Yahoo!ニュース

大坂なおみが、ウィンブルドンテニスで自己最高となる第2シードを獲得! 世界1位から落ちた影響は!?

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
グラスコートへのアジャストに少してこずりながらも調整をする大坂なおみ。大坂の1回戦はセンターコートで行われる(写真/神 仁司)
グラスコートへのアジャストに少してこずりながらも調整をする大坂なおみ。大坂の1回戦はセンターコートで行われる(写真/神 仁司)

 テニス4大メジャーであるグランドスラムの第3戦・ウィンブルドンが、7月1日ロンドンで開幕し、日本女子のエースである大坂なおみが、伝統と格式を重んじる“テニスの聖地”での戦いに挑む。彼女にとっては3度目のウィンブルドンとなる。

 ウィンブルドン前哨戦のWTAバーミンガム大会で、大坂は2回戦で敗れ、グラスの試合数を十分にこなせなかった。さらに、ウィンブルドン直前のWTAランキング(6月24日付け)で、1位から2位になった。

 一方、ローランギャロスでグランドスラム初優勝したアシュレイ・バーティ(オーストラリア)が、WTAバーミンガム大会でも優勝して大坂のランキングを抜いた。初めて世界1位になり、そしてウィンブルドンで初めて第1シードになったバーティは、グラスを得意としていて優勝候補の1人だ。

「アシュレイの活躍を本当に嬉しく思います。本当に驚くべきものです」(大坂)

 この1年で大坂は劇的な成長を遂げ、彼女を取り巻く環境も大きく変化した。今年1月のオーストラリアンオープンで日本人初の優勝を果たし、昨年9月のUSオープンに続いて2つ目のメジャータイトルを獲得。さらに、1月28日付けのWTAランキングで日本人初の1位に到達した。ただ、世界1位になったことは、彼女にとって居心地のいいことばかりではなかった。

「(1位にいるのは)自分が想像していたよりもストレスがあったし、プレッシャーもあった」と吐露した大坂は、ローランギャロスでの大会期間中にはよく眠れずに、頭痛が起きていたこともあった。

「ランキングが落ちたけど、ただ2位になっただけで、自分にとっては良いことだと思っています」

 このように自分の気持ちを切り替えた大坂は、子供のときに過ごしたアメリカ・フロリダでは、グラス(天然芝)コートでプレーした経験がなかったため、今でもグラスでのプレーを「あまり心地よくない」と感じている。ボールが滑るように低く弾み、イレギュラーもあるのでラケット面をしっかり合わせることが必要なうえ、足元もスリップしやすいグラスに適応しきれていない状況だ。

 また、時速180km前後をコンスタントに出せる大坂のファーストサーブは、グラスではサービスエースになりやすく大きな武器になるはずなのだが、確率が悪かったりミスが多過ぎたりして、彼女の持ち味を十分にグラスで発揮しきれていない。

「ウィンブルドンで優勝すれば、自動的に1位になれるわ。自分にとっては本当に大きなゴールになります」

 世界1位奪還をもくろむ大坂は、ウィンブルドンで少なくとも3回戦に進出しないと、ナンバーワンへの復帰が実現しない。

 今回のウィンブルドンで自己最高となる第2シードを獲得した大坂は、1回戦でユリア・プティンツェワ(39位、カザフスタン)と対戦する。前哨戦のWTAバーミンガム大会2回戦で、ストレートで敗れたばかりの相手で、対戦成績も大坂の0勝2敗で相性は良くない。

 大坂の1回戦は、大会初日の7月1日、センターコートの第2試合に組まれた。大坂がセンターコートでプレーするのは昨年に続いて2回目になる。

 これまで大坂はウィンブルドンで3回戦が最高成績だが、グラスに適応しながらになるので、あまり大きな結果を期待し過ぎずに、自身初のベスト8が現実的な目標になるのではないだろうか。

 そして、まずは1回戦でプティンツェワに対してリベンジができるか、そしてウィンブルドンのセンターコートでのプレーを楽しめるか、大坂のプレーに注目が集まる。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

神仁司の最近の記事