくださいね。

3.スキンシップをたくさんとる

新しくできるようになることが増えると、気持ちが不安定になりやすくなります。

例えば4ヶ月ごろは視力がぐっと発達してきますし、首がすわって左右を自由に見られるようになりますよね。すると、今までは気にならなかった「ママが近くにいない」「パパの姿が見えない」ということに気づくようになってしまうのです。そうして、不安な気持ちになって泣くことが増えます。

また、8ヶ月頃にハイハイやつかまり立ちができるようになって、自分の意思であちこちに動けるようになったり、高い視点で周りが見られるようになったりすると、これまでにはない視点で新しい情報が視界から入ってくるようになりますよね。そうすると、新たな情報を脳が処理しきれず、混乱して気持ちが不安定になったりしてしまうこともあるのです。

そんな不安をやわらげてくれるのがスキンシップです。ハグをしたり、頬をすりすりしたりするイチャイチャタイムをとってあげることで、赤ちゃんは心を落ち着かせることができます。睡眠退行の時期は意識的に、特に寝る前のタイミングでたくさんスキンシップをしてあげてください。

睡眠退行は1週間から長くても1ヶ月ほどで抜けられます。もちろんそれ以外の要因がある場合はそのあともトラブルが残ることもあるのですが、他に要因がないようであれば自然と元に戻っていきますよ♪

睡眠退行期間中、泣かれて対応がとっても大変だとは思いますが、できるだけ(パパやママが無理しない範囲で!)クセを最小限に抑えることを意識して対応してあげてくださいね。

乳幼児育児アドバイザー

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0-3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは19万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『〇✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある。

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