今年と同じく西日本で梅雨入りが遅れた52年前の豪雨
令和元年(2019年)の梅雨入り
令和元年(2019年)の梅雨は、太平洋高気圧の勢力が弱いために、梅雨前線が沖縄付近から南に下がることが多く、東北地方北部まで梅雨入りしたのに、西日本(九州北部・四国・中国・近畿)の梅雨入りが遅れました(表1)。
その遅れも記録的なものです。
梅雨入り、梅雨明けについては、昭和26年(1951年)以降のデータベースが作られていますが、52年前の昭和42年(1967年)以来の遅い記録を更新しました(表2)。
西日本の梅雨入りが遅れた52年前、昭和42(1967年)の梅雨には、西日本各地に大きな豪雨被害が発生し、「昭和42年(1967年)7月豪雨」と命名されました。
昭和42年(1967年)7月豪雨
昭和42年(1967年)7月上旬(7日~10日)の大雨は、「昭和42年(1967年)7月豪雨」と、気象庁が命名するほど大きなものでした。
本州の南岸に停滞していた梅雨前線に、台風第7号から変わった熱帯低気圧から暖湿気流が流れ込み、長崎県佐世保市、広島県呉市、兵庫県神戸市では、8~9日の2日間で300ミリを超える雨が降っています(図1)。
佐世保、呉、神戸といった、背後に山地がある都市部で雨によって土中の水分が多く含まれているところに大雨となったため、土砂崩れや鉄砲水が多発し、人的被害や土木関係の被害が非常に多くなりました。
全国の死者・行方不明者369名、住家全・半壊約2300棟、浸水家屋約30万1400棟という甚大なものでした。
その、52年前の心配がでています。
令和元年(2019年)の梅雨豪雨
令和元年(2019年)6月30日(日)は、梅雨前線が活発となり、太平洋気圧の縁辺部を回るように南海上から暖かくて湿った空気が流入しますので、北陸から西日本にかけて大雨の可能性があります(図2)。
それも、今年、令和元年(2019年)の6月18日の山形県沖地震で震度6強を観測した新潟県下越地方や、平成28年(2016年)4月16日に震度7を観測した熊本県熊本地方など、大きな地震被害が発生した地域で大雨の可能性があります。
気象衛星では、東シナ海などに活発な積乱雲の塊があり、この積乱雲の塊がかかる場所では雨が強まります(タイトル画像参照)。
気象庁では、地震被害を受けた地域の大雨警報等の発表基準は、通常基準より引き下げた暫定基準を設けて運用していますが、それだけ危険な地域に対して大雨が降る予報です。
図2でフィリピンの東海上にある熱帯低気圧(図2では熱低と記載)は、台風に発達することはないと考えられていますが、台風に発達しなくても、台風並みに暖かくて湿った空気を日本付近に流入させます。
気象庁は早期注意情報を発表して警戒を呼び掛けていますが、6月30日は東北南部から九州に大雨警報級の可能性があります(図3)。
大雨警報級の雨が降る可能性は、7月1日(月)も続きますが、北陸の可能性が若干低くなる程度で、西日本で大雨が降る危険性は高いままです(図4、図5)。
さらに、九州北部は2日も、九州南部は2日だけでなく3日も4日も大雨の危険性が高い状態が続きます。
令和元年(2019年)の梅雨豪雨は、長く続くことが特徴です。
強い雨によって土中の水分が多くなり、土砂災害が起きやすくなっているところに大雨が降る可能性があります。
雨の降り方に注意が必要な日々が続きます。
タイトル画像の出典、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
表1、表2の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。
図1、図2の出典:気象庁ホームページ。